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発声の基礎・上達のヒントのボイトレ解説

発声の基礎、練習の進め方、音程やピッチの安定など、ボイストレーニングで上達するための考え方と練習法をまとめています。

154件の投稿 トピック一覧へ

三浦優子 東京スタジオ・

声が出しやすくなる体操

今回の動画でご紹介した体操は、わき腹(腹斜筋)・背中(広背筋)・肩甲骨まわりを中心にほぐして、発声に必要な“呼吸のしやすさ”と“喉の脱力”を引き出すことを目的に行いました。
 
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《わき腹が硬いと、呼吸が浅くなる理由》
わき腹には外腹斜筋・内腹斜筋が走っていて、この部分が硬くなると胸郭の横方向の広がりが制限されます。
すると、息を吸う時のスペースが確保しづらくなるため、浅い呼吸・息が入りにくい感覚につながり、結果的に声も伸びにくくなります。
 
この体操では、わき腹を大きく伸ばしたり、体側を動かすことで
→ 胸郭の可動域UP
→ 深い呼吸が入りやすい状態
を作る狙いがあります。
 
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《肩甲骨や背中を動かすと喉がラクになる》
腕の上げ下げに連動して、
肩甲骨(僧帽筋・前鋸筋・肩甲挙筋)や広背筋が動きます。

肩甲骨まわりが固まったままだと、無意識に首・喉の筋肉(胸鎖乳突筋、舌骨上筋群)に力が入りやすく、
・声が詰まる
・高音で力む
・喉が締まる
などが起こりやすい状態になります。

肩甲骨をしっかり動かしておくと、
→ 喉周辺の余計な力みを緩和
→ 発声に必要な最小限の筋活動だけが働く状態
を作ることができます。

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《ウォームアップ効果が高い》
今回の体操は“複数の部位が連動して動く”というのが大きなポイントです。
体側・背中・肩甲骨・肋骨まわりが同時に動くことで、
→ 血流が一気に上がる
→ 体温が上がり、筋肉が動きやすくなる
→ 発声に関わる呼吸筋群にスイッチが入る
といった効果が得られます。

身体全体が温まることで声も立ち上がりやすくなるため、効率的な身体のウォームアップにもなります。
発声前の準備運動にもオススメなのでぜひお試しください♪

金子 恭平 東京スタジオ・

喉と舌を分離しよう!

中高音発声、特に地声ミックスでの発声には力みが生じがちです。
そしてその多くが、舌の不自由さに起因しています。

典型的なのは以下のような流れです。

「喉頭(喉仏)の極端な上昇は叫び声を招くと知って、喉を下げて歌う」
↓
「舌を押し下げる動きと喉頭を下げる動きを混同してしまい、かえって強い力みが生じる」
↓
「アウトプットされた声は、喉に何かが詰まったような音色」

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▼あくび声のGeeを使おう

ふかーいあくびをするような調子で、Gee(ギ―)と発音してみましょう。
『くまのプーさん』に登場するイーヨーのような声です。

唇を突き出すようにすると、適切な母音を作りやすくなりますよ。
舌の先が、下の歯の裏あたりに軽く触れるようにしてください。

喉仏を触って確認できる方は、手で触れてみてください。
普段の位置よりも下に落ちているはずです。

その声で1.5オクターブスケールなどを使って練習します。
高い音に向かいつつも、喉頭がつられて上がらないようにしましょう。

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▼なぜGeeなのか

実はあくび声での練習は、Goo(グー)などのu母音のほうが簡単です。
しかしi母音でおこなうことに意味があります。

u母音はBack Vowelといって、舌が口内の後方に位置する母音です。
喉頭を下げる動きとはもともと相性がいいのです。

一方でi母音はFront Vowelといって、舌が前方に位置します。
Geeという発音を保ったまま深い声を出すには、舌と喉頭の分離を求められます。

この練習で出す声をそのまま歌唱で使うわけではありませんが、舌が独立して働く状態を体験することが大切です。
ある条件で体験できたことは、次第にほかの条件でも再現できるようになるからです。

