金子 恭平2025年8月16日 6:06 pm
【水分補給にコーヒーはNG?】
「コーヒーを飲むと利尿作用でかえって水分が奪われる」という話をよく聞きますが、これは本当でしょうか。
結論から言うと、通常のコーヒー飲用で脱水が促進されることはなく、しっかり水分補給ができます。
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英国のキラー(Killer)博士らによる2014年の研究が有力な証拠となります。
この実験は、コーヒーを飲む習慣を持つ男性50人(1日に3~6杯を消費)を対象におこなわれました。
彼らが1日4杯のコーヒーを飲む3日間と、同量の水を飲む3日間を設け、体内の水分量を比較したところ――
コーヒーを飲んだ場合と水を飲んだ場合とで、体内の水分量に有意な差は見られませんでした。
コーヒーには水と同等の水分補給効果があることが証明されたのです。
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コーヒーの約98%は水分であり、カフェインによる利尿作用で失われる水分量は、摂取する水分量を上回ることはありません。
脱水を怖がって何も飲まないでいるよりは、コーヒーを飲んだ方がはるかに体によい選択です。
※カフェインの過剰摂取などは別の問題として、それぞれの体質に合わせて対処する必要があるでしょう。一般的に、1日のカフェイン摂取量の上限は400㎎までとされています。
※真夏の炎天下や、激しい運動で大量に汗をかいた場合は注意が必要です。汗とともに失われるナトリウムを補給せずに水やお茶、コーヒーばかりを飲むと、体内の電解質バランスが崩れて「水中毒」を起こす危険があります。このような状況では、ナトリウムなども一緒に補給できるスポーツドリンクや経口補水液が理想的です。
三浦優子2025年8月15日 9:38 pm
【顎が開きにくい原因は背骨かも!?】
顎を開く動きは、
実は顎関節だけの問題ではありません。
背骨や背中の柔軟性と深く関わっています。
背骨(特に胸椎)が硬いと、
頭の位置を自由に調整できず、
下顎骨の動きが詰まりやすくなります。
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さらに背中の筋肉
(広背筋や脊柱起立筋)が硬いと、
胸郭が広がりにくくなり、
舌骨や喉まわりの筋肉にもテンションがかかります。
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《原因は背骨以外にも》
また、外腹斜筋(お腹の横の筋肉)が硬いと、
肋骨の動きや胸の位置が制限され、
頭が前に出やすくなります。
これが顎の開きにくさを強めるのです。
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《まとめ》
顎の開きにくさは、
背骨・背中・お腹の筋肉まで関係しています。
顎が開かないときは、
咬筋をほぐすだけでなく、
背骨を動かす・肩を大きく回す・脇の下を伸ばすことで
根本的な解決につながります!
桜田ヒロキ2025年8月14日 10:36 am
声の疲労、その正体は筋肉疲労だけじゃない!
多くの歌手やボイストレーナーが「声の疲労は筋肉によるもの」と考えがちです。
でも、「筋トレのように声を痛めつけて鍛える」理論は、声帯には当てはまりません。
【声帯にかかる最大の負担は摩擦】
声帯は性能や音域により毎秒100~1000回以上振動。
声帯粘膜がこすれ合う摩擦によって、熱・微細な損傷・組織内水分の移動・浮腫(むくみ)が発生。
この現象、筋疲労よりも大きな負担になります。
高音・大声で歌うと摩擦熱が急増します。
1オクターブ高く歌うだけで、摩擦によるエネルギー損失は4倍。
2オクターブ上げると、16倍になります。
話し声よりも圧倒的に負荷が大きいのは数字からもわかりますよね。
この負荷が声質低下や音域の制限を引き起こします。
【声帯は“壊して強くなる”対象ではない】
筋肉とは異なり、声帯粘膜は修復によって「強く」なることは難しく、摩擦による損傷が硬化・線維化につながるリスクがあります。
声帯結節や出血などが起こった場合、完全回復が困難になることも。
摩擦を抑える“潤滑戦略”を日常に。
