三浦優子2025年5月20日 1:59 pm
【首に力が入りやすい方におすすめ!】
歌っていると、首の筋肉「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」が筋張って力んでしまう方、いませんか?
実はこの筋肉、発声には直接関与していないのですが、余計な力みがあると、発声に関わる他の筋肉の働きを邪魔してしまうことがあります。
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そこでおすすめなのが、
「ストレッチしながら発声する」こと!
「胸鎖乳突筋は、そんなに使わなくてもいいんだよ」と、身体に教えてあげましょう。
動画では、胸鎖乳突筋の起始(筋肉のはじまり部分)に指先で優しく触れながらストレッチをしています。
ポイントは
・押すのではなく、そっと“触れる”こと
・起始部に触れることで、余計な力を入れずにストレッチしやすくなること
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さらにこの筋肉、呼吸にも関わる筋肉(呼吸筋)とも言われています。
ここに力みがあると、呼吸が浅くなったり、うまく息が使えなかったりする原因にも。
歌う前のルーティンに、ぜひこのストレッチを取り入れてみてくださいね♪
金子 恭平2025年5月18日 9:53 pm
【やっぱり、はちみつは最強の喉ケアかも?】
歌い手のみなさんにとって、風邪などによる喉や器官の炎症は死活問題ですよね。
こんなときはすこしでも回復を早めたいものですが、役に立つのが『はちみつ』です。
古くから民間レベルでは「喉荒れや咳に効く」とされてきましたが、実際に効果的であるという研究結果が近年たくさん出てきています。
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たとえば、権威ある英医学誌『BMJ Evidence-Based Medicine』に2020年に掲載されたシステマティックレビュー(H. Abuelgasim医師らによる研究のまとめ)です。
はちみつが風邪などの上気道感染症の症状改善に、通常の治療よりも効果的である可能性を示しました。
この研究は14件の研究、1700人以上のデータを分析したもので、はちみつが喉の痛みや咳の頻度を緩和することを裏づけています。
さらに、子どもの咳に対するはちみつの効果を調べた2018年のコクランレビュー(O. Oduwole医師らによる複数の研究の分析)などもあります。
はちみつには、咳止め薬と同程度に咳をしずめる効果があると確認されました。
※ただし1歳未満の赤ちゃんには、乳児ボツリヌス症のリスクがあるため、絶対にはちみつを与えてはいけません。
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実はぼく自身、この四月に風邪をひいてせきが止まらなくなりました。
早く治す方法を調べるうちに、上記のような数々の論文に行き当たったのです。
はちみつを試してみたところ、これまでにないスピードで咳が引いていった実感がありました。
それ以来、自宅にもレッスンスタジオにもはちみつを常備しています。風邪以外の炎症にも効果があるようですよ。
ちなみに味は苦手です。
三浦優子2025年5月15日 9:57 am
【"身体の力の方向性"を味方につけよう】
「歌っているうちに力んでしまう…」
そんな方にこそ知ってほしいのが“身体の力の方向性"です!
動画では、はるか先生が【骨盤・肋骨・頭】にある「回転の方向」について解説しています。
この3つの回転は、歯車のように連動していて、意識できると、無駄な力みが減り、床をしっかり押せる身体になります。
その結果、床からの反力をうまく受け取り、
声にパワーを乗せることができるようになるんです!
ただし、この“回転”は目に見えない「意識の方向」です。
なので、まずは次の3点を意識してみてください!
・恥骨→床へ向ける
・トップバスト→やや斜め上に向ける
・鼻筋→まっすぐ上へ通す
これらが揃うと、回転の力が働きやすくなります!
