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桜田ヒロキ

特定の曲は上手く歌える。でも、新しい曲になると急に歌えなくなる。なぜでしょう?

特定の曲は上手く歌える。でも、新しい曲になると急に歌えなくなる。なぜでしょう?

「この曲なら自信を持って歌える!」
ところが、新しい曲に挑戦すると、急に音程が不安定になったり、リズムがうまく取れなかったりする。

こんな経験はありませんか?

実は、特定の楽曲を上手に歌えることと、歌手自身の歌唱技術が高いことは、必ずしも同じではありません。

今回は、歌唱力とは何か、そして新しい楽曲にも対応できる歌手になるためには、どのような練習が必要なのかを考えてみたいと思います。

【歌が上手いとは、どういうこと?】

僕は歌唱力を考えるうえで、正確なピッチ、リズム、そして楽曲の読解力が非常に重要だと考えています。

音楽には、メロディー、リズム、ハーモニーなど、さまざまなルールがあります。そのルールを理解したうえで、いかに自分自身の個性を表現していくのか。

これが歌唱表現の大切なポイントだと思います。

よく「ピッチが良いだけでは人の心に響かない」という話を聞きます。もちろん、正確なピッチだけで素晴らしい歌になるわけではありません。

しかし、ピッチやリズムを正確に捉えることは、作曲家が楽曲に込めたストーリーを伝えるための重要な基礎です。

その基礎を理解しているからこそ、意図的にリズムを崩したり、メロディーをフェイクしたりといった表現もできるのだと思います。

【楽曲はレゴブロックのようにできている】

僕は、楽曲というものはレゴブロックに似ていると思っています。

例えば8ビート、16ビートといったリズムのパターン。メロディーの動き方、フレージング、コード進行など、音楽にはさまざまな共通するパターンがあります。
西洋音楽では1オクターブ 12音。(ある意味、それしか組み合わせはありません!)
これらのパターンが組み合わさることで、一つの楽曲ができあがっています。

例えば16ビートのグルーヴをしっかり理解し、身体で感じながら歌える人は、初めての16ビート系の楽曲に出会っても、その経験を応用しやすくなります。

つまり、新しい曲を覚えるたびに、すべてをゼロから学習する必要はないわけです。

たくさんの楽曲を経験してきたミュージシャンが、新しい曲を聴いて素早く対応できるのは、こうした音楽的なパターンを認識する能力が身についているからだと考えています。

反対に、特定の曲を何度も繰り返して丸暗記するような練習ばかりしていると、別の楽曲に応用できる知識や技術が十分に育たない可能性があります。

もちろん、楽曲による得意・不得意は誰にでもあります。しかし、新しい曲になるたびに一から苦労するのであれば、音楽的なインプットやパターンの理解を見直してみても良いかもしれません。

【プロの歌手に求められる楽曲への対応力】

プロの歌手とアマチュアの違いの一つに、楽曲を仕上げるスピードがあると僕は考えています。

例えば商業ミュージカルでは、限られたリハーサル期間の中で、複数のナンバーを完成させなければいけません。

仮に3ヶ月の稽古期間があったとしても、その間に歌だけでなく、芝居や振り付けなど、さまざまなことを習得する必要があります。

ある1曲は素晴らしく歌えるけれど、別のナンバーでは全く歯が立たない。あるいは、楽曲を覚えることに極端に時間がかかってしまう。

これではプロの現場で求められる仕事に対応することが難しくなってしまいます。

ですので、プロを目指す歌手には、1曲を深く練習する能力だけでなく、さまざまな楽曲を素早く理解し、自分の歌唱技術を応用する能力も必要だと思います。

【おすすめは3ヶ月で4曲のトレーニング】

では、そのような能力を育てるには、どうすれば良いのでしょうか?

僕がおすすめしたいのは、2種類の楽曲練習を並行して行う方法です。

一つは、3ヶ月程度かけてじっくりと完成度を高めていく楽曲。

もう一つは、1ヶ月程度を目安に、新しい楽曲を次々と学んでいく練習です。

例えば、3ヶ月かけて完成させる曲を1曲。その横で、毎月1曲ずつ新しい楽曲を練習する。

そうすると、3ヶ月間で合計4曲に取り組むことができます。

毎月取り組む楽曲は、必ずしも完璧に仕上げる必要はありません。

大切なのは、新しいリズム、メロディー、フレージング、音楽的な表現などを次々と経験し、自分の中にインプットしていくことです。

プロを目指してトレーニングしている方であれば、十分に取り組む価値のある目標だと思います。

【1曲を仕上げる力と、歌手としての技量を育てる力】

1曲を徹底的に練習して完成度を高めることには、大きな価値があります。

その一方で、さまざまな楽曲に対応できる歌手になるためには、幅広い音楽的経験も必要です。

1曲を仕上げる練習と、歌手自身の技量を育てる練習。

この2つを並行して行うことで、歌唱技術の可能性はさらに広がっていくと思います。

ぜひ、普段の練習メニューを見直してみてください!

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