適切な潤滑は摩擦のバリアとして不可欠です。
【実践しやすい方法】
こまめな水分補給(常温・1日1.5~2L目安)
ネブライザー吸入(生理食塩水)で声帯の表面水分を補う
室内湿度 40~60% の環境維持(冬やエアコン時は常に注意)
【まとめ】
声の疲労は筋肉だけでなく、摩擦と組織の浮腫が大きな要因。
「声帯を壊して鍛える」は逆効果。
むしろ、摩擦を減らし、潤いを保つ声のケアこそが、安定したパフォーマンス維持には不可欠です。
桜田ヒロキ2025年8月10日 8:35 pm
【 思春期女子の「息っぽい声」の理由】🎤
10〜14歳くらいの女子シンガーでよく見られるのが、
「息が混じる」「地声が出しにくい」という声の変化。
これは後部声門ギャップ(声帯後ろに三角形の隙間)による一過性の閉鎖不全が大きな要因。
健康な若年女性でも約85%に見られ、必ずしも病気ではありませんが、歌唱効率は低下します。
🔍 背景
・披裂間筋の未発達
・声帯粘膜の成熟途中
・ホルモン変動による粘膜のむくみや乾燥
💡 改善のための発声エクササイズ
ボーカルフライ:後部声門の閉鎖促進
低音域の地声発声:TA筋活性で声帯全体を接触
ストロー発声(SOVT):無理なく閉鎖効率アップ
✅ まとめ
思春期の息っぽさは成長のサイン。
無理な力みを避け、効率的な閉鎖パターンを育てることで、歌声は安定し伸びていきます。
金子 恭平2025年8月8日 8:06 am
【長時間歌い続けるには?】
プロを目指してボイトレに通っている生徒さんは多いと思います。
プロ志向でなくとも、いつかは趣味でライブをしてみたいと考えている方もいるのではないでしょうか。
そこで問題になるのが、長時間歌い続けるための持久力です。
カラオケですぐに喉が枯れてしまったことはありませんか?
ライブハウスの対バンイベントに出演する場合、30分前後の持ち時間が与えられます。
MCを5~10分と考えて、20~25分ほどが演奏時間になります。
歌い手には最低でも五曲程度は続けて歌う能力が必要なのです。
MCのあいだも声帯は使われますから、基本的に喉のための休憩はないと考えたほうがよいでしょう。
アーティストとしてある程度人気や信用を得ると、出演者の少ないイベントに出演するようになります。
持ち時間は、おおむね以下のような感じです。
――スリーマンライブ:40~50分
――ツーマンライブ:50~60分
ワンマンライブを開催するときは、90~120分のあいだでセットリストを組むのが一般的です。
メジャーアーティストの単独コンサートとなると、150分くらいのボリュームも当たり前。曲数にすると20数曲から30曲にもなります。
しかもそのセットリストを連日こなしたりするわけですから、一流歌手のスタミナが尋常でないことがわかりますね。
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▼歌におけるスタミナとは
大前提として、長時間歌唱するためには効率的な発声が必要です。
効率的な発声とは、声帯まわりの各筋肉が協調して働いている状態を指します。
声帯を閉じるための閉鎖筋群(甲状披裂筋、外側輪状披裂筋)と、声帯を引き伸ばす伸展筋(輪状甲状筋)をバランスよく働かせるのが難しく、初学のうちにもっとも苦労するポイントです。
上記のバランスが実現されると、声帯は平行に合わさり振動することになります。
この声区をモーダルレジスタ(地声区)やファルセットレジスタ(裏声区)と区別して、ミックスレジスタ(混声区)と呼びます。
また、声道の形を適切に調整することで、唇から声帯方向への逆圧を得られます。
逆圧が肺から吹き上がる息に抵抗することで、声門閉鎖を助けてくれるのです。
自力で声帯を合わせる努力が減れば、それだけ疲労を防ぐことにつながるでしょう。
※ステージ中の声の劣化には、声帯の粘膜やボディがダメージを負って起こるものと、声帯を操作する筋肉群の疲労によって起こるものがあります。詳しいことはまた別記事にて説明できればと思います。
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▼ほかにスタミナを鍛える方法は?
効率のよい発声をしていても、長時間歌い続ければ筋疲労は避けられません。
さらなる対策はないのでしょうか。
たとえば、長距離ランニングなどの有酸素運動はどうでしょう?
