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「母音で歌声は変わる」ボイストレーナーが知るべき発声バランスの調整法【VT-RV第3期】

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。今回のボイストレーナー養成講座【VT-RV】のレポートは、VT代表・桜田ヒロキインストラクターによる「ボイストレーニングツール 母音編」の講義をお届けします。
声量・音色・発声バランスなど、歌声全体に大きく関わるのが母音です。発声改善につながる母音トレーニングのアプローチについて学びました。

ボイストレーニングツールの基本理解|5tone AHで何を見るか


本編に入る前に、ボイストレーニングツールについて説明がありました。これまでに学んだ歌声の評価で使う、「5tone AH」を聴いてどのように声を導いていくかというお話についてです。
5tone AHは「直す」のではなく「チェック」するツールボイストレーニングのレッスンでは、5tone AHを最初に聴きますが、この5toneを直すということはしません。このツールはあくまで、生徒さんがどのような歌い方をしているのかをチェックするものになります。
歌声を聞きながら「どのようなボイスタイプか」を見極めて、発声の根本的な原因を解決していきます。
ボイストレーナーに必要なのは、発声の根本原因を見極め、その人に必要なエクササイズを処方していく分析力です。その見極めに活用するのが、「母音・子音・音階」の組み合わせです。

歌声を習得するために必要な7つの技術スキル


講義ではまず、「歌声はどのような技術要素で成り立っているのか」という解説がありました。
歌声は感覚的なものに見えますが、実際にはさまざまな技術スキルの組み合わせで成り立っています。
そのため、ボイストレーナーは「なんとなく聴く」のではなく、「どの要素で問題が起きているのか」を分析していく必要があります。

【歌声習得のための7つの技術スキル】音域(声区の行き来)
音色(声の質感・響き)
ダイナミクス(音量コントロール)
ピッチの精度(音程の正確さ)
アジリティ(瞬発的な動き)
変動性(揺らぎや抑揚の調整)
リズム感(リズムの正確性)

「できない感覚」を理解することが、指導につながるここで、桜田インストラクター自身の経験から、大切な視点が語られました。桜田インストラクターは、ピッチの精度やリズム感について「大人になってからトレーニングした」と話していました。
ご本人曰く、「歌声に恵まれなかった」と感じていたそうです。トレーニングを通して、これまで自分がどれだけ“音楽を聴けていなかったのか”を理解したと話してくれました。
この経験が、ボイストレーナーとしての強みになったそうです。うまくできない感覚を知っているからこそ、生徒さんの気持ちや苦悩が分かる。 これは、指導者としてとても大切な視点だと感じました。
実はボイストレーナーは、「歌が上手ければ良い」というわけではありません。必要なのは、エラーが起こっている発声の原因を理解し、その人にどのようなアプローチが適切なのかを提示していく力です。
その分析に必要になるのが、【歌声習得のための7つの技術スキル】という視点です。技術要素を理解することで、「どこに課題があるのか」を、より具体的に捉えられるようになります。

母音が歌声の印象を左右する理由


次に、歌声ではどれくらいの声門閉鎖(声帯がどの程度しっかり閉じているか)が適切なのかを解説していただきました。
実際に声門閉鎖率ごとの歌声を聴き比べながら、講義は今回のテーマである「母音」へ入っていきます。
歌声の印象に、母音は強く関わっています。というのも、声色は、ほぼ母音の発音部分で聴かれているからです。

日本語の母音特性が、歌声に与える影響まず、日本語と母音の関係性についての話がありました。日本語は海外の人からは「マシンガン」のように聞こえるそうです。
英語は会話の中でもリズムや抑揚がありますが、日本語は一つひとつの音が均等に並びやすく、音の伸び縮みが少ない傾向があります。
そのため、日本語は母音の発音や音色が多少曖昧でも、言葉として成立しやすい特徴があります。しかし、歌声になると話は変わります。会話感覚のまま母音を伸ばしてしまうと、歌声としての音色が成立しづらくなるケースがあるそうです。

