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発声の基礎・上達のヒントのボイトレ解説

発声の基礎、練習の進め方、音程やピッチの安定など、ボイストレーニングで上達するための考え方と練習法をまとめています。

154件の投稿 トピック一覧へ

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

なぜ(まともな)ボイストレーナーが母音にこだわってレッスンを行うのか知っていますか?

なぜ(まともな)ボイストレーナーが母音にこだわってレッスンを行うのか知っていますか?

それは母音が発話と比べると、歌唱時の時間が圧倒的に長く、その伸びた母音の部分がオーディエンスに聴こえているからです。
ですので、発音している母音が「美味しい声色」になっていないと聴く側はあなたの声を「良い声」と認識出来ません。

この動画では「マイ」と言う言葉をテーマにしていますが、「マイ」が「マエ」のように発音している時、あ母音まで濁っているのが聴こえますか?
それに対して桜田がオッケーを出しているテイクでは

•発音している母音が正しいだけでなく、
•より透き通った音色をしています。

(まともな)ボイストレーナーはこれを聴きながら生徒さんの声を出しやすくするだけでなく、美しい音色を作る様に努力しています!
音程の正確性と声色が歌において大切な要素の大変を占めていると言えるので、母音は非常に大事な要素と言えます。

もしあなたが「自分の声が嫌い」と思っているのであれば、母音をきちんと修正していくトレーニングは貴方にとって最強の味方になってくれると思います!
頑張ってね!

金子 恭平 東京スタジオ・

鼻づまり時のエクササイズ置き換え

暖かい日が増えて、過ごしやすい季節になってきましたね。
一方で、花粉が本格的に飛び始めたことで鼻炎に悩まされている生徒さんが大勢います。

ハリウッド式ボイストレーニングで大定番のエクササイズとして「Mum」や「Nay」がありますが、MもNも鼻に抜ける子音です。鼻腔が塞がっている状態では空気が逃げ場を失ってしまい、まともに発声できません。

お家で練習するときのため、お勧めの置き換えエクササイズをご紹介しますね。
 
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▼Mumのかわりに「Buh」

「Bookのブ」のイメージで「ブッブッブッ」と発音します。
Buhと書くと「バッ」と読むのが一般的ですが、ここでは「ボッに近いブッ」だと思ってください。

B子音はM子音よりも強烈に声帯を閉じるため、母音はやや狭くすることでMuhに近い強度を狙っています。

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▼Nayのかわりに「Kay」

「ケイケイケイ」と歌います。
この発音なら、Nayがターゲットとしている共鳴状態(Twang)をある程度再現できます。

極端に喉頭を上げるとやりづらいことが多いので、Funny Nayよりはニュートラル寄りの、普通の歌声に近い音を狙ってもよいでしょう。

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▼体調に合わせてエクササイズは変えるべき

なるべく継続的に発声練習は行いたいのですが、声帯や声道が毎日同じ状態でいてくれることはありません。
悪い日は悪い日なりに、できることを探して練習するのが大切です。

もちろん、本当に調子が悪いときはお休みにしてくださいね!

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

なぜアーティストの声はあんなに良く聴こえるのか

「アーティストの声って、なぜあんなに気持ちよく響くんだろう」。
この疑問の答えは、声帯の強さや声量だけでは説明できません。
鍵になるのは、意外にも「母音」にありそうです。

【「あ」は一つではない】
クリス・ハートさんは「『あ』の発声には200種類(のバリエーション)がある」と言っていた事があったそうですが、これは研究の考え方とも一致しそうです。
私たちは「あ」を一つの音として扱いがちですが、実際には同じ「あ」でも、口の開き方、舌の位置、喉頭の高さ、声道の形が少し変わるだけで、音色は大きく変化します。
つまり母音は、固定された一点ではなく、連続的に変化する“音色”でもあります。
(声を科学的に解析する時、時間変化による情報量の多さがそれを難しくする原因でもあります。が、同時に人間の耳や脳はそれを芸術的に知覚するのに優れている事にも気づきいつも感動させられます!)