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▼舌はなるべく前に置きたい

歌唱の際に、舌が後方に引っ込みすぎると声がこもります。
声道内で反射するエネルギーが減るので中高音を扱うのは簡単なのですが、行きすぎると好ましくない音色になってしまいます。

歌うときは、声の深さを保ちつつなるべく舌を前に置いておくのが理想とされています。

効率よく美しい発声の獲得には、歌のための「あいうえお」を習得する必要があります。
下顎は喋るときと比べて落ちていて、舌先は常に下の歯の裏側に触れている状態です。
スピーキングの母音とはかけ離れているので、はじめは違和感を覚える方も多いです。

あくび声のGeeを使って、まずはその一端を体験してみましょう!

三浦優子 東京スタジオ・

声に影響する坐骨神経痛

坐骨神経痛の多くは、お尻やもも裏の筋肉の硬さ、骨盤の後傾(骨盤が後ろに倒れた姿勢)、長時間のデスクワークなどで起こりやすくなります。
特に座り時間が長い30〜50代の女性にとても多い症状です。

この状態が続くと 呼吸の通り道が狭くなり、息が浅くなりやすい という問題が起きます。
また、本来は下半身で床を押したエネルギーが体幹を通って上半身へと伝わることで軸が“安定”しますが、坐骨神経痛では骨盤後傾や筋肉の硬さによって軸が“不安定”になりやすくなります。

その結果…
・息が入りにくい
・声が細くなる
・支えが弱くなる
・高音が安定しない

といった、声のトラブル が起きやすくなるのです。

一方で、もも裏(ハムストリングス)と腸腰筋の柔軟性や伸縮性が高まると、骨盤まわりの動きがスムーズになり、坐骨神経への負担が減りやすくなる ため、症状の緩和にもつながります。

坐骨神経痛を抱えている方は、発声練習に加えて「体のストレッチやエクササイズ」を取り入れることで、声の出やすさも効率よく改善できるので、ぜひ習慣にしてみてください。

金子 恭平 東京スタジオ・

風邪を引いたときの練習

風邪やインフルエンザの季節になりました。
上気道炎(風邪の症状)を患うと、やはり発声が難しくなります。
ぼくも10月の終わりごろに風邪を引いて、なかなかにつらい思いをしました。

ファルセットがかすれて出ないようなら、その場合は声帯そのもののダメージが深刻であると考えられます。
無理をせず、なるべく声を出さないようにして過ごしましょうね。

逆に、ファルセットが問題なく発声できるときは、ぼくは風邪を引いていてもある程度の練習をします。
長時間のセッションや強い高音などは控えますが、ヘッドボイス寄りの声によるブリッジング(換声点の乗り越え)などはおこなっておいたほうが、調子を崩さないですむ感覚があるからです。

では、どんな練習法が上気道炎の罹患時にふさわしいのでしょうか?

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▼SOVT

真っ先に推奨されるのが、Semi-Occluded Vocal Tract exercises(声道準閉塞エクササイズ)です。
リップバブル、タングトリル、パフィーチーク、ストローエクササイズなどの象徴的なバリエーションのほかに、ZやVの発音を用いる方法もあります。

これらの練習法の共通点は、その名のとおり声の通り道を半ば塞ぐようにしておこなうこと。
それにより、唇から声帯方向に向かう適度な逆圧が得られ、無理のない声門閉鎖の感覚を思い出させて――あるいは教えて――くれます。

また、肺からの呼気圧と口からの逆圧が声帯を挟み込む形になるため、マッサージ効果が高いとされています。
上気道炎でなくとも、疲れた声帯のリカバリーなどに最適なエクササイズです。

以前にも書きましたが、発声が上達するほどリップバブルなどを上手に練習として使えるようになります。
発音をつけて歌うときの感覚がリップバブルと似通ってくるからです。

以前なら違いましたが、現在のぼくが一日にひとつだけエクササイズをおこなうならリップバブルを選ぶと思います。

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▼ポルタメント

音程をスライドさせる練習もお勧めです。

まずは高い高音をファルセットあるいはヘッドボイスで発声して、スムーズに音程を下降させていき、軽いチェストボイスに着地しましょう。
ブリッジングの感覚がつかめていない方は、チェストボイスに切り替えるのはかなり低い音でもかまいません。

