桜田ヒロキ2026年5月13日 12:27 pm
あなたは、自分の声の強みを知っていますか?
自分の声の強みをどうやって見つけるのか。
まずは、今よく歌っている、よく知っている楽曲を使ってみてください。
その曲を、まず半音下げて歌ってみる。
そして、必要なら少し慣れてから録音して、聞き返してみる。
そのあと、今度は半音上げて歌って、また録音して聞き返してみる。
これだけで、かなり発見があります。
自分の声の強みは、なんとなく考えているだけでは見つかりにくいです。
キーを少し動かして、録音して、比較してみる。
ここからスタートするとかなり分かりやすいです。
例えば、半音上げた方が
・声が軽やかに伸びる
・きらびやかに聞こえる
・綺麗に抜ける
ということがあるかもしれません。
逆に、半音下げた方が
・豊かさが出る
・安定する
・言葉が自然に乗る
ということもあります。
ここで大事なのは、
「出たか、出なかったか」だけで判断しないことです。
見るべきなのは、
・どちらのキーが魅力的に聞こえるか
・どちらのキーがラクか
・どちらのキーが自分らしく聞こえるか
このあたりです。
自分の声の強みは、
“歌えたかどうか”よりも、
“どちらが魅力的に聞こえたか”
に出ることが多いです。
高い方が難しいけれども魅力的に聞こえるのであれば、しっかり練習しましょう。
低い音がまだ慣れていないのであれば、それも同じです。
そして、今一度録音して、しっかり聞き返す。
これがかなり大事なポイントです。
さらに見てほしいのが、メロディーとの相性です。
例えば、
・低音〜中音域にメロディーがいて、高音に一瞬触って戻るメロディーが合うのか
・高音域に座るようなメロディーの方が伸びやかに聞こえるのか
これを見るだけでも、かなりヒントになります。
そして、言葉の密度も大事です。
・言葉が適度に詰まっている方が映えるのか
・母音で長く伸ばす場所が多い方が映えるのか
この違いもかなりあります。
つまり、自分の声の強みというのはキーだけではなく、メロディーとの相性、言葉との相性の中にも隠れています。
こういう視点で見ていくと、自分と楽曲のキー、そして楽曲との相性がかなり見えやすくなると思います。
小野貴之2026年5月12日 8:33 pm
発声の仕組みとは?アコースティックギターで考えてみましょう。
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「弦を鳴らす(音源)」+「ボディで響かせる(共鳴)」
で音が大きく、豊かになります。
人間の発声では、
・音源:声帯の振動
・響き(共鳴):声帯〜唇までの“声の通り道”(声道)
ここで大事なのは、舌は「音を作る場所」ではなく、「響きを調整する場所」だということ。
舌・顎・首などに強い力みが入ると、ギターでいえば“弦を鳴らした瞬間にボディがミシミシきている”ような状態になり、響きが作りにくくなります。
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✳️ 舌や顎や首などに強い緊張が入ってしまうと、ギターの弦を弾いた瞬間にボディ(木の箱の部分)までミシミシきている状態ということです。
このように発声では、声帯で音を生み出す、声道(楽器のボディの部分)を自分仕様に作る=自分のサウンドを作る、というタスクがあります。
そして声道の形の変化で母音を作り分けるということまで行います。
小野貴之2026年5月8日 5:01 pm
ハリウッド式ボイストレーニングでは、子音や母音の特性を利用してエクササイズを組みます。
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例えば、Gの子音を使えば声門下圧が高まる、NAY[ネイ]という言葉なら舌の前方を上げておいてそのままエ母音を歌うと舌が前方に残ったまま歌えるしイ母音でも舌は後ろにいかない、などの特性を利用し、クライアントさんの発声の偏りを矯正するツールとして使用します。
でも、曲になったらどうでしょうか。いろんな言葉が出てきます。エクササイズのようには歌えません。
どの母音でも歌えなければいけないし、子音を過度な助けとして利用しないという発想が、確実に必要だと僕はクライアントさんに伝えています。
✳️子音がなくても歌える、あっても過度に掴まらない、これが大切なんです。トレーニングすべきは常に母音の部分です。それでも無意識レベルで子音は効果を発揮します。そこがハリウッド式の真骨頂でもあるのではないかと最近思います。
歌唱に耐えうる声を作るということ。楽曲ではきつい上り坂や向かい風もあります。掴まるものがなく不安定な道を進まなければならないときもあります。しかも美しく歌いたいのです。だとすれば、エクササイズは常に歌唱を意識したものでなければ成立しないものなんだと思います。
桜田ヒロキ2026年5月4日 1:41 pm
【”唯一のベルティングの練習法”は存在しない】
「ベルティングに良い練習法はありませんか?」
と聞かれることがあります。
でも、この問いには少し注意が必要です。