【フォルマントが音色を決める】
この音色の違いを生み出している中心が、フォルマント(声道の共鳴周波数)です。
声道の形が変わると、F1やF2といったフォルマントの配置が変わり、同じ母音カテゴリに聞こえていても、響きの印象は別物になります。
歌が上手く聴こえる人ほど、この「母音の中の微細な音色差」を、音域やフレーズに合わせて自然に選び分けています。

【歌唱では母音を“保持”する】
ここで重要なのは、「正しい母音は一つ」という発想を手放すことです。
歌唱では母音は一瞬で終わりません。
発話では短時間で処理される母音も、歌では数百ミリ秒から数秒間、同じ母音を保持します。
その間、母音の形(声道の形)が少しでも崩れれば、音色は揺らぎ、響きが浅くなったり、息っぽくなったり、ピッチすら不安定になったりします。

【アーティストの声が安定する理由】
だからこそ、アーティストの声が「良く聴こえる」最大の理由は、母音の再現性にあります。
偶然一度だけ良い音が出るのではなく、狙った母音の響きを、必要な場面で何度でも再現できる。
この再現性が高いほど、歌声は安定して聴こえ、音色が洗練されていきます。

【まとめ:歌声の差は母音にある】
もし「音程は合っているのに声が決まらない」「同じフレーズなのに日によって響きが違う」と感じるなら、
支えやパワーを足す前に、母音の音色がどの位置にあるかを見直してみてください。
同じ「あ」でも、あなたの中にいくつの「あ」がありますか。

歌声の差は、母音の中にあります。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

なぜ歌唱では母音が重要なの?

歌唱において「母音が重要である」という点は、多くのボイストレーナーや歌手が感覚的には理解しています。

しかし、その理由を発声構造や歌唱特性の観点から具体的に理解は少し難しいかもしれません。

【会話と歌唱では、声の使われ方が違う】
日常会話では、意味の識別において子音が大きな役割を果たします。

一方、歌唱では事情が異なります。
フレーズの中で時間的に最も長く保持されるのは母音であり、実際に「歌声として鳴っている時間」の大半は母音です。

【発話と歌唱における母音の持続時間】
発話における母音の持続時間は、一般的におよそ 80〜150ミリ秒 程度とされています。

母音は子音と連続しながら短く処理され、言語の意味を伝える役割を担います。

一方、歌唱では母音の持続時間は大きく伸びます。
フレーズやテンポにもよりますが、500ミリ秒〜数秒以上 同じ母音を保持することも珍しくありません。
つまり歌唱では、発話時の 数倍から十数倍 の時間、同一母音を安定して維持する能力が求められます。
この持続時間の差こそが、「歌声の印象の多くが母音で決まる」最大の理由です。

【歌声の印象は母音で決まる】
聴き手が受け取っている音色、響き、声の明るさや重さといった要素は、長く鳴っている母音の質によってほぼ決定されます。
子音が正確でも、母音が不安定であれば、歌声は整って聴こえません。

【日本語歌唱と五母音の関係】
日本語は五母音「あ・い・う・え・お」を基本とする言語です。

日本語歌唱では、この五母音をさまざまな音域・音量・表現の中で、どれだけ均質な音色で安定させられるかが、歌唱の完成度を大きく左右します。言い方を変えると、「どの母音をどの高さで歌っても、その歌手のキャラクターから逸脱しないようにする必要がある」とも言えます。

【母音は発声の安定性にも影響する】
母音ごとに舌の位置、口腔の広がり、声道の形状は変化します。
これらの調整が不十分なまま音域が上がると、声が詰まる、押し出される、あるいは息が過剰に漏れるといった問題が起こりやすくなります。

【ボイストレーニングでの捉え方】
ボイストレーニングにおいて「良い声を出す」という表現は抽象的ですが、日本語の歌唱に限って言えば、「広い音域にわたって、五母音を長時間・安定した音色で維持できる状態」と言い換えることができます。これは一言で述べれば端的ですが、歌手はこれを習得するために何年もトレーニングを積むのです、、、!

【母音が整うと、歌は自然に変わる】
母音の質が整うと、ピッチの安定、響きのまとまり、フレーズの流れが自然に改善します。
良い声になった!歌が上達した!と感じる瞬間の多くは、母音の持続と安定性が変化した結果として現れると思います。

【まとめ:歌声の土台は母音にある】
もし歌唱中に、声が不安定に感じる、響きが浅い、音域によって歌いにくさが変わる場合、筋力や支えを強める前に、まず母音を「どれだけ安定して保てているか」を見直してみてください。

歌声の土台は、常に母音の中にあります。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

なぜ発声治療は「喉頭マッサージとSOVT」に偏りやすいのか

発声障害の治療内容を振り返ると、喉頭マッサージやSOVT(ストロー発声など)が中心になっているケースが非常に多く見られます。
これらは安全性が高く、短時間で声が出しやすくなる変化を感じやすいため、初期介入として選ばれやすい合理的な手法だと思います。

