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発声の基礎・上達のヒントのボイトレ解説

発声の基礎、練習の進め方、音程やピッチの安定など、ボイストレーニングで上達するための考え方と練習法をまとめています。

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田栗ななえ 東京スタジオ・

歌は母音が9割

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桜田先生による母音の解説です。
歌で実際に聴こえている音の多くは、母音です。

日本語を普段話すときの母音の長さは、約80〜150ミリ秒。それに対して、歌っているときの母音は、約400〜900ミリ秒と言われています。歌では話し言葉に比べて、母音が4〜7倍も長く伸びています。

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具体的にどういうことかというと、
例:「ありがとう」

◆話し言葉の場合
「あ・り・が・と・う」と、母音は一瞬ずつ通り過ぎるように、子音と母音がセットでポンポンと進んでいきます。

◆歌の場合
「あーーりーーがーーとーーうーー」
と、母音が引き伸ばされるイメージです。

だからこそ、母音がどう聴こえるかによって、声の音色が大きく変わります。話し言葉のように歌ってしまうと、音が細切れに聴こえやすくなるので、滑らかな声のつながりを作りにくくなってしまうのです!

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普段のエクササイズでは、母音を揃えながら声を繋いでいく練習とより良い声色を作っていく練習の2本立てで進めることが多いです。

今日は、母音を揃えながら声を繋いでいくエクササイズアイデアのご紹介です。
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◆母音だけで1.5オクターブスケール
Uh 1.5オクターブスケール
↓
Oh 1.5オクターブスケール
↓
Ah 1.5オクターブスケール

狭い母音から広い母音へと移行していきます。
母音だけで行うため難易度は上がりますが、自分がどのように母音を作っているかを確認しながら行き来できるのがメリットです。

子音と母音を組み合わせたエクササイズで、
・下降で乱暴に降りてしまうとき
・高音にうまくつながらないとき
・母音への意識が薄い、または伸ばす時間が短いとき

母音だけにしてみると、
その音に対して声が適切に入っているか、
母音に一貫性があるかを確認しやすくなります。
また、母音が揃った後に、子音をつけてエクササイズすると行き来の意識が明確になりやすくなります。

◆注意点◆
声が息っぽすぎたり、地声が弱すぎる場合は、そこを初めに対処してから進めると効果的です☺︎

小野貴之 東京スタジオ・

- 歌は、母音がとても大事です。母音の響きが整うと、歌全体の美しさが変わります。

- 歌は、母音がとても大事です。母音の響きが整うと、歌全体の美しさが変わります。

歌になると、英語アクセント(国・地域差)は、ほとんど目立たなくなります。
歌声は、意識して響きを華やかに作っていくもので、クローズな母音だけで1曲通して歌い切ることはあまりありません。
例えばアメリカ英語は母音を開く傾向があり、それは音楽的に華やかな母音を作りやすいともいえますが、それがすべてではなく、歌にしか当てはまらないような母音の考え方があります。
✳️ビートルズを聴いていても、「音楽的な母音」で歌っていることがよく伝わってきます。
※「Polythene Pam」はジョンが意図的にリヴァプール訛りで歌っています。

★―――★

歌にしか当てはまらない母音の考えとは、 歌の中では母音による響きや音量の差をなくしていきたいという部分があります。(アは口を大きく開けて、ウは小さい、イは横に引っ張るなどを極端に行うとばらつきの多いサウンドになりやすい)
このように口の開き方=音の出口のサイズをある程度揃えて発声することで、母音によるばらつきを抑えやすくなります。
つまりサビをしっかりめの音量で歌いたいときに、ウ母音だから音が小さくなった、というようなことがないようにしていきたいのです。
✳️そして、母音が変わっても「共通する響き」を持っている状態が好ましいです。楽器としてよい音にする、ということを意識して練習するということが大事です。

小野貴之 東京スタジオ・

- 同じエクササイズを長い時間行っていませんか?

  1. - 同じエクササイズを長い時間行っていませんか?

レッスンで取り扱ったエクササイズがうまくいかないと、つい「こうかな?」と繰り返して10分、20分…ということがあると思います。例えばリップバブル(リップロール)が止まってしまう場合、僕のアドバイスは「いったん別の種目に移る」ことです。

声のバランスがある程度成立していないとリップバブルは上手くいきません。余分な緊張が強い、息を吐き出しすぎてしまう、いろいろな理由でバブルは止まってしまいます。

✳️そしてその声のバランスを妨げているのは、何かしらの偏りです。

同じエクササイズを続けること自体が偏りを助長してしまう大きな理由になり得ます。

ハイラリンクス・エクササイズ(カリカリ声でNAYなど)が上手くいかないとき、ローラリンクス・エクササイズ(緩めのふくろうサウンドでGEEなど)に舵を切ってから、またハイラリンクス・エクササイズに戻ってくると不思議とやりやすくなっていることが多いのです。

