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ボイスケア・声の健康のボイトレ解説

喉の不調、声枯れ、声帯のケア、ウォーミングアップやクールダウンなど、声のコンディションを整えるための投稿をまとめています。

57件の投稿 トピック一覧へ

金子 恭平 東京スタジオ・

長時間歌い続けるには?

プロを目指してボイトレに通っている生徒さんは多いと思います。
プロ志向でなくとも、いつかは趣味でライブをしてみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。

そこで問題になるのが、長時間歌い続けるための持久力です。
カラオケですぐに喉が枯れてしまったことはありませんか?

ライブハウスの対バンイベントに出演する場合、30分前後の持ち時間が与えられます。

MCを5~10分と考えて、20~25分ほどが演奏時間になります。
歌い手には最低でも五曲程度は続けて歌う能力が必要なのです。
MCのあいだも声帯は使われますから、基本的に喉のための休憩はないと考えたほうがよいでしょう。

アーティストとしてある程度人気や信用を得ると、出演者の少ないイベントに出演するようになります。
持ち時間は、おおむね以下のような感じです。
――スリーマンライブ:40~50分
――ツーマンライブ:50~60分

ワンマンライブを開催するときは、90~120分のあいだでセットリストを組むのが一般的です。

メジャーアーティストの単独コンサートとなると、150分くらいのボリュームも当たり前。曲数にすると20数曲から30曲にもなります。
しかもそのセットリストを連日こなしたりするわけですから、一流歌手のスタミナが尋常でないことがわかりますね。

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▼歌におけるスタミナとは

大前提として、長時間歌唱するためには効率的な発声が必要です。
効率的な発声とは、声帯まわりの各筋肉が協調して働いている状態を指します。

声帯を閉じるための閉鎖筋群(甲状披裂筋、外側輪状披裂筋)と、声帯を引き伸ばす伸展筋(輪状甲状筋)をバランスよく働かせるのが難しく、初学のうちにもっとも苦労するポイントです。
上記のバランスが実現されると、声帯は平行に合わさり振動することになります。
この声区をモーダルレジスタ(地声区)やファルセットレジスタ(裏声区)と区別して、ミックスレジスタ(混声区)と呼びます。

また、声道の形を適切に調整することで、唇から声帯方向への逆圧を得られます。
逆圧が肺から吹き上がる息に抵抗することで、声門閉鎖を助けてくれるのです。
自力で声帯を合わせる努力が減れば、それだけ疲労を防ぐことにつながるでしょう。

※ステージ中の声の劣化には、声帯の粘膜やボディがダメージを負って起こるものと、声帯を操作する筋肉群の疲労によって起こるものがあります。詳しいことはまた別記事にて説明できればと思います。

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▼ほかにスタミナを鍛える方法は?

効率のよい発声をしていても、長時間歌い続ければ筋疲労は避けられません。
さらなる対策はないのでしょうか。

たとえば、長距離ランニングなどの有酸素運動はどうでしょう?
継続的な有酸素運動は、筋エネルギーの生産工場であるミトコンドリアを発達させることで知られています。
そしてミトコンドリアこそが、筋持久力を決定づけている要素なのです。

残念ながら、全身運動をしても内喉頭筋群の持久力が直接向上することはないようです。
しかし悲観するべきではありません。
トレーニングを通して鍛えられた姿勢筋群や呼吸筋群、また心肺機能などは、確実に歌に役立ちます。
助けになるものは、すべて取り入れていきましょう。

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▼もっとも大切なのは発声技術

本質的に歌の持久力を上げるには、やはり技術を洗練させ続けることです。
ミックス発声を習得済みの人でも、訓練を続けることでむだが減り、より長時間歌えるようになります。
そんな歌手の姿をわたしは何度も目にしてきました。

また、声帯に水分が行き渡っていることも、健康的な歌唱を長時間続けるための条件です。
ここで注意してほしいのが、ライブ直前に大量の水を飲んでも、声帯の粘膜が一時的に増えるだけだということです。それは発声するうちにすぐ吹き飛んでしまいます。
筋肉層まで水分が浸透している必要があり、そのためには体重×30~40ml程度の水分を、月単位で継続的に摂取していかなければなりません。
水分摂取についてはヒロキ先生が詳しく書いてくれているので、ぜひタイムラインをさかのぼってみてください。

また、ライブを乗り切るためには、その日の体調やその瞬間の疲労度によって歌い方を変える必要もあります。
ふだんはベルティングで歌っているフレーズを、ヘッドボイス寄りのミックスで乗り切るといった工夫です。
そしてそれには、やはり発声技術が必要なのです。歌手寿命を長く保つには、スキルの向上を避けて通ることはできません。
いっしょに練習をがんばりましょう!

