歌唱力が上がる指導方法とは?ボイストレーナー育成&養成講座【VT-RV講座レポート】
2025.04.11
こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。
3月よりスタートした「ボイストレーナー育成&認定講座【VT-RV】第2期ですが、気づけばもう3回目。
どの回も刺激があって勉強になります!
今回は、VT-RV初登場となる講義「シンガーの運動学習」についてレポートします。
講義を担当してくださったのは、ニューヨーク大学で音声のハビリテーションを教えているアマンダ・フリン先生。
VT代表の桜田インストラクターが実際に受講し、その素晴らしさに感動して今回の登壇が実現したという、非常に貴重な機会となりました。
この「運動学習」という科学的アプローチで歌唱を扱うレッスンは、日本では【VT-RV】以外ではなかなか受けられません。
私自身、指導者として多くの気づきを得ることができました。
その中でも特に印象的だった学びのポイントを、みなさんと共有したいと思います!
【シンガーの行動学のポイント①】生徒の「言葉」と「感覚」が、上達の鍵になる
今回の講義の中で、特に印象に残ったポイントが2つありました。
まずひとつ目は、生徒自身の言葉や感覚を大切にすることについてです。
発声は目に見えないものなので、「頭に響かせて」など、抽象的な表現になりがちです。
その人により感じ方が変わってしまう言葉の表現を、生徒自身の感覚から引き出すことが大切だと、アマンダ先生はおっしゃっていました。
指導者が「こういう感じでしょ?」と押しつけるのではなく、「今の声、どう感じた?」と生徒に問いかけ、感覚を自分の言葉で言語化してもらう。
そこから、お互いに共有できる共通の言語を育てていくのが、効果的な指導の鍵になるという考え方です。
生徒の「感覚」を「言葉」にするためのポイント
すぐに先生が評価・解釈するのではなく、まずは生徒自身の言葉を聞く
生徒がどんな体感だったか、何を考えたかを話してもらう
感覚を言葉にすることで、学びが「自分ごと」になる
この考え方を聞いて、私はすぐに桜田インストラクターの研修でのワンシーンを思い出しました。
生徒さんが「なんだか、ふわっとした感じでした」と言ったとき、桜田インストラクターは「じゃあ、その“ふわっとした感じ”で、もう一回歌ってみて」と指示をしました。
すると、生徒さんが感覚を掴み、声の響きが変わったんです。その瞬間をはっきりと目の当たりにしました。
この体験が忘れられなくて、私もレッスンに取り入れるようになりました。
そうすることで自然と生徒さんの方から「今の声、ちょっと鼻に抜ける感じでした」など、感覚をシェアしてくれるようになりました。
インストラクターが感覚を言語化するのではなく、生徒さん自身が自分の感覚を言葉にして共通の言語を作っていくことが大切なんですね。
今回の講義で、改めてこのアプローチの大切さを再確認できました。
【シンガーの行動学のポイント②】生徒のモチベーションを引き出す「ポジティブ・フィードバック」の力
もう一つのポイントは、生徒さんへのフィードバックのあり方についてです。特に心に残ったのが、
「ネガティブな指摘よりも、ポジティブな声かけの方が学びのスピードが早い」
というアマンダ先生の言葉。
私は幼いころからクラシックバレエや歌など、さまざまな芸事に取り組んできましたが、当時は、「できないところを指摘される」のが当たり前で、褒められることはほとんどありませんでした。
もちろん、悔しさをバネに練習する力にもなりましたが、上達しないとすぐに「自分はダメだな…」と感じてしまったり、なかなか自信を持てずに、胸を痛めていた記憶があります。
そんな中で、あるとき出会った「褒めてくれる先生」。
最初は正直、どう受け取っていいかわからずに戸惑ったのですが、
「もっと頑張ろう」
「自分にもできるかも」
という気持ちが自然と湧いてきて、結果としてパフォーマンスにも良い影響がありました。
ポジティブな言葉が、生徒の自立を後押しする
生徒が自分なりの感覚を得られず、
いつも先生の評価だけを頼りにしてしまう状態では、自立した学びにはつながりにくいと感じています。
だからこそ、ポジティブなフィードバックはただ気分が良くなるだけでなく、「自分で感じて考える力」を引き出すためにも大切なんですね。
先生の何気ない一言や接し方が、生徒の「やってみよう」という意欲を引き出し、やがて自分自身で成長していく土台になると、自分の幼少期の体験からも実感しています。
ボイストレーナーとして「良い指導」とは何かを見つめ直す機会に
今回のアマンダ先生の講義を通じて、私の中で強く残ったのは、「良い指導とは、技術を教えるだけではない」ということでした。
いくら知識や技術が豊富でも、目の前の生徒さんにとって「必要な言葉」や「必要な体験」を届けられていなければ、真の指導とは言えない。そのことを改めて考えさせられました。
ボイストレーナーとして、生徒の可能性や感覚に寄り添いながら、「どうすれば、この人の力をもっと引き出せるか?」を一緒に考え続ける姿勢が大切だと思います。
アマンダ先生の講義は、まさにそれを「運動学習」という視点から具体的に教えてくれる時間でした。
次回の講義は「教え方の応用編」へ!
次回のアマンダ先生の講義は、これまで学んできた内容を実際の現場でどう活かしていくか、「教え方の応用編」としてさらに実践的な講義が予定されています。
今からとても楽しみですし、また皆さんにも学びをシェアできたらと思っています!
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投稿者プロフィール

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大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。
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