★―――★
いろいろなエクササイズを交互にやることがお勧めです。そして、それぞれのエクササイズを、自分の声(一貫したサウンド)を見つける為に利用すること。

リップバブルで得られるものはSOVT効果です。息の流れの一貫性や声帯振動に安定をもたらす効果です。息を吐きすぎていたり緊張が強い状態でやるのは逆効果です。

✳️エクササイズを「がんばって練習する」というよりも、「利用して声を見つける」という意識をぜひ持ってみてください。

利用できないエクササイズ(5分くらいはトライしてみてもいいでしょう)は一旦端に置く。別の経路を経て、また戻ってみてくださいね。

  1. 〜〜 Have fun practicing! 〜〜
桜田ヒロキ 東京スタジオ・

「歌は呼吸が大事」

「歌は呼吸が大事」
でも、呼吸より喉頭コントロールの方がずっと難しいです。

むしろ歌でより高度な技術が必要なのは、
呼吸そのものよりも喉頭コントロール
だと僕は考えています。

呼吸は、もともと日常の中で自動化されている動作です。
一方で歌は、
声帯をどう閉じるか
どう伸ばすか
どのくらいの強さで接触させるか
母音をどう保つか
口腔をどう作るか
こうしたことを、かなり細かく、速く、多要素で調整し続ける必要があります。

つまり、歌で本当に難しいのは
「息を吸うこと」ではなく、
その息をどうコントロールして声に変えるか
です。

喉頭や口腔のコントロールは、
呼吸よりも細かく、速く、複雑です。
だから歌がうまくいかない時に、
何でもかんでも「呼吸の問題」にしてしまうと、
本当の課題を見失うことがあります。

実際には、
声帯の閉じ方
母音の作り方
声区のまたぎ方
こういった部分に原因があることもとても多いです。

もちろん、呼吸は大事です。
でも、
呼吸をマスターすれば歌が上手くなる
という言い方は、少し短絡的かもしれません。

歌は呼吸の芸術というより、
呼吸を材料にして、喉頭や口腔を高度にコントロールする芸術
と考えた方が、現場ではしっくりきます。

だから僕は、
「歌は呼吸が大事」よりも、
歌は呼吸より喉頭コントロールの方が難しい
と考えています。

金子 恭平 東京スタジオ・

息漏れは呼吸の問題か?

レッスン中に息漏れを指摘されたことはありますか?

「声が息っぽい」と言われると、みなさん息を吐きすぎないようにと意識しがちです。

しかし、息漏れはどちらかというと声門閉鎖の不足、つまりフタがきちんと閉じていないことが原因であるケースが多いのです。

声帯を閉じる作業は、「肥厚」と「内転」という運動によって行われます。
それぞれにアプローチするエクササイズをご紹介しますね。

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▼声帯を太らせる「肥厚」を鍛えるエクササイズ

快適な地声音域で、「Buh Buh Buh Buh Buh(バッバッバッバッバ)」とスタッカートで歌います。

息っぽい声でも細い声でもなく、山崎育三郎さんのようなふくよかで美しい地声を意識してください。
唇を強く閉じて、B子音をしっかり発音しましょう。

これを繰り返すと、肥厚を作る『甲状披裂筋(TA)』が鍛えられます。

―――――――――
▼声帯を後ろから閉じる「内転」を鍛えるエクササイズ

快適な地声音域で、「Keh Keh Keh Keh Keh(ケッケッケッケッケ)」とスタッカートで歌います。

スポンジボブのような薄っぺらい声を意識してください。
変な声であればあるほど良いです。息っぽくならないよう注意しましょうね。

この繰り返しで、内転を作る『外側輪状披裂筋(LCA)』が鍛えられます。

―――――――――

息漏れ改善が課題の方は、上記のエクササイズを普段の歌練習や発声練習に加えてみてください!

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

歌の練習、どれくらいやればいいの?

音声医学やASHA(米国言語聴覚士協会)などのガイドラインでは、「明確な時間制限」よりも負荷管理が重視されていますが、

臨床的にはおおよそ以下が目安とされています👇

・連続練習:30〜50分
・休憩:5〜10分
・1日の合計:1〜3時間(レベルによる)

ポイントは「長時間やること」ではなく“連続でやりすぎないこと”

声帯は筋肉+粘膜なので、
回復しないまま使い続けるとパフォーマンスも落ちます。

そして一番重要なのはここ👇

同じ30分でも
・効率の良い発声 → OK
・無理な発声 → ダメージ大

つまり「時間」よりも「使い方」

これを間違えると、短時間でも喉は壊れます。

ちなみに研究では、声道の狭窄が強くなるほど発声は弱く・不安定になることが示されています。

→ 効率が悪い状態

つまり“効率の悪い発声ほど疲れやすい”

だからこそ時間管理+発声効率の両方が必要です。

加藤真太郎 名古屋スタジオ・

たくさん練習しても上手くならない!?

