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TIMELINEタイムライン

塚本奈加2026年2月4日 9:28 pm

Beforeの歌い方では、音のグルーヴ感(推進感)がやや弱く、リズムがもたついて聞こえる印象があります。
曲のカウントをダウンビート(表拍)だけで捉えるのではなく、アップビート(裏拍)も意識し、倍のカウントで感じることで、より細かなリズムを正確に把握できるようになります。
その結果、フレーズの入りが明確になり、歌がもたついたり遅れてしまうことを防ぐことができます。
特にスローテンポの楽曲では、この点を意識することがとても重要です。

もう一つのポイントは、口の開け方です。
歌う音域に合わせて母音を適切に調整することが、音色づくりの鍵になります。
この例では「こころ」の「こ」を歌う際、母音をややワイドに、つまり口を広めに開けて発声することで、地声的な成分が加わり、より力強く明るい響きが生まれています。

さらに、全体的にビブラートを加えることで、歌声に明るさと表情が加わっています。

ぜひご自身でも試してみてください。
そして、音色の変化を心地よく感じられるようであれば、その感覚をご自身のものにしていきましょう。

塚本奈加

桜田ヒロキ2026年1月22日 12:46 am

【なぜ発声治療は「喉頭マッサージとSOVT」に偏りやすいのか】

発声障害の治療内容を振り返ると、喉頭マッサージやSOVT(ストロー発声など)が中心になっているケースが非常に多く見られます。
これらは安全性が高く、短時間で声が出しやすくなる変化を感じやすいため、初期介入として選ばれやすい合理的な手法だと思います。

【即効性が生む「治療の錯覚」】
喉頭マッサージによって喉周辺の緊張が下がると、声が軽くなった、楽に出る、といった変化が起こります。
SOVTも発声効率を一時的に高めるため、患者にとっては「良くなった」と感じやすい治療です。
加えて喉頭マッサージ、SOVT共に効果が”研究で実証されています。”
しかし、この即効性こそが落とし穴になることがあります。

【機能性発声障害の本質は「筋緊張」ではない】
機能性発声障害は、しばしば「喉の筋肉が固い状態」と理解されます。
しかし実際には、多くのケースで発声の使い方そのものが誤って学習され、固定化している状態であることが問題になります。
発声の誤学習により起こった筋緊張は結果であり、原因ではない場合も少なくないと考えています。

【発声は「動作」であり、学習される】
発声は反射ではなく、運動制御を伴う行動です。
誤った発声パターンで歌い続ければ、その使い方が身体に学習され、無意識に再生されます。
この状態では、いくら緊張を取っても、歌唱という高負荷な状況で同じエラーが繰り返されます。

【会話レベルの改善では歌手は救われない】
多くの発声治療は、日常会話の改善をゴールに設計されています。
しかし歌唱は、音域、音量、音色、ダイナミクスなど、会話とは比べものにならないほど高度なタスクです。
会話が改善しても歌えない、という状況は、治療のゴール設定そのもののズレから生じます。

【なぜ「治った気がする」で終わってしまうのか】
喉頭マッサージやSOVTによって一時的に声が楽になると、治療が完了したように感じてしまうことがあります。
しかし発声行動が変わっていなければ、本番や強い発声環境で再発する可能性は高いままです。
この「感覚的な改善」と「機能的な回復」のズレが、発声障害が長引く大きな要因になります。

【必要なのは発声行動の再学習】
機能性発声障害の根本的な改善には、発声の使い方そのものを見直し、再学習するプロセスが欠かせません。
喉頭マッサージやSOVTは、その準備段階として有効ですが、それだけで完結するものではありません。
歌手にとって重要なのは、歌唱環境でも再現可能な発声動作を獲得することです。

【まとめ】
喉頭マッサージやSOVTは、発声治療において重要な役割を果たします。
ただし、それらを「ゴール」にしてしまうと、歌手が本当に必要としている回復に届かなくなる可能性があります。
治療の役割と限界を正しく理解することが、発声障害からの回復を現実的なものにしてくれる、と考えています。

桜田ヒロキ2026年1月18日 11:27 pm

【歌手の発声障害。医療チームから発声治療を受けたのに「治らない」と感じる理由】
発声障害で医療機関を受診した歌手や声を使う仕事の方から、
「治療を受けたが、思ったように改善しなかった」
という声を聞くことは少なくありません。