継続的な有酸素運動は、筋エネルギーの生産工場であるミトコンドリアを発達させることで知られています。
そしてミトコンドリアこそが、筋持久力を決定づけている要素なのです。
残念ながら、全身運動をしても内喉頭筋群の持久力が直接向上することはないようです。
しかし悲観するべきではありません。
トレーニングを通して鍛えられた姿勢筋群や呼吸筋群、また心肺機能などは、確実に歌に役立ちます。
助けになるものは、すべて取り入れていきましょう。
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▼もっとも大切なのは発声技術
本質的に歌の持久力を上げるには、やはり技術を洗練させ続けることです。
ミックス発声を習得済みの人でも、訓練を続けることでむだが減り、より長時間歌えるようになります。
そんな歌手の姿をわたしは何度も目にしてきました。
また、声帯に水分が行き渡っていることも、健康的な歌唱を長時間続けるための条件です。
ここで注意してほしいのが、ライブ直前に大量の水を飲んでも、声帯の粘膜が一時的に増えるだけだということです。それは発声するうちにすぐ吹き飛んでしまいます。
筋肉層まで水分が浸透している必要があり、そのためには体重×30~40ml程度の水分を、月単位で継続的に摂取していかなければなりません。
水分摂取についてはヒロキ先生が詳しく書いてくれているので、ぜひタイムラインをさかのぼってみてください。
また、ライブを乗り切るためには、その日の体調やその瞬間の疲労度によって歌い方を変える必要もあります。
ふだんはベルティングで歌っているフレーズを、ヘッドボイス寄りのミックスで乗り切るといった工夫です。
そしてそれには、やはり発声技術が必要なのです。歌手寿命を長く保つには、スキルの向上を避けて通ることはできません。
いっしょに練習をがんばりましょう!
田栗ななえ2025年8月7日 12:55 am
「声が居着く」について考える
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桜田先生のスケール解説の中で出てきたワード「居着く」について、考えてみたいと思います。
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声が「居着く」とは?
「居着く」とは、
地声モードや高音モードに声が居座ってしまう状態を指します。
これによって起こる困りごととしては、
・地声に居続けることで、高音に上がるときに声がプルしてしまう
・高音に居続けることで、下降したときに地声に戻れず、裏声モードのままになってしまう
低音から高音、高音から低音とスムーズに移行したいのですが、
その人の得意なモードに声が固定されやすい傾向があります。
これは、筋肉が「慣れている場所」に居着きたがる性質を持っているためです。
多くの人で、「それあるある!」となる症状なのではないでしょうか。
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【居着く傾向から抜け出すための、エクササイズアイデア】
では、声がモードに居着いてしまう状態から抜け出すためにどうしたら良いか。
地声/裏声モードから抜けられないときは、まずはそれぞれしっかり感覚を取り戻すことが大切です。
①
・裏声に居着く場合:地声3トーン(ドレミレド)
→地声だけのエリアに制限することで戻る地声の感覚を掴みます。
・地声に居着く場合:高音から地声のスライド。
→高音から始めることで、地声を高音に引っ張らない感覚を掴みます。
②オクターブ跳躍(ex:ド↑ド↓)
地声/裏声モードから抜けられないときは
→まず音の跳躍幅の広い1オクターブで、
しっかり地声と裏声それぞれ捉えてみるといいかもしれません。
それぞれのモードの感覚を思い出します。
③オクターブスケール(ドミソドソミド)
・裏声に居着く場合:地声から始めて、上昇↑下降↓。
→下降時に地声に戻るのが難しい場合、
一番下のも音もそうですが、真ん中2音で高音モードに居着いてしまっている可能性があります。要チェック☺︎
・地声に居着く場合 : 高音から始めて、下降↓ 上昇↑
→上昇のときに「持ち上げすぎる」場合は、早めにミックスへつなぐモードへと切り替える意識が必要になります。
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ちなみに、今回動画で紹介している5トーンAHは、
「居着く」をターゲットにするとなると、とても難易度の高いものになります。
※音と音の幅が狭いので、より一層の微調整が必要◎
一方、声の診断するために使った場合、ティーチャー側はそれぞれの声の傾向が見えやすいので声の情報を収集するのにとても良いツールです。
同じエクササイズでも、何を目的とするかで使い方が変わってくるので、ティーチングの引き出しを広げるヒントになりますね☺︎
三浦優子2025年8月5日 12:22 pm
【フィジカルのポテンシャルが高い人へ】
ダンサーさんなど、普段から身体をよく動かしている方ほど、
歌になると身体が固まってしまうことがあります。
フィジカルのポテンシャルが高い方は、
良くも悪くも「身体の状態」に発声が大きく左右されます。
例えば──
・身体がバキバキに固まっていると、声も詰まりやすくなる。
・"苦手"意識が"硬直"として身体に現れて余計に歌いづらくなる。
・逆に、ダンスレッスン後は声が出しやすくなる。
このように、身体の状態で発声のしやすさが変わる方は、
フィジカルを味方にすることで、歌唱力も引き出しやすくなります!