すでに高い技術をお持ちの方は、低音(チェスト)→高音(ライトミックス)→低音(チェスト)という方法でおこなうとより効果的です。

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▼無理は禁物

技術を錆びつかせないために、多少の不調のときでも低強度練習を続けることを提案してきました。

とはいえ、上気道炎にかかっているときは声帯や咽頭や鼻腔が腫れているのは事実です。
気分が乗ってきても、強い声を出したりするのは控えましょうね。

「歌っているとどうしても声を張り上げたくなっちゃうんだよね!」という元気いっぱいな方は、風邪のときは歌わないと決めてしまったほうがいいかもしれません(笑)。

金子 恭平 東京スタジオ・

試行回数を増やそう

ミックスボイスと呼ばれる声は、ほとんどの人は先天的には持っていません。
甲状披裂筋、輪状甲状筋、外側輪状披裂筋という繊細な筋肉の協調運動に加えて、共鳴(母音調整)の工夫も必要な特殊技術です。

習得には膨大な練習量が必要で、ちょっとしたコツでできるようになるものではありません。

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▼どのくらい練習が必要?

ほかのバランス運動で考えてみましょう。

「半年以内に絶対に倒立(逆立ち)を習得しなければならない」という特殊な状況が発生したとします。

あなたはどうしますか?
月に2回の練習でなんとかしようとするでしょうか?

おそらくそうではないでしょう。

体質により個人差はあるでしょうが、ミックス発声の習得も同じようなものだと考えてほしいのです。

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▼声帯の脆さには要注意

声帯はとてつもない回数の衝突と摩擦で声を作り出します。
仮によい発声で歌えたとしても、あまりに長時間の使用には耐えられません。

また発声のクオリティには、「体の疲労度合い」「声帯の筋肉層が有する水分量」「声帯粘膜の粘性」「声の出し方のイメージ」など、時間によって変化する要素が強く影響します。

一度に長時間の練習をせずに、小さな時間を見つけて試行回数を増やすのが得策です。
1セッションにつき15~30分程度の練習時間がボイトレでは基本とされていますが、個人的には1~5分程度の練習を何度も繰り返すのもお勧めです。

こうした方法は脳科学的にも効果が実証されています。
上手に分散学習をしましょう!

三浦優子 東京スタジオ・

腸腰筋、使えてますか?

 
腸腰筋とは、上半身と下半身をつなぐとても大事な筋肉。
背骨から大腿骨につく大腰筋と、骨盤のふちから大腿骨につく腸骨筋を合わせた名前です。
 
この筋肉がアクティブに働く立ち姿ができていると、
実は「声の立ち上がり」がとてもスムーズになります!
 
一時期テレビでも話題になりましたよね。
そのときは「もも上げ」で腸腰筋を鍛える方法が紹介されていましたが、
実は立っているだけでも腸腰筋を働かせることができるんです。
 
ポイントは、
背骨から大腿骨に向かって「張り」を感じるように立つこと。
 
すると下半身でしっかり床を押せるようになり、
地面反力で上半身がスッと伸びる。
結果的に呼吸がしやすくなり、声も出やすくなります。
 
逆に腸腰筋が使えていない立ち方は、
上半身がズンと下半身に乗っかるような「抜けた姿勢」。
この状態では、発声に必要な筋肉の動きが鈍くなったり呼吸が浅くなったりします。
 
腸腰筋を使えていると骨格の位置も整うため、
姿勢が良くなり、発声に関わる筋肉もスムーズに働きます。
 
「なんだか抜けてる姿勢かも…」と感じる方は、
腸腰筋で立つ意識を持ってみてください。
 
きっと声の立ち上がりや鳴り方に変化を感じられるはずです✨

金子 恭平 東京スタジオ・

自転車練習に学ぶミックスボイス習得法

みなさんはかつて、どのように自転車の乗り方を練習しましたか?