※背中が柔らかい方は、トップバストを斜めにしようとする時、胸が前に突っ込みすぎないように注意してくださいね。
まずは今日の立ち姿から、意識してみてくださいね♪
金子 恭平2025年5月11日 7:52 am
【共鳴ってなに?】
「共鳴」という言葉がボイトレ界隈ではよく飛び交いますが、声のメカニズムにおいて正確にはなにを指すのでしょうか。
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声帯で作られた原音は、喉や口を通って唇の外に放出されます。
その通り道(声道)の形状によって特定の周波数帯が強調され、音色と母音が決定されます。
この働きを共鳴と呼ぶのです。
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ボイストレーニングの現場では、「響きをおでこに集めて」「頭のてっぺんを鳴らして」といった指導が聞かれることがあります。
厳密には額や頭頂で音が響いているわけではなく、声の周波数に同調してそれらの骨が震えています。「共振」と呼ばれる現象です。
共鳴そのものは声道で起こります。
大音量で音楽を流すと、スピーカーのそばに置いたアコースティックギターのボディは震えます。これは共鳴ではなく共振です。
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ちなみにハリウッド式ボイストレーニングでは、特定の体感に導くような指導はあまり行いません。
骨の薄さや各部の敏感さには個人差があるため、誰もが同じ感覚を得られるとは限らないからです。
声を聴きながら、喉頭の高さや舌の位置、唇の開き方を調整することで、適切な共鳴を見つけていきます。これを母音の調整(Vowel Modification)と呼びます。
人間の声は必ず母音を含んでいますので、母音の調整=共鳴の調整と考えて差し支えないでしょう。
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しかし、感覚重視の指導法が間違いというわけでは決してありません。
そこでは「響き」や「共鳴」という言葉は、厳密な定義にとらわれず、発声イメージを喚起するためのスイッチとして使われています。
指導者と生徒の体質が似通っていて、かつ音のイメージをしっかり共有できていれば、最上の結果を得られる可能性も大いにあると思います。
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ボイストレーニングの指導法は多岐にわたり、科学的アプローチを重視するものから、伝統的な経験則や身体感覚を重視するものまで様々です。
何が絶対的に正しいということはなく、個々の学習者によって最適なアプローチが異なるのです。
どのメソッドで発声を学ぶにしても、最適な共鳴を見つけるのは歌手の使命といえるでしょう。
桜田ヒロキ2025年5月9日 5:43 pm
【音痴の生徒さん、どうやって教えたらいい?】
ボイストレーナーの皆さん、ピアノで音を出しても、生徒さんが全く違う音を歌ってしまう…。そんな場面、経験ありませんか?
実は「音痴」と言われる現象には、主に2つの原因があります。それぞれに合ったアプローチをすれば、改善は十分可能です!
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① 音感が“ゆるい”タイプ
ここで言う「音感がない」は、「音が高い・低いの違いが全く分からない」という意味ではありません。
多くの生徒さんは音楽が好きで、メロディも理解しているんです。ただ、ピッチ(音高)を正確に聞き分ける力が少し弱い=“ゆるい”状態なんですね。
解決法:ソルフェージュやピッチトレーニング
簡単なメロディから始めて、音の動きに耳を集中させる練習が有効です。徐々に難易度を上げていきながら、音の高低や流れを“正確に聞いて”“正確に再現する”力を育てていきます。
※ちなみに、ソルフェージュを教えるのもトレーナー側に一定のスキルが必要です。単に練習曲を並べるだけでは効果が出にくいこともあるので、生徒の反応をよく観察しましょう。
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② 発声の技術が足りないタイプ
実は、ピッチがズレる理由の多くは“発声の物理的な問題”にもあります。
声の高さは、声帯の長さ・張り具合・息の圧力などで調整されます。
この操作が苦手な場合、「正しい音は聞こえてるのに出せない」状態になりやすいんです。
たとえば…
•地声を強く押し出すタイプは、狙った音よりピッチが下がる
•裏声で低い音まで出そうとすると、逆にピッチが高くズレる
こんな風に、音感があっても声で表現できないことはよくあるんです。
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多くの場合、この2つが“同時に起きている”
音感と発声、どちらかだけの問題ではなく、多くの生徒さんはこの両方に課題を抱えています。
だからこそ、音感トレーニングと発声トレーニングは分けて考えるのがポイント。
「聴き取れてないのか」「発声がズレてるのか」を明確にするだけで、ぐっと改善が早まります。
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よくある質問:「ピアノの音に合わせられない生徒さん、どうするの?」
これ、すごくよく聞かれます。
一番手っ取り早くて効果的なのが、**“生徒さんが出している音にピアノを合わせてあげる”**という方法です。
そのうえで、少しずつ正しい音に誘導していくと、「あ、自分の声、全然違うところにあったんだ!」と気づきを与えられます。
特に、トレーナーと生徒の性別が違う場合(声域が離れている時)にはこの方法がとても有効。
耳と体の両方に働きかけられるので、ぜひ試してみてください!
