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子音で息の流れをコントロール|発声をサポートする仕組みと3つの役割 【VT-RV第3期レポート】

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。今回のボイストレーナー養成講座【VT-RV第3期】7回目のレポートは、VT代表・桜田ヒロキインストラクターによる「ボイストレーニングツール 子音編」をお届けします。
前回は母音の役割と活用方法を学びました。今回は、母音に「子音」を組み合わせることによって現れる効果について、詳しく解説していただきました。

子音がボイストレーニングで果たす3つの役割


まずは歌声のトレーニングにおける子音の役割について、桜田インストラクターに解説していただきました。子音は、以下の3つの重要な役割を担っています。

■子音の3つの役割■① 息の流れのコントロールのサポート
子音を使うことで、呼気(吐く息)の流れを適切にコントロールできるようになります。これが今回の講義のメインテーマです。
② 母音の発音癖の矯正
母音の前に子音を置くことで、その後の母音の発音における癖や濁りを改善することができます。
③ 鼻声子音による過緊張の緩和
鼻音を含む子音を活用して、発声時の過度な緊張を和らげることができます。
桜田インストラクターは「今日の講義は、この①のテーマがメインでほぼ終わる」とおっしゃっていました。というのも、子音が息の流れのコントロールをサポートすることは、ボイストレーニング指導において極めて重要なテーマだからです。

呼吸の仕組みを理解する|「支え」という曖昧な概念を身体で理解する


子音が息の流れをサポートするという仕組みを理解するには、まず、呼吸をするときに使われる「吸息筋(吸う時の筋肉)」と「呼息筋(吐く時の筋肉) 」について知っておく必要があります。
一般的には、「吸息は、横隔膜が大事」というイメージを持つ方も多いかと思いますが、実は「外肋間筋(肋骨の間の筋肉)」の方がより重要です。そして、この外肋間筋の働きこそが、歌の世界でよく言われる「支え」という概念に直結しているんです。
息を吸うと胸郭(胸部の骨格)が広がります。そして、息を吐く時に広がった胸郭が一気に縮まらないようにする働きが発動します。これが「Checking Action」(チェッキングアクション)と呼ばれる、外肋間筋による制御です。
この「一気に縮まらないように支える」という身体的な動きから、歌の世界では「支え」という言葉が生まれたのではないかと桜田インストラクターは解説してくれました。
実は私も学生時代に習っていた先生からよく「支えをしっかりしなさい」と言われていたのですが、一体どこを支えるのかよくわからず、「下腹に力を入れるかな?」といった「なんとなくの感覚」で行っていました。
今回のように身体のメカニズムを理解することで、曖昧だった「支え」という概念が腑に落ちました。抽象的な指導ではなく、「外肋間筋による胸郭の制御」という具体的な身体的理解が、レッスンで生徒さんに伝えるときの説得力につながると感じました。

子音が母音に与える影響|口腔内圧と声門下圧の関係


呼吸の筋肉について学んだ後、子音の特性について解説していただきました。ボイストレーニングにおけるツール設計で、なぜ子音が大切なのか。それは、子音が母音をより良く引き出すためのサポート役だからです。

子音の役割:母音をサポートする私たちが主に聴きたいのは、声色を司る「母音」です。歌声の音色や響きのほとんどは、母音で決まります。 ですが子音も重要な役割を担っています。なぜなら、子音は、その後に続く母音の出方を大きく左右するからです。
つまり、子音から母音に移行していく過程で、具体的にどのようなことが起きているのかを理解することが、効果的な指導に繋がるということです。

「Bub(バ)」を例に考える「声門下圧」の役割例えば「Bub(バ)」の発声を見てみましょう。子音Bの時、唇を閉じています。この時、口腔内圧が上昇し、声門下圧との差が小さくなります。声帯の振動は維持しづらくなるため、子音を発音している部分では声自体は強く発音されません。
ですが、唇を開いて母音に移行した瞬間、口腔内圧が減圧し、声門下圧との差が回復されます。その時に声門下圧が高めに残るため、母音の立ち上がりが明確になりやすくなります。
つまり、この声門下圧を利用して、母音の立ち上がりを補助することができるということです。

レベル別の応用:同じ組み合わせでも使い方は変わるこの声門下圧が高めに残るのは一瞬です。そのため指導の際には、生徒さんのレベルに応じて応用を変える必要があります。
①初心者で声門閉鎖が弱い方:母音の発音時間を短めにする
②上級者:子音を短めにして母音を長くする
同じ子音と母音の組み合わせでも、レベルによって具体的なアプローチが変わってきます。
少し難しい内容でしたが、桜田インストラクターは、デモを交えて解説してくださったので、実際の生徒さんのことを連想しながら、「実践に繋げられそう」と理解することができました。