金子 恭平 東京スタジオ・

真夏の風邪予防

 
暑さがピークに達する時期ですね。みなさん元気にお過ごしでしょうか。
熱中症対策はもちろんのこと、声帯のコンディショニングとしても、充分な水分をとりたいところです。

一方、世間では夏風邪も流行しているようです。

風邪への対策として個人的にもっともお勧めしたいのが、「鼻うがい」になります。

―――
▼歌声の大敵である上咽頭炎

風邪をひくと咽頭、鼻、気道などにいろいろな炎症が発声します。
どれも発声に関わる部位なので、当然声は出しづらくなってしまいます。

歌声を構成する要素は――
「声帯の閉じ加減×息の量×声道(共鳴腔)の形状」
でしたね。

同じ風邪ウィルスに感染しても、体質によって鼻炎が強く出たり、咳が止まらなくなったりします。症状には個人差があるのです。

いずれの場合でも避けられないのは、鼻と喉の中間に位置する「上咽頭」の炎症です。
そもそも、多くの感染がこの上咽頭へのウィルスの付着から起こるといわれています。 

主要な共鳴腔である上咽頭の腫れが、歌声にもたらす影響は大きいです。
声帯に異常がなくとも声が裏返ったり、ノイズが乗ったりします。

慢性上咽頭炎という疾患も近年ボイトレ界では有名になりました。
これはその名のとおり、上咽頭が慢性的に炎症を起こしている状態です。
喉のコンディションとしては、常に風邪をひいているようなもの。歌い手にとっては厄介この上ないですね。

―――
▼風邪や花粉、慢性上咽頭炎などに効果のある鼻うがい

鼻うがいをすることで、上咽頭を直接洗浄できます。
風邪の予防効果に期待できる上に、花粉や黄砂などへの対策としても有効です。

また、すでに風邪をひいてしまった場合でも鼻うがいが助けになります。
上咽頭に付着したウィルスを一定数洗い流すことで、炎症の回復が早まる効果が研究により確認されています。

そして、日々鼻うがいを続けることで、慢性上咽頭炎の症状も改善するといわれています。

こんなにいいことづくめなら、やらない理由がありませんね!

―――
▼どうやって実施する?

鼻うがいのキットは、薬局などで販売されています。
水を吸い上げ噴出するポンプ仕掛けのボトルと、ナトリウムの粉末がセットになっているものです。

個人的には「サイナスリンス」という商品を愛用しています。
※ポンプで排出する水の量が充分なため、上咽頭にしっかり届くようです。とあるYouTubeチャンネルにて、耳鼻咽喉科の先生が内視鏡で検証していました。

使用する水については、日本国内であれば基本的に水道水で問題ないといわれています。
可能であれば蒸留水などを使えばより安全でしょう。

また、専用のキットがなくても鼻うがいは可能です。
220mlの水に対して、2gの塩を混ぜてあげてください(体液の塩分濃度に近づけるため)。分量はおおよそで大丈夫です。
わたしも旅先にキットを携行し忘れたときなどは、コップと水道水と食塩で対応しています。

鼻うがいのタイミングとしては、一般的に起床時と就寝前が勧められます。
わたしは基本的には帰宅時のみおこなっています。通常の喉うがいと同じタイミングで、鼻うがいに置き換えている感じです。

―――
▼まとめ

今回は風邪対策のひとつとして、鼻うがいをご紹介しました。
慢性的な喉の炎症にも効果があるので、歌い手ならぜひ身につけておきたい習慣だと思います。

慣れるまでは不快感があるかもしれませんが、まずは数週間試してみてください!