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音痴は「才能のなさ」じゃなく、「スキル不足」なだけ。
正しい手順で取り組めば、ちゃんと伸びます!
三浦優子2025年5月9日 10:51 am
【歌う時の姿勢、気をつけていますか?】
はるか先生が「姿勢と声の関係」について解説しています。
実は、姿勢って、声にも大きな影響があるんです!
たとえば、足の裏の重心がどこにあるかで、骨盤の傾きが変わります。
そして骨盤が傾くと、背骨のカーブが変化し、頭の位置もズレてしまうんです。
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今回の動画では、はるか先生が「小指側に重心がある」と指摘しています。
小指側に重心があると——
・O脚になりやすい
・骨盤が後傾しやすい
・背骨が丸まり、猫背や巻き肩に
・頭が前に出て、首が突っ張る
この姿勢のままだと、顎が開きづらくなったり、
舌骨の動きも制限されて、舌にも余計な力みが出やすくなります。
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姿勢を整えることで喉まわりの筋肉の働きがスムーズになり、声もラクに出せるようになります。
日頃の立ち方、ぜひ見直してみてくださいね!
金子 恭平2025年5月7日 12:17 pm
【喉頭の位置はなぜ重要?】
熱心にボイトレに取り組んでいる方なら、「喉頭(のど仏)を下げて歌おう」という言葉を聞いたり、読んだりしたことがあると思います。
一方で、「いやいや喉頭を上げなきゃ高音は出ないよ」といった情報も見受けられるので、混乱している方もいるかもしれません。
そもそも、喉頭の位置はどうして重要なのでしょうか?
声が作られる仕組みから簡単に理解していきましょう。
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<発声のメカニズム>
肺から吹き上げられた空気が、振動する二枚の声帯に何度も押しつぶされて音波が生まれます。
この音が持つ成分のうち、音程そのものとして聞こえる部分を「基音」と呼びます。
基音は声帯が1秒間に何回振動するかで決まります。この振動数をHz(ヘルツ)という単位で表します。
例えばピアノの真ん中あたりの「ラ」の音(A4)の周波数は440Hzです。1秒間に440回の速さで声帯が振動しぶつかり合った結果、A4が出力されるということです。
人間の声は、基音の整数倍の周波数を持つ「倍音」をたくさん含んでいます。
A4なら880 Hz(第二倍音)、1320 Hz(第三倍音)……といった具合です。
声帯で作られた音(基音+倍音)が喉から口までの空間(声道)を通るときに、特定の周波数帯が強調されます。
ここで強調される周波数の各かたまりを「フォルマント(共鳴点)」と呼びます。特に第一フォルマントと第二フォルマントは、声のキャラクターに大きく影響します。
同じ高さの音を歌っても、喉頭や舌の位置、唇の開き方によって音質と母音が変わります。部屋の形状によって音楽の聞こえ方が変わるのと同じ原理です。
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<喉締め発声はなぜ起きるか?>
歌唱の際は、しばしば第一フォルマントが第二倍音に接近します。
いわゆる地声的な響きを得るために、第二倍音が声道の形状によって強調される必要があるのです。
問題となるのは、「音が高くなるほど倍音同士の間隔が広くなる」点です。
中高音を発声する際、歌い手は第一フォルマントと第二倍音の関係性を保とうとして、喉頭を引き上げてしまいがちです。高い周波数を得るには、短く狭い声道が必要だからです。
これが過剰になると、「喉締め」と形容される、苦しそうな音が出力されてしまいます。
音質だけの問題ならまだ良いのですが、狭すぎる声道はしばしばダメージを招きます。
ここに強すぎる声門閉鎖や多すぎる息の量が加わって「張り上げ発声」となると、さらに危険です。