【即効性が生む「治療の錯覚」】
喉頭マッサージによって喉周辺の緊張が下がると、声が軽くなった、楽に出る、といった変化が起こります。
SOVTも発声効率を一時的に高めるため、患者にとっては「良くなった」と感じやすい治療です。
加えて喉頭マッサージ、SOVT共に効果が”研究で実証されています。”
しかし、この即効性こそが落とし穴になることがあります。

【機能性発声障害の本質は「筋緊張」ではない】
機能性発声障害は、しばしば「喉の筋肉が固い状態」と理解されます。
しかし実際には、多くのケースで発声の使い方そのものが誤って学習され、固定化している状態であることが問題になります。
発声の誤学習により起こった筋緊張は結果であり、原因ではない場合も少なくないと考えています。

【発声は「動作」であり、学習される】
発声は反射ではなく、運動制御を伴う行動です。
誤った発声パターンで歌い続ければ、その使い方が身体に学習され、無意識に再生されます。
この状態では、いくら緊張を取っても、歌唱という高負荷な状況で同じエラーが繰り返されます。

【会話レベルの改善では歌手は救われない】
多くの発声治療は、日常会話の改善をゴールに設計されています。
しかし歌唱は、音域、音量、音色、ダイナミクスなど、会話とは比べものにならないほど高度なタスクです。
会話が改善しても歌えない、という状況は、治療のゴール設定そのもののズレから生じます。

【なぜ「治った気がする」で終わってしまうのか】
喉頭マッサージやSOVTによって一時的に声が楽になると、治療が完了したように感じてしまうことがあります。
しかし発声行動が変わっていなければ、本番や強い発声環境で再発する可能性は高いままです。
この「感覚的な改善」と「機能的な回復」のズレが、発声障害が長引く大きな要因になります。

【必要なのは発声行動の再学習】
機能性発声障害の根本的な改善には、発声の使い方そのものを見直し、再学習するプロセスが欠かせません。
喉頭マッサージやSOVTは、その準備段階として有効ですが、それだけで完結するものではありません。
歌手にとって重要なのは、歌唱環境でも再現可能な発声動作を獲得することです。

【まとめ】
喉頭マッサージやSOVTは、発声治療において重要な役割を果たします。
ただし、それらを「ゴール」にしてしまうと、歌手が本当に必要としている回復に届かなくなる可能性があります。
治療の役割と限界を正しく理解することが、発声障害からの回復を現実的なものにしてくれる、と考えています。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

歌手の発声障害。医療チームから発声治療を受けたのに「治らない」と感じる理由

発声障害で医療機関を受診した歌手や声を使う仕事の方から、
「治療を受けたが、思ったように改善しなかった」
という声を聞くことは少なくありません。

検査では大きな異常が見つからず、それでも歌うと声が詰まる、思うように出ない。
こうした違和感は、決して珍しいものではありません。

【現場で多く聞かれる治療内容】
これまでの治療内容を尋ねると、
「喉頭マッサージを受けた」
「ストロー発声などの練習をした」
という回答が非常に多く見られます。
これらは安全性が高く、短時間で声が楽になる感覚を得やすい方法です。
発声治療の現場で広く用いられているのも、自然な流れと言えると思います。

【治療が似通ってしまう背景】
喉頭マッサージやSOVT(ストロー発声など)は、患者にとって効果を実感しやすく、医療側にとっても再現性が高いリハビリ手段です。
そして研究でも一定の成果が上げられています。
そのため、初期対応として選ばれやすく、結果的に治療内容が画一的に見えてしまう構造があります。

【歌唱が「楽になった」と「治った」は異なる】
声が楽に出るようになること自体は、回復に向かう大切なステップです。
しかし、それだけで発声障害が根本的に解決したとは限りません。
特に歌手の場合、会話では問題がなくても、歌唱のような高い負荷がかかる場面で再び症状が現れることがあります。
このズレが、「治療を受けたのに治らない」という感覚につながります。

【歌唱と会話の決定的な違い】
歌唱は、音域・音量・音色・母音変化など、日常会話とは比べものにならないほど複雑な発声タスクです。
診察や評価が会話中心になると、歌唱特有の問題が十分に評価されないまま治療が進むこともあります。
「異常なし」と言われたが歌えない、という状況は、この評価のギャップから生じることがあります。

【治療を否定したいわけではない】
ここで重要なのは、喉頭マッサージやSOVTが間違っている、という話ではありません。
(桜田の歌唱におけるリハビリでも用いられる手法です!)
これらは発声治療において重要な役割を果たす、有効な手法です。
問題は、それが治療のすべてになってしまったときに、歌手が本当に必要としている改善に届かなくなる可能性がある点です。