前にレッスンに来られた生徒さんと話していたときに、
「カラオケに行ってたくさん歌っていれば勝手に上手くなると思っていたけど、全然そんなことないですね」と言われたことがあります。
僕自身も過去に同様なことを考えていたのですごく共感できたのですが、ではどうしてたくさん練習しても、歌は上達していかないのでしょうか?

──────────

【歌唱は筋トレではなく、運動学習】

歌唱における上達は、運動学習というプロセスで進んでいくと言われています。
運動学習とは簡単に言うと、繰り返し練習をしていく中で出来なかった動きが出来るようになったり、正しい動きを覚えていく、というものです。
この運動学習では、そのプロセスを3段階のステージに分けることが知られています。

1.認知段階
この段階ではまず、正しい動きを「頭で理解すること」が求められます。
ボイトレで考えるのであれば、自分のボイスタイプやどこでエラーが起きているかを知り、正しい声の出し方や練習のやり方を覚えていく段階です。
つまり"カラオケで闇雲に歌う"という行為は、この認知段階をそもそもすっ飛ばしているということになります。
何よりまず頭で理解することが求められるのに何も考えずに歌っていては、それは練習というより、"ただの趣味の時間"ということになってしまいます。

2.連合段階
この段階に来ると、頭で正しい動きがある程度理解できているので、その正確性や安定性を高める時期といえます。
もしかするとこの段階では、練習量も大事になってくるかもしれません。
大袈裟な失敗から小さな失敗へと失敗の質が変化していき、それと成功を繰り返すこと、つまりトライ&エラーを繰り返すことで、発声の安定性が高まっていくと言えます。同時に声の発達も進んでいくでしょう。

3.自動化段階
この段階に来れば、ほとんど何も考えなくても自然に歌えるようになります。
他のことにも意識が向けられるようになるので、この段階に来て初めて自分の行いたい表現が出来るようになるといえるかもしれません。

────────
この自動化段階に到達するまでに、数年の持続が必要と考えられています。
こうやって考えると、歌の上達は人によっては物凄く難しく感じてしまうかもしれません。
しかしだからこそ歌は一生楽しめる趣味になり得るといえますし、試行錯誤しながら上達したという経験が、人生の自信にも繋がってくれると思います!

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

ボイストレーニングで「体のパーツ」を意識しすぎていませんか?

ボイストレーニングの現場では、
「軟口蓋を上げて」「舌が奥に入りすぎている」「顎に力が入りすぎている」
あるいは「喉が高すぎる」「喉が低すぎる」といった、発声に関わる各部位のコントロールについて説明する場面が多くあります。

確かに、これらの知識は発声を理解する上では重要です。
しかし近年、桜田の考え方では、こうした「部位ごとのコントロール」を意識するアプローチは、特に難易度の高い楽曲や、ギリギリの音域で歌うような場面では、あまり役に立たないと考えています。

その理由はシンプルです。
歌っている最中に、注意を向けるべきリソースが多すぎるからです。

音程、リズム、歌詞、表現、呼吸、フレーズの流れなど、歌唱には同時に処理しなければならない要素がたくさんあります。
その状態で「舌の位置」「軟口蓋」「喉頭の高さ」などを細かくコントロールしようとすると、かえって歌が崩れてしまうことも少なくありません。

【外側から発声をコントロールする】

そのため桜田のトレーニングでは、体の内部を直接操作するよりも、外側の要素から発声をコントロールする方法を重視しています。

具体的には
・母音の発音の仕方
・子音との組み合わせ
・歌手それぞれの歌い方の癖
・スケールや音階の設定
・歌うピッチのコントロール

といった「外側の条件」を調整することで、結果として発声が整うようにトレーニングを設計します。

【歌手が集中すべきこと】

このアプローチの目的はシンプルです。
歌手が歌うときに集中するポイントを、できるだけ少なくすることです。

桜田のトレーニングでは、最終的に歌手が意識するべきことは
「正しいピッチで、良い声で歌う」
この一点に集約されるようにツールを組み合わせていきます。

【運動学習でも同じことが言われている】

この考え方は、運動学習の研究とも一致しています。

運動学習の分野では、言語化しにくい身体技術を身につける記憶を「手続き的記憶」と呼びます。
そしてこの手続き的記憶を習得する際には、体の内部の動きに意識を向けるよりも、体の外側に意識を向けた方がパフォーマンスが向上することが知られています。

歌の場合で言えば、体のパーツを細かく操作しようとするよりも、
「自分の声そのもの」に集中する方が、結果として発声は整いやすいということです。

【まとめ】

ボイストレーニングでは、体の細かな部位をコントロールする説明が多くなりがちです。
しかし実際の歌唱では、注意を向ける対象をできるだけシンプルにすることが重要です。

正しいピッチで、良い声で歌う。
その一点に集中できる環境を作ることこそが、効果的なトレーニングにつながります。

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