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音階(スケール)の役割とは|声のバランスを整える設計ツール【VT-RV第3期レポート】

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。ボイストレーナー養成講座【VT-RV】第3期、今回のレポートは、VT代表・桜田ヒロキインストラクターによる音階(スケール)についてです。
前回・前々回の講義では、ボイストレーニングで特に大事な「母音・子音・音階」のうち、母音と子音について学びました。今回のテーマである音階を学ぶことで、ボイストレーニングを行うための基本的な土台が完成します。

音階(スケール)は、声を整えるための「設計ツール」


音階は、ただ声を温めるためのウォームアップではありません。ボイストレーニングでは、音階を使って、声をつくる筋肉の働きや、低音から高音へ移るときの声区移行、発声全体のバランスを整えていきます。つまり音階は、声をよりよい状態へ導くための「設計ツール」なのです。
ただし、どの音階が向いているかは、ボイスタイプや一人ひとりの声の状態によって異なります。そのため今回の講義では、具体的なエクササイズを学ぶ前に、まず「音階にはどのような役割があるのか」というところから解説していただきました。

音階を使うときの主なポイントは、次の5つです。講義では、まずTAとCTの働きを復習しながら、低音域と高音域で起こりやすいことを整理しました。

この筋活動をボイスタイプに当てはめると、Pull ChestとLight Chestの違いも見えてきます。

こうした筋活動のバランスを調整するために、音階の選び方が重要になります。
ただし桜田インストラクターは、「これが必ずしも全員に当てはまるわけではない」と前置きをしていました。
というのも、同じボイスタイプであっても、細かく分析すれば「まったく同じ人はいない」からです。それでも、この基本的な考え方を知っておくことが、どう応用していけばいいかの助けになるとのことでした。
今回の講義では、この基本理解をもとに、音階が声にどのような変化を与えるのかを、さらに深く学んでいきました。

ボイストレーニングの「6つのメインツール」|なぜその音階なのかを理解する


ここからは、ボイストレーニングの基本となる6つの音階を学びました。ただ、実際のレッスンで使われる音階は、この6種類だけではありません。今回学ぶ音階をもとに、下降する部分だけを使うなど応用することで、8種類、12種類と広がっていくそうです。
つまり、6つの音階は、完成された型というよりも、さまざまなエクササイズへ展開するための基本形です。
桜田インストラクターからは、音階をそのまま使うことも大切ですが、「なぜこの音階なのか」という背景まで理解することが、応用力につながるとの解説がありました。
よく使われる音階でも、本当に適しているとは限らない代表的な音階ツールに「1 Octave 5th Scale」があります。

このスケールのメリットは、複数の喚声点や問題エリアを、本人が気づくことなく通過しやすい点です。そのため、声全体のバランスを調整しやすくなります。
ハリウッド式ボイストレーニングでもよく使われるスケールですが、桜田インストラクターからは、「これを使うことが本当に適切なのか」という視点も忘れてはいけないと指摘がありました。
たとえば、1 Octave 5th Scaleを「叫びやすい音域を、叫ばずに通過してもらう」という目的で使ったとします。
しかし、実際にエクササイズを行っても、生徒さんが変わらず叫んでしまっている場合は、このツールを使い続けることが適切なのかを見直す必要があります。

■スケールを使い続けるか判断するポイント ■

ここでのポイントは、「このツールを使って、どうやって正しく発声してもらうか」だけを考えないことです。狙った変化が起きないのであれば、「あえて使わない」という選択肢も持っておく必要があります。
ボイストレーナーの中には、目的を明確にしないままこのツールを使ってしまう方も少なくないそうです。だからこそ、「なぜこのツールを使っているのか」をきちんと理解することが大切なのだと、改めて感じました。

