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John Henny先生の講義、ツールデザインについて

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です!
VT初のボイストレーナー育成&認定講座VT-RVは今回から2回に渡りジョン・へニー先生の講義が始まりました!

今回は「ツールデザイン法」についてです。
ツールデザインとは習得する技術習得のためのエクササイズ、レッスンプランの設計法になります。
多くのクライアントはこのためにレッスンのお金を払っていると言っても過言ではないので非常に重要なセクションになります。

ティーチング・トライアングル

ジョン先生が編み出した【教えるための三角形】について教えていただきました。
これは声を評価してそこからどのようにレッスンを組み立てていくかをわかりやすく三角形で表しているものになります。
声というのはとても複雑な物理現象です。
観察して研究して知識を得ることができますが、目の前の生徒に混乱させられることもあります。

なので、まず「第一原則」というものを考えます。
これは問題を取り上げて基本的な要素に落とし込むという手法です。
基本的な要素まで落とし込むことにより、そこから知識を組み立てていくことができます。
地球上には80億人いて、その80億人は一人一人違う声になります。
また、「声の状態、習得度合い」は常に動いているものになります。
なので1回のレッスンで与えたエクササイズが上手くいっても、翌週に同じエクササイズが上手くいくとは限りません。

また、声は色々な要素が影響し合います。
気流が声帯へ行き、そこから共鳴しますが、この共鳴というものも声帯の振動に影響されます。
そしてこれにより気流にも影響があります。
つまり、これは声帯にも影響を受けるということになります。
このように、ピアノやギターとは違い、声は一定ではありません。
なので、トレーナーは混乱することが多々あると考えられます。
レッスン中に混乱した時に、明確な道標になるようにジョン先生はシステムを編み出しました。

第一原則(基本形)を考察する

第一原則についてです。
まずは「音楽の第一原則」について。それは振動です。
楽器というものは、音源というものが必要です。
何かが空気を揺らし始めなければなりません。
ギターであれば弦。人の場合は声帯です。

次に共鳴機というものが必要になります。これにより振動が増幅されます。
ギターではボディ(胴)。人の場合は声道です。
そして放射するものが必要になります。
ギターには穴が空いています。人の場合は口があります。

次に、「声の第一原則」についてです。
まずは振動を始めなければいけません。
気流のエネルギーが声帯の制御を受けます。
気圧が圧縮されたり減圧されることにより音波が作り出されます。
次はこれを共鳴させなければいけません。
音波にフィルターをかけて私たちが求めている音色を作っていきます。

教えることの第一原則とは?

そして「教えることの第一原則」は、まずは聴くこと。次に分析をしてそれを正します。

ではここから三角形に当てはめて考えていきます。
「The Three Cs」という3つのCについて教えていただきました。
・CONDITION(観察)
・CONSIDER(考察)
・CONSULT(共同)

CONDITION(観察)では今この瞬間、クライアントの声に何が起こっているのかを観察します。
はじめに声を評価するときに、ざっくりとクライアントの悩みや問題はわかりますが、一番初めの印象に囚われてはいけません。
声は常に変化するものだからです。
目の前のクライアントは疲れているかもしれないし、緊張しているかもしれません。
なのでこの瞬間に声がどのような動きをしているのかを観察する必要があります。
そして聴く時に何を聴かなければいけないかというのが3つあります。
それは気流・声帯・母音です。
声に混乱させられる時は、この3つの要素がどうなっているのかを考えます。
どんなに難しい声の状態でも、ほとんどの問題がこの3つに落とし込むことができます。

CONSIDER(考察)では、3つ自分に問いかけます。
「何が聴こえているのか?」「なぜそれが聴こえているのか?」「どうやってそれを直すのか」
この3つの質問のうち「なぜ?」というのが一番大事です。
この「なぜ?」を掘り下げるにためには、より声の理解を深めることが大事です。

CONSULT(共同)では、クライアントの声のバランスをとっていくために、子音・母音・スケールを組み合わせてエクササイズを処方します。
子音・母音・スケールはいろんな組み合わせをすることができるので、先ほどのCONSIDER(考察)のフェーズで分析したものに基づきながら考えていきます。

声の観察方法とは?