金子 恭平 東京スタジオ・

ストレスによる喉の違和感

「なにかが喉に詰まっている感じがする」
「つねに喉が締まっている感覚がある」

こうした症状で悩んでいませんか?

まずは耳鼻咽喉科で診察を受けることをお勧めしますが、外的な異常が見られないケースも存在します。

その場合は『咽喉頭異常感症(Globus Pharyngeus)』の可能性があります。
ストレスやトラウマ、心的困難により、喉から胸にかけての異物感や圧迫感を覚える症状です。
 
―――
そもそも発声への不安が、こうした感覚を作り出しているケースは多いようです。
その場合は技術が向上するにつれ、違和感が解消することに期待できるでしょう。

しかし症状の程度によっては練習効率を大きく下げてしまい、上達どころではなくなってしまう可能性もあります。

―――
<咽喉頭異常感症が疑われる場合の対策>

リラクゼーション:
 心と体の緊張を解きほぐしましょう。
 深呼吸や瞑想、首や肩周りのストレッチを日常的に取り入れることが効果的といわれています。

喉から意識をそらす:
 喉の違和感に集中するほど、症状は強くなりがちです。
 発声時の意識の焦点を、横隔膜の動きなどに置いてみるのもいいでしょう。

専門家への相談:
 症状が続く場合は、まず耳鼻咽喉科を受診し、器質的な問題の有無を確認しましょう。逆流性食道炎や悪性腫瘍などの可能性もあるのです。
『咽喉頭異常感症』と診断された場合、言語聴覚士による音声治療に取り組むこともあるでしょう。
 ボイストレーニングを続ける許可が出た場合は、内・外喉頭筋の過緊張を引き起こさないトレーニング法をトレーナーとともに模索していきます。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

歌う人必見

声帯が抱える“摩擦”と水分補給の大切な関係

声を出すとき、声帯は高速で振動しています。
実はそのたびに「摩擦熱」が発生しているってご存知ですか?

とくに、声帯の中央部分は一番振動が大きく、摩擦も最大に。
そしてこの摩擦は、音が高くなるほど・大きくなるほどどんどん強くなるんです。

• 1オクターブ高く歌うだけで摩擦エネルギーは4倍に
• 2オクターブ上がると、なんと16倍にも!

音量が大きければさらに増加。
つまり、高音&大音量で歌うとき、声帯は想像以上に負荷がかかっているということです。

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◉ 声帯を守るカギは「潤滑」

体にはこの摩擦に対応するシステムがあります。それが 声帯粘膜の潤滑機能。

粘膜の「粘性」が高い=ネバネバしていると、摩擦も増えてしまいます。
逆に「粘性」が低い=サラサラしていると、摩擦が減って振動もスムーズに。

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◉ 水分補給がなぜ大事か?

水を飲んだからといって、直接声帯にかかるわけではありません。
でも、体内の水分バランスが整うことで、声帯粘液の粘性を下げるサポートになります。

つまり、水分補給は、
• 声帯の潤滑性を保つ
• 摩擦による負担を減らす
• 持久力や声の安定感を支える

といった、声のパフォーマンスを守る超重要ケアのひとつなんです。

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歌い手にとって、水分補給は「日常のメンテナンス」。
一般の人以上に意識して取り組むべきポイントです。

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あなたは、今日ちゃんと水、飲めていますか?
喉が渇く前に、こまめに水分補給を心がけましょう!

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

その「声の不調」、水分不足が原因かも?

「歌い出すとすぐに咳払いしたくなる」とか、「喉に痰が絡んでスッキリしない」っていうクライアントさん、実はけっこう多いですよね。

そんなとき、まず確認してほしいのが水分摂取量です。
実際に「お水、どのくらい飲んでますか?」と聞いてみると、ほとんどの方が驚くほど飲んでいません。

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▶︎ 1日に必要な水分量はどのくらい?

目安としては、
体重(kg)× 30〜40ml
たとえば体重50kgの方なら、1.5〜2リットル程度が目安になります。
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▶︎ なぜ水分が大切なのか?

