金子 恭平2025年3月13日 11:27 am
【低音は力強く!――だけじゃない】
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声が高めの方は、声帯そのものが薄い作りである可能性が高いです。その場合、低音を歌おうとすると声がスカスカになってしまうことがよくあります。声帯同士の接触面積が足りていないんですね。
対策として、反転母音(アとエの中間の母音)を使って「Aah」と歌うエクササイズなどが考えられます。これは地声の感覚を養う練習であると同時に、甲状披裂筋(声帯の大部分を構成する筋肉)の筋幅そのものを増やす筋トレでもあります。声帯を物理的に太らせようというわけです。
地声が足りない方には、どうしても必要な訓練です。
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しかし、実際に曲を歌うときにその声を使うかと訊かれれば、Noです。乱暴な地声は聞き心地がよくないですし、音程の正確性やビブラート等のコントロールもままなりません。
VTのボイトレでは、筋トレだけに意識を向けたりはしません。常に歌唱に通用する声との両立を狙いながら、筋肉や神経にアプローチしていきます。
下の動画で、ななえ先生から「歌うための地声」の練習法を教わりましょう。
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<エクササイズのポイント>
1.Gowという発音
G子音で適度な声門閉鎖を確保しつつ、ou母音で舌を後ろめに置くことで声の出力を弱めます。
2.下降音階
高い音から低い音へ向かうということは、声帯は「薄い→厚い」と変化します。
地声を訓練中の方は、声帯を合わせる意識が過剰になっているケースが多いです。下から上の順番だとその癖が強く出てしまうので、下降音階でそれを防ぎます。
加藤真太郎2025年3月12日 8:17 pm
【息の量をコントロールして高音曲をクリアしよう】
スタッフちゃんがOfficial髭男dismさんのSubtitleにチャレンジしています。この曲歌ったことがある人はわかるかなと思うのですが、サビで物凄く歌い上げたくなりますよね。
エモーショナルに歌おうとすると、多くの場合で人はたくさん息を吐こうとします。その結果途中で息が足りなくなり、そのパートを歌い切れなかったりすることはよくあります。
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Beforeの歌唱では吐いている息の量が多いため、途中で息漏れした音や大きいブレスの音が聞こえてくるのがわかると思います。このようなとき僕は「車がガソリン漏れしたまま走り続けている状態」と表現をすることがあるのですが、要するに声の原動力となる息を不必要に消耗してしまっているのです。
優子先生は、声道を細くして物理的に息の量を制限できるNayという言葉でレッスンを行っています。もっと息の量を減らしても歌えるんだよということを身体にインプットします。
その結果スタッフちゃん自身も楽に歌える感覚を覚えています。
Afterでは息漏れもなくなり、とても楽そうな状態で歌えています。特に「君にプレゼントし"た”くても」のところは顕著に違いが感じられると思います。この状態であればサビを歌い切るのは容易になってきそうですよね。
歌唱において表現をつけられるということは、その人が歌心を持っているということで素晴らしいことなのですが、楽曲を歌い切るためのマネジメントを考え、ある種理性的に歌うということも歌い手にとって必要な能力です。
金子 恭平2025年3月6日 2:12 pm
【深い声の出し方、本当にそれで合ってる?】
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ミュージカル畑の生徒さんが初回レッスンに見えると、非常にふくよかな声で歌ってくれます。それ自体は素晴らしいことなのですが、多くの場合は声がこもってしまっているのです。そしてそのこもりの原因は、舌の動きにあります。
典型的なエラーは主に以下の二つです。
1.舌先が巻いてしまって、「R」の発音のように口腔を塞いでいる。
2.舌の後ろ側が下がって、咽頭の空間が広くなりすぎている。
舌がこのように動くと、声の第二倍音が強調されなくなり、どんよりと暗い響きになってしまいます。また、独特の濁りが聞こえてくるのも特徴です。
こうした声を、イタリアンオペラではクネーデル(団子が詰まったような声)と呼んで忌み嫌うそうです。
声楽を見習って深い声を作ろうとしているのに、勘違いのせいで団子声になってしまうのは、たいへん勿体ないことだと思います。
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ではどうすればいいか?