ここからはCONDITION(観察)を具体的に解説していただきました。
まずは一番最初にクライアントの声を聴いている時、ざっくりした状態がわかります。
例えば、「絞り出しているような声だな」「息っぽいな」「叫んでいるな」などです。
これが第一印象です。
多くのボイストレーナー達はここで考察を止めてしまいますが、それでは本質的な原因が分かりません。

ここからもう少し的を絞っていきます。
ここで「PULL CHEST」「FILIP」などこれまで習ってきたボイスタイプのようなボイスティーチャーとしての言語が出てきます。
このような用語はメソッドなどによって他にもたくさんあります。
「何が聴こえているか?」にフォーカスを当てます。

さらに掘り下げてみましょう。
気流・声帯・母音の三要素に焦点を当てて聴いていきます。
叫び声で絞り出したような声が聴こえている場合は、気流・声帯・母音がどのようになっているのか?、クライアントがどのようにこの三要素を取り扱っているのか。よく聴いて耳を肥やすことが大切です。
そのためには、いろんなレッスンを見学したり、いろんなシンガーの歌い方をじっくり聴いてみたりすることです。
まずは声を聴いた時、ざっくりとした印象を持ち、その後に細かい点に注意していきます。
音色、絞り出していないか、気流・声帯・母音がどうなっているかを聴きます。

考察法とは?

ここからCONSIDER(考察)に入っていきます。
ここの段階でティーチャー側は知識を活かすため更に頭を働かせます。
先ほどの3つの質問に答えていきます。
まずは「何が聴こえているか?」というものをクライアントから引き出します。
そして「なぜ?」というのはティーチャーが考え、「どうやって改善するのか」はティチャー側がクライアントに戻す内容になります。

「何が聴こえているのか?」を明瞭にしていくことで「なぜ?」というものがわかっていきます
「なぜ?」というところでティーチャーは深い知識を発揮する必要があります。
正しいエクササイズを処方するために一番重要な点になります。
そして「どうやって」というものが教えるためのツールキットになってきます。

子音は気流に対する制御というものをコントロールするの使う事が出来ます。
「ま行」や「な行」などの柔らかい子音であれば制御というものは弱く働き「が行」や「ば行」の硬い子音であれば制御は強く働きます。
母音は声道の共鳴をコントロールするものになります。
また声のパワーのほとんどは声道から来ています。
空気と声帯によって音波が生まれますが、声道の形や大きさによっていわゆる響きは変わっていきます。

スケールにはパターンがあり、始まる音があり、上昇・下降の方向があります。
クライアントの喚声点を理解することも大切です。
まさにこれまでに習った、リチャード先生の音声学・音響学や、桜田インストラクターの講義内容が活かされますね。

自分に問いかける3つの質問

声を評価する時、じっくり聴いて先ほどの3つの質問を自分に問いただします。
また声が地声から裏声に切り替わっていくところを聴き分けます。
ここが共鳴と音波との関係性が変わるところになり、クライアントがどういう発声法なのかを教えてくれるポイントでもあります。
声というものは常に変化するものなので、一番最初の問題にとらわれずに必要に応じて評価を変えていくことも大切です。
そして自分がレッスンをしているものを録音して聞き返すことも大切です。
レッスンの録音を聴きながらもう一度、三角形に当てはめていきます。

レッスンをしている時にこの後どうすればいいのかと詰まってしまった時、「何が聴こえているのか」「気流・母音・声帯がどうなっているのか」「なぜそれが起こっているのか」を聴き分けます。
良い答えが出なかった時は、なぜこういうことが起きているのかを紐解いてくれる良い先生、メンターが必要になってきます。
そしてもう一度自分でどうやって直せるのかを問いただします。
絶対にこれだという答えは一つではありません。
なぜこの子音・母音・スケールを選んだかということを理解することが大切です。
さらにこれ以外の答えがないかというのも自分に問いただしてみます。
このようなことを繰り返していくことで身に付いていきます。

最後に

最後にこんなことについてもお話もしていただきました。
舌の過度な緊張は禁物ですが、舌が適切な共鳴を作る形に動いていない場合、高い周波数にあった形の声道は作れません。
歌うということは身体的なことなので、過度な緊張は禁物ですが、緊張がない歌というのは静寂であり音が出ていないということと等しいので、歌うのには必ず労力や、ある程度の緊張が必要になってきます。

それから歌うということはとても感情的なことになります。
感情を解き放つことによって歌の声を見つけることもできるので、もしシャイなクライアントがいたならば、手振りなどをつけながら感情的になりやすい言葉をまずは言ってもらい、その口調のように発声するように運ぶことも有効です。

時に、声のある一部にスポットを当てることがありますが、声というのは複雑な要素が絡み合っているので、実際には1つだけの要素を抜き取って考えることはできません。

経験や、その経験に基づく直感も大切です。
迷ったり混乱した時に、三角形を使うことでシンプルに物事を解き明かすことができます。

次回の講義では、音声学から音域の切り替えやベルティングについて掘り下げていただきます。
そしてライブレッスンもしていただけるので、ジョン先生がどのようなディレクションをしたり、声がどのように変わっていくのかなど、見学できるのがとても楽しみです!

解説しているインストラクター

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

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