声帯は、例えるなら“湿った薄膜”のような構造。
水分が足りないと粘液が乾燥しやすく、摩擦が増えて声帯の負担もUP。
結果として「ガサつき」や「声量の低下」、さらには「痰がからみやすい」といった症状につながることも。

実際、水分不足が明らかなクライアントさんに、適切な水分補給と基本的な発声をセットで提案したところ、次のレッスンで声の明瞭さ・張りが格段に改善したという例もあります。
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▶︎ レッスン中の水分補給、忘れてませんか?

これから夏にかけては脱水症状にも注意が必要な季節。
「のどが渇いたと感じる前に飲む」くらいの意識がちょうどいいです。

レッスン時には、水分(できれば水や常温のハーブティー)を必ず持参して、こまめに補給できるようにしましょう!
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✅まとめ
• 声の不調は水分不足が原因のことも多い
• 体重×30〜40mlの水分を目安に
• 小まめな水分補給で声帯を健やかに!

「トレーニングの成果が出ないな」と感じたら、まず楽器(=体)のメンテナンス、チェックしてみましょうね!

金子 恭平 東京スタジオ・

やっぱり、はちみつは最強の喉ケアかも?

歌い手のみなさんにとって、風邪などによる喉や器官の炎症は死活問題ですよね。

こんなときはすこしでも回復を早めたいものですが、役に立つのが『はちみつ』です。
古くから民間レベルでは「喉荒れや咳に効く」とされてきましたが、実際に効果的であるという研究結果が近年たくさん出てきています。

―――
たとえば、権威ある英医学誌『BMJ Evidence-Based Medicine』に2020年に掲載されたシステマティックレビュー(H. Abuelgasim医師らによる研究のまとめ)です。
はちみつが風邪などの上気道感染症の症状改善に、通常の治療よりも効果的である可能性を示しました。
この研究は14件の研究、1700人以上のデータを分析したもので、はちみつが喉の痛みや咳の頻度を緩和することを裏づけています。

さらに、子どもの咳に対するはちみつの効果を調べた2018年のコクランレビュー(O. Oduwole医師らによる複数の研究の分析)などもあります。
はちみつには、咳止め薬と同程度に咳をしずめる効果があると確認されました。
※ただし1歳未満の赤ちゃんには、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、絶対にはちみつを与えてはいけません。

―――
実はぼく自身、この四月に風邪をひいてせきが止まらなくなりました。
早く治す方法を調べるうちに、上記のような数々の論文に行き当たったのです。

はちみつを試してみたところ、これまでにないスピードで咳が引いていった実感がありました。

それ以来、自宅にもレッスンスタジオにもはちみつを常備しています。風邪以外の炎症にも効果があるようですよ。
ちなみに味は苦手です。

金子 恭平 東京スタジオ・

喉頭の位置はなぜ重要?

熱心にボイトレに取り組んでいる方なら、「喉頭(のど仏)を下げて歌おう」という言葉を聞いたり、読んだりしたことがあると思います。
一方で、「いやいや喉頭を上げなきゃ高音は出ないよ」といった情報も見受けられるので、混乱している方もいるかもしれません。

そもそも、喉頭の位置はどうして重要なのでしょうか?
声が作られる仕組みから簡単に理解していきましょう。

――
<発声のメカニズム>

肺から吹き上げられた空気が、振動する二枚の声帯に何度も押しつぶされて音波が生まれます。
この音が持つ成分のうち、音程そのものとして聞こえる部分を「基音」と呼びます。

基音は声帯が1秒間に何回振動するかで決まります。この振動数をHz(ヘルツ)という単位で表します。
例えばピアノの真ん中あたりの「ラ」の音(A4)の周波数は440Hzです。1秒間に440回の速さで声帯が振動しぶつかり合った結果、A4が出力されるということです。

人間の声は、基音の整数倍の周波数を持つ「倍音」をたくさん含んでいます。
A4なら880 Hz(第二倍音)、1320 Hz(第三倍音)……といった具合です。

声帯で作られた音(基音+倍音)が喉から口までの空間(声道)を通るときに、特定の周波数帯が強調されます。
ここで強調される周波数の各かたまりを「フォルマント(共鳴点)」と呼びます。特に第一フォルマントと第二フォルマントは、声のキャラクターに大きく影響します。
同じ高さの音を歌っても、喉頭や舌の位置、唇の開き方によって音質と母音が変わります。部屋の形状によって音楽の聞こえ方が変わるのと同じ原理です。

