生徒さんから「何を練習すればいいですか?」と聞かれませんか? 僕は聞かれません。
生徒さんから「何を練習すればいいですか?」と聞かれませんか? 僕は聞かれません。
レッスンの終わりに、生徒さんから「先生、家では何を練習すればいいですか?」と聞かれることはありませんか?
僕も若いボイストレーナーだった頃は、よく聞かれていました。
ところが現在は、ほぼ100%と言っていいほど聞かれなくなりました。
なぜでしょうか?
それは、レッスンの中で生徒さん自身が「何を、どうやって練習すればよいのか」を理解できるように、レッスンを設計しているからだと思います。
【発声練習と楽曲練習をつなげる】
僕がレッスンで大切にしているのは、発声エクササイズで取り組んだ課題を、実際の楽曲の中でも使えるようにすることです。
例えば、音階練習ではスムーズに高音が出せるようになったのに、楽曲に戻るとうまく歌えない。
ボイストレーナーなら、こうした経験は何度もあると思います。
音階練習と楽曲では、求められるタスクが異なります。楽曲では歌詞、リズム、音域の移動、フレージングなど、さまざまな要素を同時に扱う必要があります。
ですので、音階練習でできるようになったことを、どのように楽曲へ応用するのか。この橋渡しまで考えるようにしています。
【楽曲の問題点を具体的な練習方法に変える】
レッスンでは、まず楽曲をワンコーラス、あるいは通して歌ってもらい、課題となる箇所を分析します。
そして、そのフレーズを取り出して、具体的な練習方法を提案します。
例えば、歌詞を歌いやすい母音や言葉に変更してみる。メロディーを少し変更して、難しい音程への移動を単純化する。あるいはキーを変更して、目的とする発声を成立させやすくする。
こうした工夫を通じて、難しいフレーズを練習可能な課題に変えていきます。
大切なのは、問題となるフレーズを繰り返し歌わせるだけで終わらせないことです。
生徒さんが自宅でも取り組める、具体的な練習方法を作ることが重要だと考えています。
【僕がレッスンの終わりに必ず確認すること】
こうした練習を進めた後、僕は生徒さんにこんな質問をします。
「どう? これで練習ネタにできそうですか?」
生徒さんが理解できていれば、自宅でどのように練習すればよいのか、自分でイメージできるはずです。
もし理解が不十分そうであれば、「ここと、ここと、ここを、こういう方法で練習してみて」と具体的に説明し直します。
単に「今日はこれができるようになりましたね」で終わるのではなく、「次のレッスンまでに何を練習するのか」が明確になっている状態を目指しています。
【生徒さん自身が実験できるようにする】
自宅での練習では、レッスンで取り組んだことを繰り返すだけでなく、自分で録音して聴き比べたり、母音や歌い方を変えて実験したりすることもできます。
そして、発声が改善することで、楽曲の解釈や表現にも新しい可能性が生まれるかもしれません。
次回のレッスンでは、その練習によって何が変わったのかを確認し、さらに次の課題へ進んでいきます。
このように、レッスンと自主練習をつなげるサイクルを大切にしています。
【ボイストレーナーの仕事とは?】
僕は、ボイストレーナーの仕事の一つは、生徒さんが自分自身で練習できるようにすることだと考えています。
レッスン中に良い声が出せたことは、もちろん素晴らしい成果です。
そして、その成果を自宅で再現し、さらに発展させられるようになれば、上達の可能性は大きく広がります。
生徒さんに「何を練習すればいいですか?」と聞かれたときこそ、レッスンの設計を見直す良い機会なのかもしれません。
皆さんは、レッスンの終わりにどのような形で練習課題を伝えていますか?