なぜならベルティングは、単一の練習だけで完成するスキルではないからです。
ベルティングを成立させるには、いくつかの要素が必要です。
・声帯を適切にストレッチポジションにできる
→ 裏声の練習
・地声と裏声をスムーズに行き来できる
→ ミックス
・低音の地声をしっかり成立させられる
→ クリアな地声の成立
・ビブラートやリフの練習ができる
→ 声の柔軟性の担保
・高い音域でも地声の強さを保てる
→ ベルティングの成立
だから僕は、裏声の練習もベルティングの練習の一部だと考えています。
リップバブルも同じです。
一見するとベルティングとは直接関係なさそうに見える練習でも、必要な構成要素を育てているなら、それは十分ベルティングの練習です。
ベルティングは、高い声を怒鳴るだけでは作れません。
歌声というものは、いろいろな出し方が影響し合って成り立っています。
ベルティングも例外ではありません。
なので、高い地声ばかりを練習しているからといって、必ずしもベルティングが身につくとは限りません。
大切なのは、ベルティングそのものだけを追いかけることではなく、ベルティングを作っている要素を1つずつ育てていくことだと思います。
金子 恭平2026年5月4日 7:34 am
【ハリウッド式ボイストレーニングはどのように生まれた?】
Speech Level Singing (元祖ハリウッド式トレーニング)を開発、発展させたのはセス・リッグスという偉大なボイスティーチャーです。
マイケル・ジャクソン、スティービー・ワンダー、マドンナ、プリンス、レイ・チャールズからレッド・ホット・チリ・ペッパーズやエアロスミスに至るまで、ジャンルを超えてあらゆるセレブリティたちが彼の指導を受けました。
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▼若き才能と葛藤
1930年に生まれ、7歳から歌い始めたセス・リッグスは、1949年(当時19歳!)にボーカルコーチとしての活動を開始したそうです。
ピーボディ音楽院およびマンハッタン音楽院で音楽教育を受け、ジョンズ・ホプキンス大学では演劇の学士号を取得しています。
充分な実績を積み上げながらも、リッグス氏はフラストレーションを抱えていました。
「なぜ偉大な歌手たちは、純粋な母音、均一なレガート、安定したビブラートを保ったまま、声の最低音から最高音まで移行できるのか?私ができなくて、彼らがやっていることは何なのか?私には歌えるはずだと証明する数々の書類(学位や推薦状)があったが、実際には歌えなかった」
そう、才能あふれるリッグス氏もまた、僕たちと同じように「換声点」に悩まされていたのです。
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▼イタリア・オペラとの邂逅
リッグス氏は自身の声の問題を解決する答えを求めて、過去の偉大な歌手たちの実践、とりわけ中世のローマ教皇庁聖歌隊(Schola Cantorum)の訓練法や、イタリアのベルカント唱法の系譜へと遡って研究を進めました。
のちにリッグス氏は教育的影響を受けた人物として、アントニオ・コトニー(1831–1918)、マッティア・バッティスティーニ(1856–1928)、リッカルド・ストラッチャーリ(1875–1955)、ジュゼッペ・デ・ルーカ(1876–1950)といったイタリアの歴史的なバリトン歌手を挙げています。
リッグス氏は、彼らがパッサッジョ(声区の移行帯)をファルセットに逃げることなく、また叫ぶこともなく、純粋な母音を維持したまま完璧に歌い抜く「欠点のない技術」を体現していると分析しました。
そして、リッグス氏の方法論に最も決定的かつ直接的な影響を与えたのは、イギリスに定住したイタリアのテノール歌手であり著名な指導者であったエドガー・ハーバート=チェザーリ(1884–1969)です。
チェザーリは、オールド・イタリアン・スクール(ベルカント唱法)の教えを復活させるための研究で世界的な名声を得ていた人物です。
17~19世紀にわたって繁栄したベルカント唱法は、「声区の融合」を命題として掲げていました。これが現在の「ミックスボイス」の起源です。
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▼ベルカントの翻訳
ベルカント唱法のエッセンスを抽出したリッグス氏は、「母音、子音、音階」を組み合わせた「ツール」の処方により、歌手に意識させることなく望ましい機能的状態(声帯の閉鎖と気流のバランス)を誘発するという画期的な手法を体系化しました。
作為的に声を作ろうとした際に起こる力みを構造的に防ぐこの手法は、近年研究が進みつつある運動学習理論を先取りしていたといえます。
Speech Level Singingは、「古のベルカント唱法」をマイクを通したポップスやロックの要件に適合させた歴史上初のメソッドであったと結論付けられています。
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▼なぜ「スピーチ・レベル」なのか?