【なぜこの問題を整理する必要があるのか】
発声障害が長引いたり、再発を繰り返したりする背景には、治療内容と、実際に求められる発声能力とのズレがあります。
この構造を理解せずにいると、「努力が足りない」「体質の問題」と誤解されがちです。
だからこそ、発声治療の現状を整理し、歌手の立場から考え直す視点が必要になります。

【次に考えるべき視点】

では、なぜ発声治療はこのような構造を持ち、それが「治った気がする」で終わってしまう原因になるのでしょうか。
次回は、機能性発声障害の捉え方や、発声がどのように学習され、固定化されるのかという視点から、この問題をさらに掘り下げていきます。

金子 恭平 東京スタジオ・

特に難しい「う」と「い」の発音

声帯に負担をかけずにミックス発声を実現するには、歌のための母音、つまり「あいうえお」を身につけなくてはなりません。

これは音程によって変化する各倍音の周波数に対応するための『フォルマント調整』という技術なのですが、ややこしく考えなくて大丈夫です。上手に発声できることが知識より大切ですからね!

今日は初学者が特に難しいと感じる「う」と「い」の母音の作り方を学びましょう。

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▼「う」は“oo”のイメージで

まずは「お」と発音してみましょう。
そのまま顎を動かさずに、唇だけをすぼめます。これが歌うときの「う」です。

アメリカ英語の真似をして、“Cool”と発音してみましょう(Googleで発音が聴けます)。
日本語で喋るときの「う」と比べると、ずいぶんと下顎が落ちている感じがしませんか?

歌唱スタイルや求められる強さに応じて、ここからもう少し「あ」に寄せた“uh”という母音で歌うこともよくあります。

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▼「い」は“ee”のイメージで

今度は同じくアメリカ英語で“Creed”と発音してみましょう。
やはり、下顎の低さが感じられると思います。

間違っても、前歯を磨くときの「いー」にしないように気をつけてくださいね!

こちらも場合によって「え」に寄せることが多いです。

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▼目安は親指を歯にはさめるくらい

「う」と「い」のいずれの発音においても、歯と歯のあいだに親指をはさめるくらいが目安になります。
歌の最中に、これより顎が閉じている時間はほとんどありません。歯や唇が閉じるのは、特定の子音を作る瞬間や、ハミングのときだけです。

ぜひご自身が歌っているときの顔を動画で撮影して、顎が常にしっかりと落ちているかを確認してみてください!

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

なぜ発声障害は起こるのか?

「声を使いすぎたから」「喉が弱いから」
発声障害の原因は、このように単純に語られることが多いですが、実際にはもっと複雑です。
特に歌手や声を職業とする人の発声障害は、ひとつの原因だけで起こることはほとんどありません。

【声の乱用・過負荷】
最もよく知られている原因が、長時間の発声や大音量での使用です。
ライブやリハーサルの連続、騒がしい環境での会話などは、声帯に大きな負担をかけます。
また、このような状況での発声は声門を強く閉じるために頸部の筋肉を過剰に動因させると考えられます。
それにより過緊張な状態が癖化する可能性があると考えられます。

【体調不良時の声の使用】
感冒や喉の炎症がある状態で声を使い続けることも、発声障害の引き金になります。
粘膜が腫れた状態では、普段と同じ発声でも声帯への衝撃が増えやすく、小さなダメージが積み重なってしまうことがあります。

【発声技術・使い方の問題】
実は、発声障害の多くは発声のクセや誤った使い方が背景にあります。
無理な声門閉鎖、過剰な押し出し、喉頭に頼りすぎた発声などは、
声帯に慢性的なストレスを与え、結果として機能性の発声障害を引き起こします。

【心理的・精神的要因】
緊張、不安、プレッシャーといった心理的要因も無視できません。
「本番前になると声が詰まる」「マイクの前に立つと声が出にくくなる」といったケースでは、身体的要因と心理的要因が複雑に絡み合っていることが多く見られます。

【環境要因と複合的な影響】
乾燥した空気、騒音、睡眠不足、ストレスなど、発声障害は日常環境の影響も強く受けます。
特に歌手の場合、これらが同時に重なることで発症リスクが一気に高まるのが特徴です。

【原因は「ひとつ」ではない】
発声障害は、声の乱用だけでなく、体調、発声技術、心理状態、環境要因が重なって起こります。
「なぜ起きたのか」を正しく理解することは、回復への第一歩です。
声に違和感を覚えたときは、我慢せず、早い段階で原因を整理し、適切な対応を考えることが大切です。

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