検査では大きな異常が見つからず、それでも歌うと声が詰まる、思うように出ない。
こうした違和感は、決して珍しいものではありません。

【現場で多く聞かれる治療内容】
これまでの治療内容を尋ねると、
「喉頭マッサージを受けた」
「ストロー発声などの練習をした」
という回答が非常に多く見られます。
これらは安全性が高く、短時間で声が楽になる感覚を得やすい方法です。
発声治療の現場で広く用いられているのも、自然な流れと言えると思います。

【治療が似通ってしまう背景】
喉頭マッサージやSOVT(ストロー発声など)は、患者にとって効果を実感しやすく、医療側にとっても再現性が高いリハビリ手段です。
そして研究でも一定の成果が上げられています。
そのため、初期対応として選ばれやすく、結果的に治療内容が画一的に見えてしまう構造があります。

【歌唱が「楽になった」と「治った」は異なる】
声が楽に出るようになること自体は、回復に向かう大切なステップです。
しかし、それだけで発声障害が根本的に解決したとは限りません。
特に歌手の場合、会話では問題がなくても、歌唱のような高い負荷がかかる場面で再び症状が現れることがあります。
このズレが、「治療を受けたのに治らない」という感覚につながります。

【歌唱と会話の決定的な違い】
歌唱は、音域・音量・音色・母音変化など、日常会話とは比べものにならないほど複雑な発声タスクです。
診察や評価が会話中心になると、歌唱特有の問題が十分に評価されないまま治療が進むこともあります。
「異常なし」と言われたが歌えない、という状況は、この評価のギャップから生じることがあります。

【治療を否定したいわけではない】
ここで重要なのは、喉頭マッサージやSOVTが間違っている、という話ではありません。
(桜田の歌唱におけるリハビリでも用いられる手法です!)
これらは発声治療において重要な役割を果たす、有効な手法です。
問題は、それが治療のすべてになってしまったときに、歌手が本当に必要としている改善に届かなくなる可能性がある点です。

【なぜこの問題を整理する必要があるのか】
発声障害が長引いたり、再発を繰り返したりする背景には、治療内容と、実際に求められる発声能力とのズレがあります。
この構造を理解せずにいると、「努力が足りない」「体質の問題」と誤解されがちです。
だからこそ、発声治療の現状を整理し、歌手の立場から考え直す視点が必要になります。

【次に考えるべき視点】

では、なぜ発声治療はこのような構造を持ち、それが「治った気がする」で終わってしまう原因になるのでしょうか。
次回は、機能性発声障害の捉え方や、発声がどのように学習され、固定化されるのかという視点から、この問題をさらに掘り下げていきます。

金子 恭平2026年1月12日 12:40 pm

【特に難しい「う」と「い」の発音】

声帯に負担をかけずにミックス発声を実現するには、歌のための母音、つまり「あいうえお」を身につけなくてはなりません。

これは音程によって変化する各倍音の周波数に対応するための『フォルマント調整』という技術なのですが、ややこしく考えなくて大丈夫です。上手に発声できることが知識より大切ですからね!

今日は初学者が特に難しいと感じる「う」と「い」の母音の作り方を学びましょう。

―――――――――
▼「う」は“oo”のイメージで

まずは「お」と発音してみましょう。
そのまま顎を動かさずに、唇だけをすぼめます。これが歌うときの「う」です。

アメリカ英語の真似をして、“Cool”と発音してみましょう(Googleで発音が聴けます)。
日本語で喋るときの「う」と比べると、ずいぶんと下顎が落ちている感じがしませんか?

歌唱スタイルや求められる強さに応じて、ここからもう少し「あ」に寄せた“uh”という母音で歌うこともよくあります。

―――――――――
▼「い」は“ee”のイメージで

今度は同じくアメリカ英語で“Creed”と発音してみましょう。
やはり、下顎の低さが感じられると思います。

間違っても、前歯を磨くときの「いー」にしないように気をつけてくださいね!