⸻
《声が出づらいと感じるときは?》
「声が出にくい」「身体が力んでいる」
そんなときは、身体を大きく動かしながら発声してみてください。
特に「身体をひねる」ような全身の動きは、
複数の筋肉が同時に働いてくれるため、余計な力みが取れやすく、
喉まわりの筋肉も自然とアクティブになって、発声しやすくなります。
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《最終的には「歌う姿勢」へ》
動きながら声の出やすさを体感したら、
少しずつ動きを小さくして、最終的に歌いたい姿勢へ。
このとき、「身体は動き続けているつもり」という意識を残しておくと、
見た目は止まっていても力まずに歌うことができます!
ぜひ歌唱力向上にフィジカルのポテンシャルも役立ててくださいね!
金子 恭平2025年8月2日 8:37 pm
【真夏の風邪予防】
暑さがピークに達する時期ですね。みなさん元気にお過ごしでしょうか。
熱中症対策はもちろんのこと、声帯のコンディショニングとしても、充分な水分をとりたいところです。
一方、世間では夏風邪も流行しているようです。
風邪への対策として個人的にもっともお勧めしたいのが、「鼻うがい」になります。
―――
▼歌声の大敵である上咽頭炎
風邪をひくと咽頭、鼻、気道などにいろいろな炎症が発声します。
どれも発声に関わる部位なので、当然声は出しづらくなってしまいます。
歌声を構成する要素は――
「声帯の閉じ加減×息の量×声道(共鳴腔)の形状」
でしたね。
同じ風邪ウィルスに感染しても、体質によって鼻炎が強く出たり、咳が止まらなくなったりします。症状には個人差があるのです。
いずれの場合でも避けられないのは、鼻と喉の中間に位置する「上咽頭」の炎症です。
そもそも、多くの感染がこの上咽頭へのウィルスの付着から起こるといわれています。
主要な共鳴腔である上咽頭の腫れが、歌声にもたらす影響は大きいです。
声帯に異常がなくとも声が裏返ったり、ノイズが乗ったりします。
慢性上咽頭炎という疾患も近年ボイトレ界では有名になりました。
これはその名のとおり、上咽頭が慢性的に炎症を起こしている状態です。
喉のコンディションとしては、常に風邪をひいているようなもの。歌い手にとっては厄介この上ないですね。
―――
▼風邪や花粉、慢性上咽頭炎などに効果のある鼻うがい
鼻うがいをすることで、上咽頭を直接洗浄できます。
風邪の予防効果に期待できる上に、花粉や黄砂などへの対策としても有効です。
また、すでに風邪をひいてしまった場合でも鼻うがいが助けになります。
上咽頭に付着したウィルスを一定数洗い流すことで、炎症の回復が早まる効果が研究により確認されています。
そして、日々鼻うがいを続けることで、慢性上咽頭炎の症状も改善するといわれています。
こんなにいいことづくめなら、やらない理由がありませんね!
―――
▼どうやって実施する?
鼻うがいのキットは、薬局などで販売されています。
水を吸い上げ噴出するポンプ仕掛けのボトルと、ナトリウムの粉末がセットになっているものです。
個人的には「サイナスリンス」という商品を愛用しています。
※ポンプで排出する水の量が充分なため、上咽頭にしっかり届くようです。とあるYouTubeチャンネルにて、耳鼻咽喉科の先生が内視鏡で検証していました。
使用する水については、日本国内であれば基本的に水道水で問題ないといわれています。
可能であれば蒸留水などを使えばより安全でしょう。
また、専用のキットがなくても鼻うがいは可能です。
220mlの水に対して、2gの塩を混ぜてあげてください(体液の塩分濃度に近づけるため)。分量はおおよそで大丈夫です。
わたしも旅先にキットを携行し忘れたときなどは、コップと水道水と食塩で対応しています。
鼻うがいのタイミングとしては、一般的に起床時と就寝前が勧められます。
わたしは基本的には帰宅時のみおこなっています。通常の喉うがいと同じタイミングで、鼻うがいに置き換えている感じです。
―――
▼まとめ
今回は風邪対策のひとつとして、鼻うがいをご紹介しました。
慢性的な喉の炎症にも効果があるので、歌い手ならぜひ身につけておきたい習慣だと思います。
慣れるまでは不快感があるかもしれませんが、まずは数週間試してみてください!