実践的な指導スキル|レッスン見学から学ぶボイストレーナーの工夫


他の子音の特徴も解説していただいた後、講義の最後は桜田インストラクターのレッスンを見学しました。
今回の生徒さんは、以前グレック先生の公開レッスンでも生徒役をしていただいた男性の方。その時は声門の閉鎖を促すようなエクササイズが多めで、その後、桜田インストラクターのレッスンも受講されたとのことでした。
5tone AHを聴くと、確かに緊張は少なめで息漏れが聞こえていましたが、桜田先生曰く「良くなっている」とのこと。
ここで「あ母音」についての話をされていました。普段は特に説明せずにエクササイズで舌の位置を調整していくとのことですが、今回はVT-RV生のためにも、解説も踏まえての説明でした。
舌の位置を前に維持できる「Nay」をハイラリンクス(喉頭を上げた状態)で行いました。

エクササイズのリズムの捉え方ここで桜田インストラクターが詳しく解説してくれたのが、エクササイズのリズムの捉え方です。
桜田インストラクターは1.5オクターブのエクササイズを8分の6拍子で弾いていましたが、男性は一音一音を手で捉えながら歌っていました。
「生徒さんがどのようにリズムをとらえているのかというのが見えるから、こういう仕草もチェックすると良い」と指摘しました。ただし、「声門の閉鎖を気にしていると一音一音で捉えやすくなってしまう」というお話もしてくれました。
特にハイラリンクスで高音を上がっていく時に、声門閉鎖に注目しがちです。ここは、デモを用いながら「細く芯のあるストレッチに入っていくような発声になっているところに注目することの重要性」を説明してくれました。

ハードなエクササイズと音量管理さらに、声門閉鎖を強めるようなハードなエクササイズを行うときの注意点についても講義がありました。「ハードなエクササイズでは音量の調整がかなり重要になってきます。誘導を間違えてしまうと声を壊してしまうリスクがある」とのこと。
解説と共にどのように生徒さんに対してデモや説明をしているかを見学できたので、すぐに実践にも使えそうだなと感じました。

言葉選びで舌の位置と声色を調整する発声の終盤では、エクササイズで使う言葉で舌の位置や声色を調整していたのも印象的でした。
桜田インストラクターの生徒さんに対しての誘導の言葉やエクササイズの流れは毎回とても勉強になるので、今回のレッスン見学もとても良い時間になりました。

ボイストレーナーに求められる心構え|年齢による声の変化への向き合い方


ここまでの講義について、2回目となる質疑応答の勉強会も平日の夜に開かれました。
みなさんとても勉強されていて、ボイストレーナーとして活動されている方は、実践に落とし込んでいる印象を受けました。
その中でも興味深かったのが、年齢による声の変化の話題でした。変声期を迎える男の子の話と、加齢により声が出しづらくなっていく話です。
 
変声期の受け入れ:親御さんへのアドバイス変声期を迎える男の子の中には、親が「高い声をどうにか維持できませんか?」と相談されるケースがあったり、高い声を維持するために話し声が裏声になってしまうケースがあると話してくださいました。
しかし、桜田インストラクターは親御さんに「変声期というのは声が低くなっていく過程を受け入れる時期です。30代40代になってもずっと裏声で話すようなことになってしまう将来がいいのですか?」と伝えたそうです。
つまり、ボイストレーナーとして、目先の「高い声を維持したい」という要望よりも、長期的な声の健康と成長を見据えたアドバイスが大切だということです。

加齢による声の変化:精神的なサポートの重要性また、ご高齢の場合も同じような課題があります。今まで上手く歌えていたキャリアのある方がコントロールが上手くいかなくなっていった時、「そんなはずじゃない」とその状況を受け入れられないケースがあるそうです。
その場合、精神的に辛くなってしまいますが、現実を受け入れて「年単位で腹を括らなきゃ」と覚悟を持ってボイストレーナーと二人三脚でトレーニングに励まれる方もいれば、辞めてしまう方もいらっしゃると経験を話してくださいました。

年齢による変化への向き合い方:寄り添う姿勢の大切さ年齢による声の変化については、その現実を受け入れてもらえるようにボイストレーナーとして寄り添うことも大事なんだと感じました。
技術的なトレーニングだけでなく、心理的なサポートもボイストレーナーには求められるのだということを改めて認識できました。
加齢による声の変化については、今後【VT-RV】の講義でも取り扱われるそうなので、とても楽しみです。
 
 

次回の【VT-RV第3期】講義は「音階編」へ

次回はトレーニングツールの「音階編」になります。
音階編まででトレーニングツールの基本的な土台が出来上がるので、これまで学んだトレーニングツールの「母音」と「子音」をどのように「音階」に組み合わせていくか、しっかりと学びたいと思います。
次回も楽しみです!

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投稿者プロフィール

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

>>詳しいプロフィールはこちら

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