こちらも場合によって「え」に寄せることが多いです。

―――――――――
▼目安は親指を歯にはさめるくらい

「う」と「い」のいずれの発音においても、歯と歯のあいだに親指をはさめるくらいが目安になります。
歌の最中に、これより顎が閉じている時間はほとんどありません。歯や唇が閉じるのは、特定の子音を作る瞬間や、ハミングのときだけです。

ぜひご自身が歌っているときの顔を動画で撮影して、顎が常にしっかりと落ちているかを確認してみてください!

小野貴之2026年1月6日 8:50 pm

耳を育てる重要な方法


お正月に「芸能人格付けチェック!2026お正月スペシャル」を観ていたところ、オーケストラの聴き分け問題がありました。これが激ムズ。歌手の松崎しげるさんの名曲愛のメモリーを、松崎しげるさんの歌唱と共に演奏します。(少しの期間ならTverでアーカイブが観れます)

A:日本センチュリー交響楽団(プロ)
B:京都大学交響楽団(アマ)

どちらがプロかを見抜く問題ですが、僕は見事に外しました。

これは本当に難しい問題だと感じました。

その理由は、まず京都大交響楽団のレベルがかなり高く、アマチュアレベルと呼びづらいこと。つまり、技術に極端な差がありません。

もうひとつは、愛のメモリーの今回初めて聴くオーケストラアレンジに、歌唱も乗っていること、そして松崎さんの漂うような歌唱がさらに難しくさせていること。


ですが、視点を変えれば、2つの交響楽団の素晴らしい演奏と松崎しげるさんのスペシャルな歌唱を楽しめたということです。なんとも贅沢な時間だったわけです。


今回ブログを書いたのは、このように音だけを聴いて感じることの重要性です。

VTの先生たちは、音だけで声の傾向を見抜く「ブラインドリスニング」が研修で行われることがあります。これは、インストラクター養成講座VT-RVでも体験することができます。

ボーカルに特化した話では、口の開き方や、容姿、年齢などがわからない状態で音を聴く。そしてその音について考える。(ラジオで流れてくる知らない音楽が、すごくいいですよ♬)

また、今回のような「同じ楽曲の演奏の聴き比べ」も相当耳が育ちます。クラシックやミュージカル曲には「こう演奏(歌唱)しましょう」という格式がありますから聴き比べるにはよいですし、POPS, JAZZなどのジャンルでも楽器やボーカルをより細かく聴いてみると、1つの曲でも何通りも聴き方があると思います。

小野も今年は、クラシックのスコア鑑賞を何曲かしようと決意したところです。

みなさんも、2026年は耳を鍛える、耳を育てる年にしてみましょう♪

桜田ヒロキ2025年12月28日 6:56 pm

【なぜ発声障害は起こるのか?】
「声を使いすぎたから」「喉が弱いから」
発声障害の原因は、このように単純に語られることが多いですが、実際にはもっと複雑です。
特に歌手や声を職業とする人の発声障害は、ひとつの原因だけで起こることはほとんどありません。

【声の乱用・過負荷】
最もよく知られている原因が、長時間の発声や大音量での使用です。
ライブやリハーサルの連続、騒がしい環境での会話などは、声帯に大きな負担をかけます。
また、このような状況での発声は声門を強く閉じるために頸部の筋肉を過剰に動因させると考えられます。
それにより過緊張な状態が癖化する可能性があると考えられます。

【体調不良時の声の使用】
感冒や喉の炎症がある状態で声を使い続けることも、発声障害の引き金になります。
粘膜が腫れた状態では、普段と同じ発声でも声帯への衝撃が増えやすく、小さなダメージが積み重なってしまうことがあります。

【発声技術・使い方の問題】
実は、発声障害の多くは発声のクセや誤った使い方が背景にあります。
無理な声門閉鎖、過剰な押し出し、喉頭に頼りすぎた発声などは、
声帯に慢性的なストレスを与え、結果として機能性の発声障害を引き起こします。

【心理的・精神的要因】
緊張、不安、プレッシャーといった心理的要因も無視できません。
「本番前になると声が詰まる」「マイクの前に立つと声が出にくくなる」といったケースでは、身体的要因と心理的要因が複雑に絡み合っていることが多く見られます。

【環境要因と複合的な影響】
乾燥した空気、騒音、睡眠不足、ストレスなど、発声障害は日常環境の影響も強く受けます。
特に歌手の場合、これらが同時に重なることで発症リスクが一気に高まるのが特徴です。

