「どんな声になりたいですか?」より、
「どんな声になりたいですか?」より、
「何を歌いたいですか?」の方が大切なことがあります。
レッスンで、「今日は広く、声全体をトレーニングしたいです」
と言われることがあります。
もちろん、それもできます。
ただ、目標となる楽曲やジャンルがない状態では、どうしてもトレーニングは広く浅くなりやすいです。
ボイストレーニングは、ひとつの「良い声」を作る仕事ではありません。
太い声、軽い声。
大きな声、小さな声。
地声、裏声、ミックス。
明るい音色、暗い音色。
歌うために使える「声の選択肢」を増やしていく仕事です。
では、その中の何を優先して育てればいいのか。
それを決めるために必要なのが、「何を歌いたいのか」なんです。
「音楽は一生を満たすに十分だが、一生は音楽にとって十分ではない」
という言葉があります。
それくらい、音楽は深いものです。
ロックもある。
R&Bもある。
ミュージカルもある。
クラシックもある。
さらに、同じジャンルの中でも楽曲によって、
・必要な音域
・音量
・声色
・声区
・フレージング
・発音
・表現
は変わります。
すべてを同じ深さで極めようとしても、人生の時間では足りません。
だからこそ、
「何を歌いたいのか」
「何を歌う必要があるのか」
を明確にして、限られた時間の中で何を優先して学ぶのかを決める必要があります。
例えば、
「この曲を歌えるようになりたい」
「このジャンルを歌いたい」
「このアーティストのような表現を身につけたい」
という目的があれば、
「では、そのために今あなたに必要なのはこの能力ですね」
と、ボイストレーニングを具体的に設計できます。
つまり、ボイストレーニングは、声の選択肢を増やす。
でも、どの選択肢を優先して育てるのかを決めるのは、音楽です。
だから僕は、声のことだけではなく、
「何を歌いたいですか?」
をとても大切にしています。
もちろん、「何を歌えばいいのか、まだ自分でも分からない」
という相談も大歓迎です。
そこからインストラクターと一緒に考えていけばいい。
歌いたい音楽が見えてくると、ボイストレーニングの目的地も、ずっと明確になります。