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声にとって適切な練習時間は?

最近は、2時間のライブや舞台を1日2公演行う事がわりと普通になりました。

これにより実際、アーティストから「昼、夜の2回公演に耐えられる声にして欲しい」と発注を受ける事もあり、アーティストの声のケアや、安全な発声法の需要が一気に高まったように感じます。
この「長時間歌う」に関して言うと、よくクライアント様から「1日の練習は何時間くらいにすれば良いですか?」という質問にも答えられると思います。


一部のボイストレーナーは「正しい発声をしていれば何時間でも歌える」と言う方もいます。
果たして本当にそうでしょうか?考えてみましょう。

声の疲労度の簡単な算出の仕方

声の疲労度の簡単な算出の仕方があります。
【声の出し方 × 声の音量 × 時間 =疲労の蓄積ポイント】

・声の出し方
喉の筋肉に過度な緊張を強いる発声、怒鳴り声やささやき声は声の浪費に繋がるため、出し方の工夫や、出し方の矯正が必要。

ボイストレーナーが行うのはこの声の出し方を矯正し、効率的な出し方にする事。
・声の音量

大きな声での発声は、声のシステムに筋疲労を招く。

大きな声には、大きな声門下圧が求められ、良い発声であろうと大きな声での発声は声を疲労させる。
・発声の時間

練習や本番の時間は、声の疲労に直結。

本番などで時間的に縛られている場合は他の2つ(声の出し方・声の音量 )をコントロールする必要がある。

効果的な練習方法は?

1、ボイストレーニング

発声練習(ボイストレーニング)において徹底的に発声の効率化を図るようにして、身体に学習させる事を心がける必要がある。
2、練習の順番を工夫する

ファルセットをつかった練習など、本人やトレーナーの評価での「中くらいの音量」での練習を中心にして、その後に短時間で大きな声の練習をする。楽曲でも高く、大きなパートは後に残しておく。
3、練習時間の設定

練習をやり過ぎてしまう傾向のある人は練習時間を予め設定しておく。
仮に声が疲れ出す時間が2時間であれば、日々の練習時間は2時間まで。それを目安に少し短くしたり、週に1,2回は声をあまり使わない日を設定する。

休息日の設定やボーカルマッサージ


休息日を決めたり、十分な睡眠時間は声にとってとても重要です。

疲労が残っている状態では、発声法が大きく関与ような高難易度のタスクをしても上手くいかない事も多々あります。

発声に関わる筋肉が凝ってしまったり、疲労物質が貯まってしまっている場合は休息を置いてから、練習に取り組んだ方が上手くいく事が多くあります。


2023年の倖田來未さんのツアーから、昼公演と夜公演の合間に喉頭や舌骨周辺を中心に5〜10分程度のストレッチを入れたところ、夜公演の発声が安定した様に感じました。

このようにボーカルマッサージの導入は、声を酷使するシンガーや俳優にとって今後大きな助けになってくる可能性は高そうです!

解説しているインストラクター

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
VocalizeU認定インストラクター

アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中のボイストレーナー。
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。

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