山下奈央子2026年6月2日 12:43 pm
【生理中に「歌いにくい…」と感じるのは気のせいじゃない!】
特に女性の方で歌っている時、「なんだか今日は高音が出しにくい」「いつもより声が疲れやすい」と悩んだことはありませんか?
生理前や生理中には特に心当たりのある方も多いのではないでしょうか。
実はそれ、技術不足や練習不足のせいではなくホルモンによる身体の自然な変化です!
♪ 海外の研究でも証明されている「声帯のむくみ」
音声医学の世界では、「月経随伴性声帯症候群(Laryngopathia Premenstrualis / Premenstrual Voice Syndrome)」と呼び、単なる気分の問題ではなく「生理的な現象」として認められています。
海外の論文(Purdyら, 2002)によると、プロの女性歌手の約70%が生理前に「高音がコントロールしにくい」「声が疲れる」と回答しています。特に生理の1〜3日前にこれらの自覚症状がピークに達することが統計的にも示されています。
その原因は、排卵後から生理前にかけてプロゲステロン(黄体ホルモン)が増加すると、声帯の粘膜が水分を溜め込みやすくなり、声帯がわずかにむくむからです。
声帯がむくんで重くなると、細かく振動させたり、高音を出す際により多くのエネルギーが必要になるため、「出しづらさ」や「コントロールのしにくさ」になります。
ちなみに、低用量ピルを服用している女性歌手は、周期による声帯のむくみがほとんど発生せず、高音域の安定性が1ヶ月を通じてキープされるというデータもありますが、、、私は慢性的に声が重くなったと感じました。
生理中の不調を感じない方もいらっしゃると思うので、やはり日々の練習の中で自分の調子とよく向き合うことが大切ですね。
♪ 余談ですが
19世紀後半から20世紀半ばのヨーロッパの歌劇場では、契約書に「生理中の数日間はステージに立たなくてもいい」という特別な免除条項があったんです!
文献や国によって呼び名は異なり、「Grace Days(猶予日)」や「Respect Days(敬意を払う日)」、あるいは「Modesty Days(慎みの日)」などと契約書に記載されていました。
現在は、興行や雇用システムの変化などの影響でこの制度はありませんが、近年フランスやデンマークなどの現役ソプラノ歌手たちがSNSやメディア(英Times紙など)を通じて、「生理周期がオペラ歌唱に与えるリアルな影響」を再びオープンに発信するようになっています。
調子が悪い時期は激しく練習するのではなく、自分の身体のサイクルを味方につけて、無理なく楽しく歌を続けていきましょう!