ぼくの場合は、

【父に後ろを押してもらいながらペダルを漕ぐ】
↓
【父が手を離す】
↓
【必死でバランスを取りながらペダルを漕ぐ】
↓
【転ぶ】

を繰り返すうち、徐々にひとりで走れる距離が伸びていきました。

ところが現在では、「ペダルのない自転車で、地面を蹴りながら進む」練習から始めるのが一般的です。

自転車の運転は

1.バランスを取る
2.ペダルを漕ぐ

という要素で構成されます。

これらふたつを同時に習得しようとするのは効率が悪すぎる、というのが現代の常識なんですね。

ペダルのない自転車の上で当たり前にバランスが取れるようになれば、そこにペダルを漕ぐ動作を加えるのはとても簡単なのです。

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▼現代の自転車練習法に近いハリウッド式ボイストレーニング

セス・リッグスが生み出したSpeech Level Singing(ハリウッド式)というメソッドは、現代の自転車練習法に近いものでした。

たとえば高音部分で声帯同士が離れてしまう(息っぽい裏声になってしまう)ケースでは、「アニメキャラクターのようなキンキン声を出して声帯のコネクションを確保しよう」という具合です。
※共鳴腔を狭くすると高い周波数を稼ぐことができ、結果的に声帯が閉じる働きが強まります。

できれば美しい歌声だけを出し続けたいところですが、それはいくつかの難しい技術が組み合わさって初めて実現されるものです。
Unfinished Sound(完成品でない、歌には使えない声)を積極的に利用しながら課題をひとつずつクリアして、最終的にそれらの要素を結合していくのが効率的なのです。

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▼注意点

「鼻腔共鳴」という言葉が近年流行しています。

たしかに息を鼻へ向かわせることで声帯の仕事量は格段に減るので、ミックスボイスは簡単に実現します。
しかしそれを完成した声だと思い込んで歌い続けるのは、何年経ってもペダルのない自転車に乗っているようなものです。

中高音の発声に生じるタスクを限定するため、「喉頭を極端に下げる、上げる」「母音を極端に狭める、広げる」「声を鼻に入れる」といった練習をハリウッド式ではしばしばおこないますが、あくまでそれは一時的なものです。

いつだって目標は「あなたにとって最高の歌声」であることを忘れてはいけません。

※鼻腔共鳴という言葉がよく使われるのには、実は多くのボイストレーナーが咽頭を狭めた「ファリンジャルボイス」と鼻声を混同しているという本質的な理由があります。長くなってしまうので、それはまた別の機会に。

金子 恭平 東京スタジオ・

なぜ、あえて曲で使わない声で練習するのか?

ハリウッド式ボイストレーニングでは、ときに極端な「あくび声」や「キンキン声」、場合によっては「鼻声」などを使ってレッスンします。

しかし、それらのおかしな声を楽曲の歌唱に直接生かしたいわけではありません。

では、なぜそんな練習をするのでしょう?

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▼全ては「効率的な発声」の疑似体験のため

たとえばあくび喉――極端に喉頭が低い状態――を作ると、声道が強調する周波数帯域が下がります。
すると地声的な成分が少なくなるので、低音から高音までを均等に扱いやすくなります。つまり、声区間の移動がスムーズになるのです。

一方、喉頭を極端に上げてキンキン声を出しているときは、狭まった咽頭のスペースにより高い周波数が強調されます。
するとその共鳴の影響を受け、声帯同士の合わさりが自然と強くなります。このときの声門閉鎖が、筋力による努力でない点が重要です。

上記のふたつの例において、普段の発声よりも効率のいい歌い方が部分的にですが実現しています。
おかしな声を使うのは、楽で効率的な発声を疑似体験するためなんですね。

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▼疑似体験を取っ掛かりにして上達しよう

偶然にでも体験できた動きは、やがて意識的に行えるようになる――これが運動学習の基本的な考え方です。
はじめは特定の条件(あくび喉など)でしか実現できなかった声帯まわりの操作が、訓練を続けるうちに自然なポジションで実現できるようになります。
そうして、いつしか美しい発声が完成するのです。

一緒に頑張ってまいりましょう!

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