ファルセットが苦手な男性へのアプローチツールの解説とあわせて、ボイスタイプ別におすすめの子音と母音の組み合わせ例の紹介がありました。その後、ファルセットについての解説がありました。
男性の中には、ファルセットになると緊張が強くなり、息漏れが多くなってしまうケースがあります。桜田インストラクターは、ほかのボイストレーナーから「男性の生徒さんは、ファルセットが苦手な人が多い」という相談を受けることがあるそうです。
一方、VTのインストラクターが、ファルセットを出せない生徒さんへの指導方法で悩むことは、ほとんどありません。それは、「どうすればファルセットを出しやすくできるのか」という具体的な方法を学んでいるからです。
ファルセットの指導の場合は、次のような要素を組み合わせて考えます。

✅️どの母音を使うか
✅️どの子音を組み合わせるか
✅️どの音階を使うか
✅️どのような言葉やデモで伝えるか

母音・子音・音階に関する知識は、連動しています。 実際の指導の場では、生徒さんの発声状態に合わせてエクササイズを組み立てます。その選び方や伝え方によって、「声が出るか、出ないか」が変わります。母音・子音・音階の特徴と役割を理解しておくことが、目の前の生徒さんに合わせた指導につながるのです。

音階は「何を使うか」だけではない|効果を左右するテンポ設定


メインスケールの解説のあと、テンポについての補足がありました。同じ母音・子音・音階を使っても、テンポや弾き方によって、生徒さんの声の反応は変わります。テンポは固定せず、生徒さんの声の状態を聴きながら調整することが大切です。
たとえば、緊張が強い方は、音階が上昇するにつれて、テンポを遅く歌ってしまうことがあります。そこでトレーナーも合わせてゆっくり弾くと、一音一音を強く意識し、かえって緊張が増してしまう場合があります。
そのため、トレーナーは、生徒さんにとって適切なテンポ感を見極める必要があります。
実際の指導では、次のような点まで細かく調整します。

✅️どの音程から始めるか
✅️どこまで上昇させるか
✅️どのくらいのテンポで弾くか
✅️どのように拍を感じてもらうか

VTの内部研修でも、テンポやスケールの弾き方によって声の動きが変わることはよく取り上げられています。同じツールを使っていても、経験の浅いトレーナーが弾いたときと、桜田インストラクターが弾いたときでは、声の反応が異なることがあるのです。
音階は、エクササイズツールとしてただ選べばよいものではありません。どの音程から始め、どのようなテンポや拍で導くのかまで含めて、一つのツールとして設計する必要があります。
今回、改めて気をつけるべきポイントや特性を整理できたので、自分のレッスンでも意識して取り組みたいと思います。

【VT-RV】3期生の質問から考える|ボイトレの奥深さ


講義では、【VT-RV】3期生から「このような声の状態には、どのスケールがよいのでしょうか」という質問がいくつも挙がりました。実際のレッスンを想定した具体的な内容で、学んだ知識を現場でどう使うかまで考えられていることが伝わってきました。
一方で、声の悩みは一つの原因だけで起こるものではありません。筋肉の働きや呼吸、母音・子音の選び方、声の健康状態など、さまざまな要素が絡み合う「複合的」なものです。
そのため、「この状態なら、このスケール」と一つの答えに当てはめるのではなく、実際の声をその場で聴き、多角的に分析したうえで、適切なアプローチを考える必要があります。
ここに、ボイストレーニングの奥深さと難しさがあります。
この「実際の声を見極め、必要なツールを選ぶプロセス」については、座学だけでなく、今後予定されている桜田インストラクターのレッスン見学や、模擬レッスン形式のティーチング・クリニックを通して学んでいきます。

次回からは、実践的な応用へ

ここまでの講義で、母音・子音・音階というボイストレーニングの基礎を学びました。
次回以降は、学びを実際のレッスンでどのように組み合わせ、一人ひとりの声に合わせて使い分けるかという応用編に入ります。
その前には、世界的なボイストレーナーであるジョン・ヘニー先生によるシンガー向けとVT−RV生限定のワークショップも開催されます。ジョン先生のレッスンの見学もできるので、今からとても楽しみです!

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投稿者プロフィール

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

>>詳しいプロフィールはこちら

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