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ボイスケア・声の健康のボイトレ解説

喉の不調、声枯れ、声帯のケア、ウォーミングアップやクールダウンなど、声のコンディションを整えるための投稿をまとめています。

57件の投稿 トピック一覧へ

金子 恭平 東京スタジオ・

変声期中はなぜ裏声が出ない?

男子の声が大きく変わっている真っ最中、あるいは直後は、とにかく歌いづらいものです。
とりわけファルセットは全く出ないという子が多いですが、これは単に技術不足の問題でしょうか?
 
もちろんそんなことはありません。
理由をひとつひとつ見ていきましょう。

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▼声帯サイズの急激な変化

変声期に声帯は小児時の1.6倍もの長さになり、それに伴って厚みも増します。
声帯自体の約80%は「甲状披裂筋」という筋肉ですが、これは地声を作るためのもの。

声帯を外側から傾け、引き伸ばして薄くしなければ裏声は出せません。
しかし、その働きをする「輪状甲状筋」がアンバランスに未発達なため、充分な伸展が得られないのです。

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▼脳が失う「運動地図」

脳は、喉頭の各筋肉へ送るべき電気信号の強さとタイミングを「モーター・マップ(運動地図)」として保持しています。

しかし先述した声帯サイズの激変により、脳からの命令がほとんど通用しなくなってしまうのです。
運動地図を気長に再構築しなければなりません。

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▼硬さの足りない声帯靭帯

成人の声帯の粘膜層は、三層構造になっているといわれています。
変声期前後はこの細胞の密度が低く、あらゆる高音発声に必要な張力に耐えられません。

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▼では一体いつから裏声が出るようになるの?

一般的には、喉頭の成長が落ち着く15~18歳のあいだにファルセット発声が可能になるといわれています。

ミックスボイスにはさらに繊細な筋出力バランスと周波数コントロールが求められますが、これには声帯軟骨の骨化(硬化)がある程度済んでいる必要があります。
この時期は、おおむね18~23歳程度になるようです。

変声期中や直後はフラストレーションが溜まるものですが、思うように歌えないのは当然なのです。
この時期は無理のないボイストレーニングで、各筋肉の操作と協調を身につけていきましょう!

金子 恭平 東京スタジオ・

寒さが身に染みる季節ですが、みなさん健康にお過ごしでしょうか?

寒さが身に染みる季節ですが、みなさん健康にお過ごしでしょうか?

歌いづらいと感じてはいませんか?
もしそうだとしたら、それは気のせいではありません。

冬の冷たく乾燥した空気は、声帯の粘性(ねばり)を増大させ、自由な発声を妨げるのです。

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▼固まる潤滑油

声帯を保護する粘液は、寒さに触れると粘性が増します。
サラサラだった潤滑油がネバネバになってしまうイメージです。

この変化により、声帯を振動させるのに必要な呼気圧の閾値(Phonation Threshold Pressure)が上がってしまいます。
ある音程を歌うのに、いつもより息の量と力が必要になるのです。

こうなると、繊細な表現は難しくなります。

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▼数値で見える「声の不安定さ」

声帯振動効率の低下は、以下の2つの指標の悪化として観測されます。

ジッター(Jitter):
 声帯が閉じるたびに音程が乱れる現象です。この値が上がると、いつもどおりに歌っても狙った音に当たりません。

シマー(Shimmer):
 声帯が閉じる強さが不規則になる現象です。この値が上がると、ガサガサとした雑音混じりの声になります。

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▼結局加湿が大事

こうした現象から喉を守るには、やはり加湿しかありません。

1日多めに水を飲んだくらいでは、声帯全体は潤わないといわれています。
歌い手のみなさんは、日ごろから多めの水分摂取を心がけましょうね。

お部屋の湿度は40~60%に保ちたいところです。

それでも寒い時期の喉の不調が絶えない方は、吸入器や濡れマスクの導入も検討してみてください。
吸入器などの蒸気はダイレクトに声帯表面の粘性を下げてくれます。

小野貴之 東京スタジオ・

📝鼻声を聴き分ける耳を作ること。"鼻声→プレスするまでがセット"

📝鼻声を聴き分ける耳を作ること。"鼻声→プレスするまでがセット"