――
<喉締め発声はなぜ起きるか?>

歌唱の際は、しばしば第一フォルマントが第二倍音に接近します。
いわゆる地声的な響きを得るために、第二倍音が声道の形状によって強調される必要があるのです。

問題となるのは、「音が高くなるほど倍音同士の間隔が広くなる」点です。

中高音を発声する際、歌い手は第一フォルマントと第二倍音の関係性を保とうとして、喉頭を引き上げてしまいがちです。高い周波数を得るには、短く狭い声道が必要だからです。
これが過剰になると、「喉締め」と形容される、苦しそうな音が出力されてしまいます。
音質だけの問題ならまだ良いのですが、狭すぎる声道はしばしばダメージを招きます。
ここに強すぎる声門閉鎖や多すぎる息の量が加わって「張り上げ発声」となると、さらに危険です。

――
<どうすればいい?>

高い声を無理なく歌うには、喉頭の位置をある程度安定させ、第一フォルマントの過度な上昇を防ぐ必要があります。
脱線するのでここでは詳しく述べませんが、母音の調整が必要です。

ただし、第一フォルマントを下げすぎてしまうと音色は裏声的になります。
地声のトーンで中高音を歌えば、技術レベルや志向する音色によって程度の差はあるにせよ、喉頭の位置は上がるものです。ミックスボイス習得者も、クラシック歌手も同様です。

地声をメインとした歌唱の際は、喉頭の高さは「下げる」ではなく「上げすぎない」のがポイントといえるでしょう。
この加減が音楽ジャンルや声質、また講師と生徒のスキルにも左右されるため、冒頭で示したように様々な指導が生まれるわけですね。

桜田ヒロキ 東京スタジオ・

ボイストレーナー向け

ハリウッド式に学ぶ“子音”の戦略的活用法

多くのボイストレーニングでは、
1.母音だけで練習する
2.子音をランダムに使う
というスタイルが主流かもしれません。でも、ハリウッド式では子音を「声帯の操作装置」として戦略的に使うのが大きな特徴です。

音声学や発声生理学の視点から見ると、子音ごとに声帯・声門・共鳴腔に対する働きがまったく異なり、それがトレーニング効果に直結します。

⸻
■ たとえば、有声破裂音([b], [d], [g])

これらは**声門下圧(subglottic pressure)**を一時的に高め、閉鎖→爆発的開放という動きを作ります。この過程で声帯の閉鎖感覚が一気に強化されるため、
•声が息っぽくなる
•ミックスで地声が薄まってしまう
•ファルセットに逃げやすい

といった傾向を持つ生徒に対して、声門の閉鎖感覚と圧の維持を身体に覚えさせるのに非常に効果的です。

⸻
■ 一方で、無声帯気音([h], [f], [s]など)

これらは声帯の開放傾向が強く、声門閉鎖のプレッシャーがほとんどかからないため、次のようなタイプの生徒に有効です:
•声に過剰な力みや圧がかかっている
•常に張り上げたような声になってしまう
•共鳴腔のコントロールが苦手

つまり、無声子音は力みの抜けたアタックを作りやすく、「やわらかい入り口」から声を整える手助けになります。

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■ 子音は“筋トレツール”である

子音をただの発音記号と捉えるのではなく、発声筋(声帯筋、外側輪状甲状筋、声門閉鎖筋群など)をターゲットに鍛えるためのスイッチと考えると、トレーニングの幅が一気に広がります。

実際にハリウッド式(Seth Riggs)では、生徒の声のタイプや習慣に応じて「処方箋のように子音を使い分け」ているのが特徴です。

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■ 実践時の注意点

子音の選び方を間違えると、逆効果になることもあるので注意が必要です。
•声門閉鎖が強すぎる人に有声破裂音を与えると、喉を潰す危険性がある
•声が薄い人に無声子音を多用すると、さらに声がスカスカになる

トレーナー側には、「聴き分け」と「子音の処方」の両方において高いスキルが求められます。

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声の質感を整えるには、子音というツールを**“声のマニュアルシフト”**のように活用することが鍵。
ぜひ、生徒の声の傾向に合わせて、科学的な視点で子音を選んでみてください!

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