――
<どうすればいい?>
高い声を無理なく歌うには、喉頭の位置をある程度安定させ、第一フォルマントの過度な上昇を防ぐ必要があります。
脱線するのでここでは詳しく述べませんが、母音の調整が必要です。
ただし、第一フォルマントを下げすぎてしまうと音色は裏声的になります。
地声のトーンで中高音を歌えば、技術レベルや志向する音色によって程度の差はあるにせよ、喉頭の位置は上がるものです。ミックスボイス習得者も、クラシック歌手も同様です。
地声をメインとした歌唱の際は、喉頭の高さは「下げる」ではなく「上げすぎない」のがポイントといえるでしょう。
この加減が音楽ジャンルや声質、また講師と生徒のスキルにも左右されるため、冒頭で示したように様々な指導が生まれるわけですね。
金子 恭平2025年5月3日 10:09 am
【ボイトレは短く、たくさん】
「発声練習のためのまとまった時間を確保できない……」
「仕事で疲れていて長時間練習するモチベーションが湧かない……」
そんなふうに悩んでいませんか?
実は、運動学習の分野では、長時間まとめて行う「集中練習」よりも、短時間に分けて行う「分散練習」のほうが効果的であることが知られています。
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分散練習が効果的な主な理由は以下の通りです。
<記憶の定着>
練習と練習の間に休憩を挟むことで、脳が学んだ内容を整理し、長期記憶として定着させる時間を得られます。
特に睡眠を挟むと効果が高いですが、数時間の休憩でも脳は情報を処理し、定着を促します。
集中練習では、脳が情報を処理し定着させる余裕が少なくなってしまいます。
<集中力の維持>
人間の集中力には限界があります。長時間の自主練習となると、後半の質が落ちてしまいがちです。
短いセッションであれば、集中を維持したまま、質の高い練習を繰り返すことができます。
<疲労の軽減>
ボイストレーニングでは、喉への負担も考慮しなければなりません。
声帯は繊細な組織です。良い発声をしていても、長時間歌い続ければ粘膜が減り、炎症のリスクが高まります。
また、内喉頭筋群の疲労によって発声バランスを崩すことも考えられます。
短時間であれば、喉への負担を最小限に抑えつつ、効果的にトレーニングできます。
<想起練習>
練習のたびに「前回何を学んだか」「どうやるんだったか」と思い出す行為(想起)が、記憶をより強固にします。
練習頻度が高ければそれだけ想起の機会が増え、学習内容が深く刻み込まれます。
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学習化学が示すところでは、「まとまった1時間よりも、集中した15分を4回」といったアプローチが理にかなっているようです。
集中力を保ちやすく、記憶の定着を促し、喉への負担も少ないためです。
では、練習の時間と頻度は具体的にどのくらいに設定するのが望ましいでしょうか?
「15~30分程度の練習を1セッションとし、1日に3回以上」練習するのをお勧めします。
レッスン時に録音していただいているエクササイズも、ひとかたまりが30分を超えることはあまりないはずです。
もちろん、「毎日かならず15分を3回」と気負う必要はありません。日に5分しか練習できなくても、継続するのが大切です。
忙しくて時間が取れない日には、リップバブルやタングトリルを行うだけでも効果はあります。少しでも声帯や喉頭周りの筋肉を動かし、発声に意識を向けてあげましょう。習慣化の観点からいっても、練習時間がゼロでないことには大きな意味があります。
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※例外
「コンサートで10曲以上歌わなければいけない」といったシチュエーションでは、ペース配分や、疲労の程度に合わせて発声を調整する技術が必要です。
そうした場合は、2時間程度を上限としてリハーサルを重ねるのがよいでしょう。