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軟口蓋が下がっていると鼻への通り道が出来てしまいます。これにより、こもった声になったり、響きの悪い声になってしまいます。音量は稼げず、決してよい声とも呼べません。

◆ですが、ティーチャーは「音量が上がりすぎている声」に対しても「鼻に入ってしまっている」とジャッジすることがあります。

これは、音量が稼げないことを補うために過剰な声門閉鎖(プレス)を行なっているケースです。

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音量(声量)の稼ぎ方には主に2つの要素があり、声門下圧を高めること、もうひとつは声道の形の作り方を工夫して高周波数帯域を強調することです。

◆発声において大切なのはバランスです。やりすぎるとよい声にはなりません。

声門下圧を高めすぎると、小さな声帯はエネルギーを受け止めきれずに不要な筋肉まで巻き込んで過剰な声門閉鎖(プレス)を引き起こします。

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軟口蓋が下がり、高周波数帯域のボリュームが落ちてしまうことに対して、過剰な声門閉鎖で補おうとする。これはかなりよくあるケースです。実際小野も普段レッスンをしていてよく遭遇します。

◆大切なのは聴き分ける耳です。
こもっている、高周波数帯域が減衰している、=即鼻声、でもありません。鼻声には特有の音があります。鼻声プレスの音も、チューニングの乱れが起こるので察知することができます。

声には本当にさまざまなケースがあります。上記のように軟口蓋が下がっているからプレスするケースもありますし、息の量が多すぎるけどプレスはしたくない→息が漏れ過ぎて気づいたら鼻からも漏らしている...などもあります。

私も多くの聞き間違いを経験してここまできましたが、現在はこうした音の聴き分けに自信を持っています。

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ちなみにこんな話をしておいてなんですが、レッスン中には鼻声を指摘せずにデモンストレーションだけで修正することが多いです。なぜなら、軟口蓋は指摘して上げられるようなものではないからです。いい声になったとき、自然と軟口蓋も声門下圧も整っているものなのです。デモと、少し別の言葉を使ったディレクションで声を探してもらい、よい声を出していただいた後で、最初のあのエクササイズは鼻に入っちゃってたんですよ、というように教えたりします。

◆あとで録音を聴き返すことは優れたイヤートレーニングになります。自分で練習するには、よい声とそうでない声の聴き分ける力が必要です。

ちなみに、イヤートレーニングに最適なのはVT-RVです。歌声をトレーニングする上で必要な能力は、半分は耳なのです。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

ベルティングの科学を知ろう!

声を磨く上で、「響き」や「声量」に注目されますが、見落とされやすいのが「空気の流れと圧力の関係」です。
私たちはつい「息をもっと使おう」「支えを強く」といった言葉に頼ってしまいがちですが、実際に声を支えているのは“量”でも“力”でもありません。
それは「Airflow(呼気流量)」と「Subglottic Pressure(声門下圧)」、つまり息の流れとその下に生まれる圧力のバランスなのです。

呼気流量とは、発声中に声門(声帯のすき間)を通り抜ける空気の量を指します。
一方で声門下圧とは、声帯の下に蓄えられた空気の圧力です。
この二つの要素が釣り合うとき、声は最も効率的に響き、音色が安定します。

この関係を最初に物理モデルとして整理したのがTitze(1989)です。
彼の研究では、声門下圧が一定値を超えると声帯がより規則的に開閉し、発声効率が最大化されることが示されました。
つまり、声は「押し出す力」で作られるのではなく、「圧力と流量の均衡」で作られるということです。

声門下圧が強すぎると、声帯は過剰に押しつぶされ、振動幅が狭くなります。
結果として声は硬く、息苦しく、響きが浅くなります。
逆に流量が多すぎると、閉鎖が甘くなり、空気だけが漏れて芯のない声になります。
この“押しすぎ”と“流しすぎ”のあいだに存在するわずかなゾーンこそ、発声が最も快適で、声が自然に共鳴する領域なのです。

ベルティングのような強い声では、声門下圧を高め、流量を相対的に抑えることでエネルギー効率を最大化します。
圧によって声帯をしっかり駆動し、明るく、密度のあるサウンドを作るスタイルです。
一方、息っぽいなバラードやR&Bのような柔らかい声は、声門下圧を少し下げ、流量を多くすることで軽やかな響きを生み出します。
両者は方向性が正反対に見えますが、どちらも“圧と流量の設計”という同じルールの上に成立しています。
この「設計」を誤ると、どんなに声帯が健康でも、声は不安定になります。
圧が強すぎれば喉に過緊張が生まれ、流量が多すぎれば支えきれずに声が拡散する。
そして多くの場合、本人は「支えが足りない」と感じて、さらに力を入れてしまうのです。