母音が美しいアーティストの楽曲で耳を鍛えるここで、受講生から「母音が綺麗だと感じるアーティスト」についての質問がありました。桜田インストラクターは、「歌が上手いと感じるアーティストは、基本的に母音が綺麗」と前置きした上で、「カーペンターズ」や「ビートルズ」は分かりやすい例だと話していました。
両アーティストの楽曲は、フレーズの中で言葉が詰まりすぎておらず、母音を伸ばしている時間が長い傾向があります。
つまり、多くの人に親しまれている歌声には、“綺麗な母音”が関係しているのではないかという視点です。
こうした観点でアーティストの歌声を聴くことで、ボイストレーナーとしての耳も鍛えられていくのだと感じました。

母音は発声をコントロールするツールでもある|具体的な活用方法


※画像
ここからは母音の特徴について解説がありました。叫びやすいタイプや息漏れしやすいタイプなど、発声タイプによって使う母音を変えていく考え方について、具体的に教えていただきました。
母音を変えることで、発声バランスは変わる例えば、「あ母音」で叫びやすくなってしまう場合には、最初から「あ母音」で改善を目指すのではなく、「い母音」「う母音」など、出力をコントロールしやすい母音からスタートしていきます。
その後、「お母音」を使い、叫ばない感覚を保ちながら、「あ母音」を使うというステップを踏んでいくと、発声をコントロールしやすくなるケースがあるそうです。
母音によって、「声の出力」「声門下圧」「発声時の負荷」「声区のバランス」などは変化します。だからこそ、ボイストレーナーは「母音ごとの特徴」を理解しておく必要があるのだと学びました。

「3Strikes and you’re Out」ルール|発声改善で大切な“課題設定”母音を使ったエクササイズ設計について学ぶ中で、「3Strikes and you’re Out」ルールというものを教えていただきました。これは、「3回、効果的でないエクササイズを行ってはいけない」という考え方になります。
運動学習の観点では、良い動きだけでなく、悪い動きも脳が学習してしまいます。そのため、“うまくいかない状態”を繰り返しすぎないことも大切になるそうです。

苦手な母音は「成功しやすい条件」で導いていくここでポイントなのが「苦手な母音」との向き合い方です。苦手なものを克服していくことは大切ですが、失敗を繰り返してしまうとそのエラーパターンも脳が記憶してしまいます。
桜田インストラクターからは、苦手な母音を扱う際の導き方について解説がありました。その人の「得意な子音」「得意な音階」に、「苦手な母音」を組み合わせてあげると上手くいくことがあるとのことでした。
これまでの桜田インストラクターのレッスン見学の際に、苦手そうな母音を子音や音階によって上手く導いている場面に遭遇していましたが、今回の講義でその意図を理解でき、とても納得感がありました。

母音トレーニングの実践的な応用|SOVT・喉頭エクササイズと声量調整


講義の終盤はSOVT(声道を半分塞いで行う発声エクササイズ ) やハイラリンクス(喉頭を上げた状態)やローラリンクス(喉頭を下げた状態)など、発声バランスを整えるためのエクササイズの解説がありました。
母音だけでなく、喉頭の状態や声量コントロールによっても、歌声の印象や発声バランスは大きく変化していきます。

声量は「大きければ良い」わけではない 講義も終了が近づき、受講生から「声量はどのくらいが適切なのか」という質問がありました。
桜田インストラクターは「その声にとってのメッツォフォルテ(中程度の強さ)以内がいい」と話していました。と言っても、発声には個体差があるため、「どのくらいの出力が適切なのか」は、実際に多くの声を聴きながら判断していく必要があるとのことです。
その中で、「クレッシェンド」「デクレッシェンド」と「声量を調整する」エクササイズもオススメしてくれました。単に“大きな声を出すを良しとせず、音楽的なサウンドの中で、どの音量・音色が適切なのかをコントロールしていくことが重要なのだと学びました。
こうした感覚も、レッスン見学や実技を通してしっかりと養っていきたいですね。
次回は、桜田インストラクターによる「子音編」の講義へ
今回は、エクササイズを行うツールとして重要な「母音・子音・音階」の中から、“母音”について学びました。
母音によって発声バランスや声量、音色のコントロールが変化することや、「どの順番で」「どんな条件で」導いていくかという課題設定の重要性についても理解を深めることができました。

次回は「子音編」の講義になります。

母音とどのように組み合わせて歌声を導いていくのか、ボイストレーナーとしての技術的な知識がどんどんと深まっていくので次回も楽しみです!

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投稿者プロフィール

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

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