【原因は「ひとつ」ではない】
発声障害は、声の乱用だけでなく、体調、発声技術、心理状態、環境要因が重なって起こります。
「なぜ起きたのか」を正しく理解することは、回復への第一歩です。
声に違和感を覚えたときは、我慢せず、早い段階で原因を整理し、適切な対応を考えることが大切です。

三浦優子2025年11月30日 6:43 pm

【声が出しやすくなる体操】
今回の動画でご紹介した体操は、わき腹(腹斜筋)・背中(広背筋)・肩甲骨まわりを中心にほぐして、発声に必要な“呼吸のしやすさ”と“喉の脱力”を引き出すことを目的に行いました。
 

 
《わき腹が硬いと、呼吸が浅くなる理由》
わき腹には外腹斜筋・内腹斜筋が走っていて、この部分が硬くなると胸郭の横方向の広がりが制限されます。
すると、息を吸う時のスペースが確保しづらくなるため、浅い呼吸・息が入りにくい感覚につながり、結果的に声も伸びにくくなります。
 
この体操では、わき腹を大きく伸ばしたり、体側を動かすことで
→ 胸郭の可動域UP
→ 深い呼吸が入りやすい状態
を作る狙いがあります。
 

 
《肩甲骨や背中を動かすと喉がラクになる》
腕の上げ下げに連動して、
肩甲骨(僧帽筋・前鋸筋・肩甲挙筋)や広背筋が動きます。

肩甲骨まわりが固まったままだと、無意識に首・喉の筋肉(胸鎖乳突筋、舌骨上筋群)に力が入りやすく、
・声が詰まる
・高音で力む
・喉が締まる
などが起こりやすい状態になります。

肩甲骨をしっかり動かしておくと、
→ 喉周辺の余計な力みを緩和
→ 発声に必要な最小限の筋活動だけが働く状態
を作ることができます。

《ウォームアップ効果が高い》
今回の体操は“複数の部位が連動して動く”というのが大きなポイントです。
体側・背中・肩甲骨・肋骨まわりが同時に動くことで、
→ 血流が一気に上がる
→ 体温が上がり、筋肉が動きやすくなる
→ 発声に関わる呼吸筋群にスイッチが入る
といった効果が得られます。

身体全体が温まることで声も立ち上がりやすくなるため、効率的な身体のウォームアップにもなります。
発声前の準備運動にもオススメなのでぜひお試しください♪

金子 恭平2025年11月26日 10:48 am

【地声ミックスってなんのこと?】

ぼくはたびたび、ミックスボイスには「地声ミックス」と「裏声ミックス」が存在すると書いてきました。

その違いがわからない、あるいはまだ体感していないという方に向けて、きょうはデモンストレーション動画を共有します。
ちなみに投稿主はSpencer Welch先生。わがスクール主催の桜田ヒロキが、最初に師事したハリウッド式のボイスティーチャーです。

Spencer先生は同じ高さの音で

1.ファルセット
2.ヘッドボイス(裏声ミックス)
3.チェストミックス(地声ミックス)
4.チェストボイス

の順番で歌ってくれています。
裏声ミックスと地声ミックスの微妙な音質の違いが感じ取れるでしょうか?

―――――――――
▼性差による一般的な傾向

これまでも何度かお話ししてきたように、男性の場合は曲の大半を地声ミックスで歌うケースが多いです。

女性の場合は、同じ曲でも声帯のタイプによって地声ミックスがメインの歌い手と裏声ミックスがメインの歌い手に分かれます。後者の歌い方を、「1stブリッジ付近からヘッドボイスを使い始める」と言い換えることもできます。

※裏声ミックスで歌っている歌手の方でも、訓練不足が原因で地声ミックスが使えていないだけの可能性もあります。

―――――――――
▼ただの「地声」と「裏声」じゃないの?

ミックス発声時は声帯同士が平行に合わさっているという特徴が観測されるものの、その振動パターンはやはり地声モードか裏声モードのいずれかに分類されます。

ミックスボイスという呼称を避け、あくまで「地声」や「裏声」と呼んでも差し支えありません。

後天的に中高音発声を身につけたぼく個人としては、ミックス発声時には独特の体感を覚えるので、「ミックス」という呼び方を続けています。

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