声帯は単なる弁ではなく、空気のエネルギーを音に変換する“発電装置”のような存在です。
理想的な発声とは、空気が無理なくエネルギーへと変わり、身体全体がその共鳴を支えている状態。
そこでは、筋力よりも流れの設計、努力よりもバランスが結果を決めます。

実践的なトレーニングとして有効なのが、ストロー発声などのSOVT(半閉鎖発声法)です。
声門上にわずかな抵抗をつくることで、声門下圧と呼気流量のバランスを自然に調整できます。
ストローを通して声を出すと、空気が滑らかに流れ、圧が均等にかかる感覚が得られるはずです。
これは「押す」でも「息を漏らす」でもなく、まさに声が“流れに乗る”感覚です。
最終的に重要なのは、声門下圧と呼気流量をコントロールする意識を持つことではありません。
それを“感じ取れる身体”をつくることです。

歌は筋肉だけではなく、エネルギーの流れで成り立っています。
もし今、あなたの声が硬い、息っぽい、響かないと感じるなら、力ではなく流れを見直してください。
AirflowとSubglottic Pressureの釣り合いを取り戻すこと。
それこそが、あなたの声をより自然に、より深く響かせる最短の道です。

三浦優子 東京スタジオ・

なぜ運動した後は声が出やすいのか?

 
「運動した後の方が声が出しやすい」「レッスンの後半になると声が通る」──そんな経験をしたことはありませんか?
実はこれは偶然ではなく、発声の仕組みと身体の状態が深く関係しています。
 
運動をすると、全身の血流が促進され、筋肉や関節が柔らかくなります。
その結果、呼吸筋(横隔膜や肋間筋など)がスムーズに動き、息の流れが安定します。
さらに、姿勢を支える体幹の深層筋(多裂筋・腹横筋・骨盤底筋など)が自然に働き始めることで、上半身の力みが抜け、喉まわりが自由になります。
  
つまり、運動後に声が出やすい理由は「体の軸と呼吸の通り道が整うから」。
この状態では、声帯の動きが無理なく均等に保たれ、音の立ち上がりも軽くなります。
逆に、体がこわばっていたり姿勢が崩れていたりすると、息の圧がコントロールできず、喉だけで声を出そうとしてしまうのです。
 
だからこそ、声のウォーミングアップの前に“体のウォーミングアップ”を取り入れるのはとても理にかなっています。
「背骨をゆらす」「肩甲骨を動かす」「骨盤を動かす」など、シンプルな動きで十分。
体がほぐれ、重心が整うだけで、声の響き方や抜け方が驚くほど変わります。
 
この状態で発声練習を行うことで、声の立ち上がりも早くなり、トレーニング効率が格段にアップします。
特に「声が出るまで時間がかかる」「最初の数曲で喉が重い」と感じる方には、ぜひ試してほしい方法です。

金子 恭平 東京スタジオ・

ウォームアップにかかる時間の個人差

日々ボイストレーニングに取り組んでいる方は、寝起きでいきなり曲を歌ったりはしないですよね。
リップバブル等のボーカルエクササイズで、声帯まわりの組織を起こす作業から始めるのではないでしょうか。

ボイストレーナーを長年続けていて感じることですが、多くの場合男女ともに、低めの声種の生徒さんのほうがウォームアップには時間がかかるようです。

低い声種の方の特徴としては、以下の2つが挙げられます。

1.声帯が大きい
2.声道(首を含めた共鳴腔)が長い

楽器のサイズが大きいということですね。

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▼そもそもウォームアップとは?

スポーツなどでもウォームアップという言葉は頻繁に使われますが、実際には何を指しているのでしょう?