リッグス氏は、音程の上昇のために喉頭が上がることを絶対悪としました。
「発話時の安定した喉頭の位置が理想であり、歌唱時もそれを維持すべきである」という理念が、Speech Level Singingという名称の由来です。
注意しなければならない点がここにあります。
「喉頭はいかなる音域においても絶対的にスピーチ・レベル(安静状態)を維持しなければならない」という教義は、現代の解剖学および音響物理学の知見からは否定されています。
特に地声的な音色で高音域を歌うとき、喉頭の上昇は「必要」なのです。
一方、訓練の進んでいない歌い手の多くは、高音にリーチするため過剰に喉頭を持ち上げてしまう傾向にあります。こうした方がトレーニングを行うとき、「スピーチ・レベル」のアイデアはより良い声に向かうためのイメージとして機能するでしょう。
かつてのセス・リッグスの発言全てが科学的に支持されるわけではなくとも、彼の教義と方法論が持つ実践的な価値は計り知れません。
「私の指ではなく、指差した月を見なさい」とは釈迦の言葉ですが、リッグス氏の発言の粗探しをするよりも、彼が向かわせようとした「声」を感じ取り表現することが大切なのでしょうね!
小野貴之2026年5月3日 7:16 pm
レッスンを行うとき、僕はシンガーの技術だけでなく感受性や想像力、勘の良さも計算に入れます。
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レッスンを受ける際は「この先生、この時間にこういうことを教えたいんだな、私ならこのくらいできると思ってくれてるんだな」というように先生の投げかけてくるものをキャッチして、また歌声というボールで返す。これを意識してみてください。
上達が早い人ほど、 歌声で返してくれます。言葉で会話するのではなく、歌声で会話できるのです。
逆に上達に時間がかかる傾向にある人は、頭で理解しようとすることにワンクッション使い、言葉で質問してくることが多いのです。
✳️ワークショップなどでもノートをとることに精いっぱいで、先生の「想いを感じる」ことに重きを置けなかった、なんてことありますよね。
VTではレッスンを振り返れるように通常録音OKになっています。
質問はもちろんしてください♪でもまず、歌声で会話するということにもぜひトライしてみてください。
桜田ヒロキ2026年4月30日 6:03 pm
【発声とリズムは密接な関係があります】
発声とリズムは、実はかなり密接に関係しています。
発声トレーニングをしていると、つい
「どんな声で出すか」
「どこをどう使うか」
に意識が向きがちです。
でも実際には、リズムの取り方が曖昧だと、声の運び方そのものが曖昧になります。
その結果、
発声が重くなる
動きが鈍くなる
喉だけで何とかしようとする
ということが起こりやすくなります。
音を「高さ」としてだけ捉えると、発声の理解は浅くなります。
音は高低だけではなく、実は速さでもあります。
たとえば
A3 = 220Hz
A4 = 440Hz
人間の耳はこれを「高くなった」と認識します。
でも物理現象としては、振動数が増えて、速くなっているんです。
つまり歌で音を上げるというのは、
どこかに止まったまま上に乗せることではなく、
より速い運動に入っていくことでもあります。
ここを理解していないと、
音を“止めて支える”ような感覚になって、
声が固まりやすくなります。
その結果、すごく緊張した声になり、苦しくなってしまいます。
リズムを味方に付ける事で、声をしなやかに、滑らかに、楽に出せるようになります!
小野貴之2026年4月30日 1:14 pm
★選曲について考えてみよう★
男性の方で、F4〜G4あたりが苦しくなってしまうと感じているときに、平井堅さんのいとしき日々よを選んで練習いるとします。
曲のメロディラインの設計上「今あなたがやると難しい」という条件が組み込まれてしまっている場合、ボイトレには不向きな状態と言えます。
この曲は高音域の設計の特性上、少しチョイスを変えた方がいいでしょう。
✳️苦しいエリアに2度幅で上昇して飛び込んでいくメロディラインは苦しさを助長しやすいですし、使用音域の平均値が高く(苦しい音域にステイする傾向)、負担も大きくなります。
ではどんな楽曲がおすすめかと言うと、 BUMP OF CHICKENのray、もう少し高めなら秦基博さんのひまわりの約束などとてもよいと思います。
楽曲での僕なりのレッスン方法も当然ありますが、
- 叫んでしまうタイプ
- ひっくり返るタイプ
どちらにも上手く使える印象です。