発声障害? 地声が出なくってしまった!
2020.02.12
こんにちは!
ある日突然、声(高音)が出なくなる!?
の記事は非常に多くの方に読んで頂いており、この様な症状を体験されている方が非常に多いのだと感じました。
今回は「歌う時に、地声が出なくなってしまう!」と言う症例をご紹介します。
突然、地声が出ない!
症状としては、徐々に(日に日に)声がつまるように感じる事があり、
歌ってみると裏声は出るけど、地声が出せず、すぐにひっくり返ってしまうと言う事が多いようです。
高音は突如として出なくなる事が多いのに対して、地声は徐々に・・・と言う事が多いらしく、、、
「気がつけば、以前と比べて弱々しい声しかでなくなってしまった」と言う事が多いようです。
まずは音声外来に相談
ボイストレーナーと言う仕事をしていると、
「声が詰まる、、、」「話し声も出しにくい「と長期的に悩まれる方にしばしば出会います。
まずはお近くの音声外来に診察を依頼して下さい。
「地域名 音声外来」
で検索をかけてみましょう!
もしあなたのお住まいが地方で、都市部でなければ音声外来が近くに無いケースもあると思います。
しかし声が出ない(地声が出ない)、、、声がつまる、、、、と言う場合は、耳鼻科ではなく、音声外来の先生でないと診断出来ないケースがしばしばあります。
少し、遠くても近くの町で、音声外来の先生がいないか探してみてください。
よくあるケースを解説します
ジストニア系の病気
ジストニアという病気は、筋肉の緊張の異常によって様々な不随意運動に異常が生じる状態をいいます。
「声帯をコントロールする筋肉の一部が異常に緊張してしまう。」
「痙攣性発声障害」と言う病気もジストニアと言う病気に分類されるそうです。
この場合、治療に携わるのは、専門医、言語聴覚士になります。
※ボイストレーナーの仕事の範囲ではありません。
心因性(心が原因)の発声の不具合
何か強いショックを受けた際、その影響が声に現れる場合もあります。
心因性の発声障害と診断された場合、心療内科などを紹介される事があるそうですが、
心の傷を上手に昇華する事で徐々に回復していく事もあるそうです。
※お話しをよく伺いながら、歌っていただくと徐々に改善する事もあり、
半分ボイストレーナーの仕事と言っても良いかもしれません。
声帯手術後の不具合
声帯ポリープや声帯結節のように声帯を充分に閉じて発声しない状態を長期的に経験してしまうと、声帯を閉じる運動が劣化してしまい、充分に声門の閉鎖を必要とする地声発声がしにくくなる事があります。
この場合、お医者様と連携し、
・発声状態(地声・裏声)
・音域(低音・中音・高音)
をビデオ・ストロボスコピーと言う機器を用いて声帯の運動を確認しながら、発声訓練を行います。
ビデオ・ストロボスコピーで視ると声帯の振動を振幅ごとに確認する事が出来ます。
これにより、高速で動く声帯の動き方の状態、癖まで視覚で確認する事が出来ます。
※話し声にまで不具合ある場合、言語聴覚士の仕事。
歌唱時に限定出来るレベルであればボイストレーナーの仕事と言えると思います。
機能性発声障害
機能性発声障害は声帯や声帯をコントロールする筋肉の悪い癖で、平たく言うと「声の出し方がが悪い」状態です。
その癖を正す事によって改善させる事が出来ます。
僕たちVTのスタジオでは、機能性発声障害と診断を受けた歌手の訓練を日々行っています。
※話し声にまで不具合ある場合、言語聴覚士の仕事。
歌唱時に限定出来るレベルであればボイストレーナーの仕事と言えると思います。
解決法は?
あくまでボイストレーナーの出来る処置は、本来使うべき声の使い方。
その発声をするための喉の筋肉の使い方を訓練していきます。
と、考えると、、、、治し方は筋肉の使い方を喉に整理させる
”ある日突然、声(高音)が出なくなる!? 解決編”
の方法を使います。
機能性発声障害について掘り下げてみましょう
機能性発声障害と診断を受ける方はアマチュアの歌手よりも、
長年、歌って来た歌手に多いように感じます。
歌う事を職業にした場合、声の調子の良し悪し、体調の良し悪しに関わらずに歌わなくてはいけない事が多々あります。
そんな中で徐々に声の出し方の癖が歪みだし、
「以前出ていた高音が出なくなってきた」
「地声の張りがなくなってきた」
「いくら力んでも力ない声しか出なくなってしまった」
「声が震えるようになってきた」
となってしまうのだと考えます。
以前、著名なボイストレーナーが
「アーティストが使うイヤフォン型のモニター(通称イヤモニ)が原因ではないか?」
と言う事をインタビューでおっしゃっていましたが、
イヤモニを使わないアーティストでも機能性発声障害と診断を受けたケースを確認しており、
直接的な原因ではないのではないか?
と言うのが桜田の意見です。
ただし、イヤモニで歌うのは「口から数センチの所にあるマイクで拾った声を直接、耳の中に返す」と言う、
人間が通常、声を出す環境とはかけ離れた非常に人工的な環境で歌う事であり、それが声の出し方を悪くすると言う可能性はあり、
それによって、悪い発声が本人の認識とブレを産み、それを繰り返す事によって癖になっていく(発声障害化する)と言う仮説はあり得ると思います。
音声医学の第一人者、京都大学名誉教授の一色信彦先生は機能性発声障害と診断する事について、こんな事を述べています。
(機能的音声障害とは)「見えないのでわかりません、説明がつきません」と言うかわりに
「これは機能的なもの、いわば癖で癖(発声法)を直すしかありません」と言います。
機能的という言葉がくせ者で「はっきりは見えません」と言う意味で本当に機能的と言う証拠があって言っているのではない事が多いのです。」
さらには
「(原因が)わからない場合に機能的と言う言葉を使ってなんとなく納得してきた(させてきた)面があります。
機能的という言葉はゴミ箱用語だと言った人がいます。
医者には厳しい言葉ではありますが、一面の真理をついています。」
(声の不思議 診察室からのアプローチ 一色信彦先生著)
確かに英語圏で声について学ぶ事の多い桜田は、
Functional Vocal disorderと聞いても、
「ん?それは使い方の問題ないじゃないのかな?」
と感覚的に感じます。
Function(機能)と言うのはボイストレーニングの世界では、「使い方」と考える事が多いからかもしれません。
この意見から考えると機能性発声障害と診断したお医者様は「よくわからない」「発声の仕方が悪い」と主張。
そんな診断を受けた歌手と一緒に「もう一度声を取り戻そう!」
と二人三脚で歩む事も、一つボイストレーナーの仕事なのではないか?
その様に思えてきます。
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解説しているインストラクター
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セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
VocalizeU認定インストラクター
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中のボイストレーナー。
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。
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