調べてみたところ、「特定の動きを用いて体の各部位に血液を送り、筋肉組織の温度を上げて柔軟にする」ことをウォームアップと定義するそうです。
文字どおりに温めているわけですね。

そしてこの温度上昇の原則は、声帯まわりについてもそのまま当てはまるとのこと。
くわえて声帯は浮腫みやすいので、余分な体液を排出することも大事になります。

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▼筋肉のサイズによる違い

ここでポイントとなるのが、「大きな筋肉ほど温まるのに時間がかかる」ということ。

声帯の8割は甲状披裂筋という筋肉で構成されていますから、大きな声帯にはより入念なボーカルエクササイズが必要なのもうなずけます。

さらに、ウォームアップには「神経系の協調を回復させる」という狙いもあります。
一般的に大きな声帯ほど操作が難しいので、神経系の協調を取り戻すのにより時間を取られる可能性もあるでしょう。

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▼まとめ

個人差はあるものの、基本的に楽器のサイズが大きい歌手ほどウォームアップに時間がかかるのは事実のようです。

それだけ聞くと不利なようにも思えますが、得てして大きな楽器からは魅力的な音が出るものです。
ご自身の声の魅力を最大限に引き出すため、ウォームアップは丁寧に行いたいですね!

金子 恭平 東京スタジオ・

自主練習のやめどきは?

発声の上達には、自主練習が不可欠です。
レッスンは多くても月に4回程度で、残りの時間のほうが圧倒的に長いわけですからね。

ご自身のペースで練習しているときは、知らず知らずのうちに喉を酷使してしまいがち。
一度のセッションで長時間歌おうとせず、休み休み練習するのが大切です。

では、どんなタイミングで休憩を取ればいいでしょうか?

ひとつの目安として、「小さな声を出しづらくなったとき」をお勧めします。

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▼なぜ声量が目安になるの?

まずは声の仕組みから考えてみましょう。

肺から吹き上がる息を、声帯同士が揉んで圧縮するような動きで音波に変えます。
このとき声帯同士はものすごい速さで――高いラの音なら1秒間に440回――ぶつかり合っています。

繰り返される摩擦によって声帯の粘膜が失われたり、声帯そのものが腫れてくると、小さな声で歌うのが非常に難しくなります。
なぜなら、声帯が動きだすために必要な呼気圧(PTP=Phonation Threshold Pressure)が増えているからです。

逆に言えば、小さな声で歌えなくなってきたときは、すでに声帯が消耗していると考えてよいわけですね。

柔らかいチェストボイス、ウィスパーボイス、小音量のファルセットなどが出しづらく感じたり、音が途切れてしまうのは疲労のサインです。
この段階で練習を中断してしばらく休めば、声帯の振動は回復してきます。

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▼対策

ヴォーカルエクササイズをご自身でおこなうときは、強い声で数分歌ったあとは必ず弱声の下降スケールなどをはさんでください(発音はNooなど)。

内喉頭筋群が緊張状態でロックしてしまうことを防げますし、声帯にも適度な休憩が与えられます。

そして何より、このときの音色しだいで、休憩するかどうかの判断ができるのです。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

女性の加齢と声の変化 ― なぜ声は変わるのか?

ふとした瞬間に「昔より高い声が出しにくい」「声が疲れやすい」と感じたことはありませんか?
女性の声は、年齢とともに少しずつ変化していきます。実際に、音域が狭くなる・声が低くなる・響きが減るといった変化は多くの方に起こります。

その背景には、女性ホルモン(エストロゲン)の減少があります。エストロゲンは声帯の粘膜をしなやかに保つ役割を果たしていますが、更年期以降に分泌が減ると、声帯の潤いが失われやすくなります。その結果、声がかすれたり、伸びが悪くなったりするのです。

さらに、加齢とともに声帯や周囲の筋力が低下していきます。声帯を閉じる力(声門閉鎖)が弱まると、声に息が混じり、高音が出にくくなることがあります。これらが重なることで「声が老けた」と感じやすくなります。

しかし、これは避けられない“衰え”ではありません。適切なケアやボイストレーニングによって、変化を緩やかにし、むしろ声を若々しく保つことが可能です。例えば、日常的に水分補給を心がけて声帯の乾燥を防ぐ、軽い発声練習で筋肉を刺激する、共鳴の工夫で声に厚みを持たせる、といった方法が役立ちます。

声の変化は年齢のせいだけでなく、使い方次第で大きく変わるということです。年齢を重ねても「自分らしい声」を維持し、さらに魅力的にしていくことは十分に可能です。

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