喉頭はある程度下がっているが、舌は高い位置にある――。
この共鳴腔によって作られる音が、ジャンルを問わず、多くの人が心地よく感じる声の特徴といわれています。
「喉を開いて歌って」は歌の指導ではよく聞かれる言葉です。共鳴の具合により、そのように知覚するのも確かです。しかし実際には、高音発声時には声楽家の咽頭も狭くなっているのです。
超一流のオペラ歌手であるAntonino Siragusaの声を聴いてみてください。明るく華やかな声で、驚かれると思います。
深く、かつ明るい発声を実現するには、舌先を前のほうでキープしなければなりません。特定の子音を作る瞬間以外は、舌先が下の歯の裏から離れないよう注意します。
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この動きを習得するためのエクササイズを、奈央子先生から教わりましょう。次第に、割り箸を使わずとも舌を前方に――そして高い位置に――保てるようになるはずです。
舌の悪癖は中高音発声そのものの障害にもなりがちで、顎の力みとして感じられることが多いです。音質改善ではなく音域拡張に興味があるという方にも、効果の高い練習法ですよ!
山下奈央子2025年3月4日 5:57 pm
【上手な息っぽい歌声とは?】
息まじりの歌声って、雰囲気があって素敵ですよね。
皆さんも歌手の真似をして、息を多めに使って歌うことがあると思いますが、ちょっと気をつけてほしいことがあります!
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後輩ちゃんは、本家の歌い方を意識して、薄い声で息の量を多めにして歌っています。
でも、歌詞が少し聞き取りにくくて、ところどころ声が暗くなってしまっている感じがします。
それに、音量を上げたくても上げられないように感じることも…。
これは、声帯の閉じる力が少し弱くて、吹き上げる息の量と声帯の抵抗のバランスが崩れているのかもしれません。
実際に歌唱で使われる息っぽい声は、地声がしっかりと入っていて、その上で息を増やしている状態です!
そこで私は「自分が気持ちいいと思えるところで歌ってください」とアドバイスしました。
無理せず、自由な声で歌うのがポイントです。
もしまだその感覚が掴めていないなら、地声を強化するトレーニングが効果的だと思います。
例えば、「ば」や「が」という言葉で全て歌ってみると、感覚がつかみやすいかもしれません。
今回の楽曲は、息っぽい声というよりは、軽い声で歌っているから息まじりに聞こえていたので、後輩ちゃんの声の良さを活かしつつ、一部を軽くして、原曲の雰囲気に近づけました。
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息っぽい声と言ってもただ息を多く吐くだけではないので、しっかり研究してみてくださいね!
桜田ヒロキ2025年3月3日 1:00 pm
歌のリズムトレーニングと歌唱法 ~真太郎インストラクターが教える「白い恋人達」練習法~
今回は、真太郎インストラクターが桑田佳祐さんの「白い恋人達」の練習法を詳しく解説します。リズム感を養いながら、歌に独特のグルーヴを与える方法を一緒に見ていきましょう。
1. リズムパターンの確認
まずは、1拍を3分割する3連符のリズムパターンを確認します。この基礎リズムをしっかり理解することが、全体のグルーヴ作りの第一歩です。
2. 3連符の中抜きテクニック
次に、3連符の2拍目をカットする、通称「3連の中抜き」のパターンに挑戦します。
真太郎インストラクター自身が実践しているこの技法は、楽曲に独特のスウィング感をもたらします。
実際にこのパターンを意識して練習することで、「白い恋人達」のグルーヴがより一層感じられるようになるはずです。
3. リズムトレーニングをサポートするツール
スマートフォンを使って練習する方には、App Storeで300円ほどで購入できる有料アプリ「Tempo」をおすすめします。
このアプリは、正確なリズム感を養うのに役立つ機能が満載です。
さらに、よりマニアックなメトロノームが必要な場合は、「GAP CLICK」というアプリが最高のパートナーになるでしょう。
4. 装飾音符とトリルの習得
リズムトレーニングに加えて、動画内では細かい装飾音符を用いた表現にも注目してください。
例として、「いま★ーもわーすれーない、こいー★のうたー」といった部分では、★マークのところにトリルと呼ばれる細かな音を加えます。
トリルは、桑田佳祐さんが多用する歌唱技法のひとつです。
習得のポイント:
1. まずは、桑田佳祐さんの歌をじっくりと聴き、どの部分にトリルが入っているかを確認し、歌詞に印をつけましょう。
2. 次に、そのトリルの運びを繰り返し練習して模倣します。
トリルは慣れが必要な技法ですが、繰り返し練習を重ねるうちに、自然と自分の歌声に取り入れられるようになります。これは、技術が完全に体得された証と言えるでしょう。
まとめ
• リズムの基礎を固める:3連符と中抜きのテクニックでグルーヴを作り出す。
• ツールを活用する:「Tempo」や「GAP CLICK」などのアプリを使って正確なリズム感を養う。
• 装飾技法に挑戦する:トリルを意識して練習し、桑田佳祐さんの歌唱スタイルを習得する。
歌のリズムトレーニングと技法の向上は、練習の積み重ねが大切です。焦らず、楽しみながら取り組んで、あなた自身の歌の魅力をどんどん引き出していきましょう!
金子 恭平2025年3月1日 8:00 pm
【音階を使わない高音練習】
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VTのYouTubeチャンネルを遡っていたら、ななえ先生の面白いレクチャー動画を見つけました!
「ミックスボイスを探す際に、あえて音階を使わない」という内容です。
メロディを歌おうとしたときに喉回りがガッチリ固まってしまう人には、特におすすめの方法になります。
さて、肝心のやり方ですが――
遠くの人に呼びかけるように、“Hey!”と叫ぶ。
以上です(笑)。
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金子からの補足アドバイスとしては
・力みが強い人は、思い切ってめちゃくちゃ高い音でやってみる。
・息漏れが多すぎる人は、“Yey!”(イェイ)にしてみる。
といったところです。
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おまけ
・ミックス以前に地声が正しく出ない人の場合は、低めの音で“Ay!”(エイ)と叫ぶ。
・裏声が出ない人は、高い音で“Hoo!”(フー)と叫ぶ。
三浦優子2025年2月28日 6:45 pm
【舌が奥まってしまう人】
歌う時は舌は奥まらないのが大切です。
その方が音もクリアになりますが、喉に力が入ってしまったりすると、舌が力んでしまい奥まってしまうことがあります。
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はるか先生は「イェイ」という言葉を使って舌が奥まってしまったスタッフちゃんのエクササイズを行っています。
舌の位置は母音によって変わります。
「い」や「え」という母音は舌は前の方になります。
なので、奥まらないように舌が前になる言葉を選んでいます。
舌の位置の目安として、舌先は下の歯の裏や歯茎あたりについているようにして発音すると◎
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はるか先生は顎をできるだけ縦に振らないようにと指示をしています。
顎を縦に振ることによって、共鳴が変わってしまったり、また舌に力が入りがちの方は顎を動かすことによってより舌に力が入ったりすることも考えられるからです。
特に「イェイ」のように母音が続いている時は顎を動かさずに舌を使って母音を発音できると良いです。
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舌が奥まりがちな方は、ティッシュなどで舌を掴んで発声をしたりすることも有効ですので、用途に応じてお試しください♪
桜田ヒロキ2025年2月26日 2:28 pm
ライトチェストをストロー発声で改善?!
ボイストレーニングの定番になりつつある「ストロー発声」。これはSOVT(半閉鎖声道トレーニング)の一種で、喉をリラックスさせたり、声帯の働きを整えたりする効果が期待できます。
【ストロー発声の主なメリット】
声道を物理的に長くし、喉の緊張を和らげる
健康的な声門の閉鎖を促し、発声の効率をアップ
今回は 「地声が出しにくい」「低音域で裏声になってしまう」 という悩みを持つ方に向けたエクササイズを紹介します。
【エクササイズの流れ】
口を大きく開き、舌を前に出す(あっかんべーの状態)
自分が出しやすい地声の音域で、しっかり強めに発声
このステップでは、声帯をしっかり閉じる感覚をつかみます。ただし 無理に強く出しすぎたり、長時間続けたりすると喉を痛める可能性があるので注意!
その後、ストロー発声に移行。ここでも 地声が出しやすい音域で、少し強めに発声する のがポイントです。
ライトチェストの状態は 声帯が低緊張 になっているため、通常のストロー発声にこのひと工夫を加えることで、より効果的なトレーニングになります。
ぜひ試してみてください!