桜田ヒロキ2025年7月2日 7:41 pm
【劇団四季 研究生オーディション対策 パート3】
歌唱動画の合格率が“3倍”に跳ね上がった理由とは?
正直に言うと、これまで僕が「このレベルなら何の問題もない」と思っていた生徒さんでも、なぜか動画審査で落ちてしまうケースが毎年ありました。
でも昨年、ある2つのポイントを意識してもらったところ、合格率がなんと3倍に!
今回は、その実例ベースのコツをシェアします。
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■ ポイント①「映え狙い」をやめた
前回の記事でも触れましたが、
よくあるのが「盛り上がる部分を切り取ればインパクトがあるはず!」という選び方。
でもそれって、その箇所を“しっかり歌い切れる人”じゃないと逆効果になるんですよね。
そこで昨年は、
盛り上がり重視ではなく、“その人が一番得意な部分”にフォーカスして選曲・編集するよう徹底しました。
「楽曲の映えるポイント」より「自分の得意な強みに徹底的にフォーカスを置く」。この視点の切り替えが鍵でした。
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■ ポイント② 録音クオリティに本気でこだわった
そしてもう一つの大きな要因が録音・音質への徹底的なこだわりです。
これまではスマホの内蔵マイクで録っている人が多かったのですが、それだとせっかくの声がこもったり、割れたり、チープに聴こえてしまいます。
昨年は、外付けマイクや収録環境を整えて、
どんな人が聴いても「クリアで聴き取りやすい」状態に仕上げるよう指導しました。
(具体的なセッティングは企業秘密でごめんなさい…!)
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■ 動画は「プレゼン資料」
動画審査って、“気合いと根性”じゃなくて、「誰にでも理解出来る事」がすべてです。
体型も含めてのルックス、衣装
表情や立ち居振る舞い
音質・画質の良さ
これらが整っていることで、あなたのパフォーマンスがより正しく伝わります。
「プロの審査員だから、きっと私の才能を見抜いてくれるはず…」
──その考えはちょっと危険です。
大切なのは、“誰が観ても良さがわかる状態”で提出すること。
桜田ヒロキ2025年7月2日 7:37 pm
【劇団四季 研究生オーディション対策 パート2】
歌唱動画、どこを切り取る?その選び方が合否を分ける!
劇団四季さんの研究生オーディション、ついに詳細が発表されましたね!
VTチームでは長年にわたり受験生をサポートし、合格・不合格の傾向データも蓄積してきました。
今回はその中でも、「歌唱動画(1分以内)」をどう作るべきか?について解説します。
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■ 盛り上がる部分を切り取ればOK…じゃない!
「どうせなら一番盛り上がる部分を聞いてもらいたい!」
という気持ち、すごくよく分かります。実際、多くの方がクライマックス部分を選びがちです。
でも本当に大事なのは、“自分のスキルがもっともよく伝わる部分”を選ぶこと。
「映えるパート」よりも「勝負できるパート」を選ぶべきです。
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■ あなたが“盛り上がる箇所を歌い切れる人”なら?
そのままクライマックスを使ってOK!
高音の伸び、ダイナミクス、ストーリーテリング──どれも得意で、自信があるなら全力で魅せましょう。
ただし!他の多くの受験者もその作戦を使ってくるはず。
だからこそ、「他の誰よりもその音域・その曲で映える自分か?」**という視点で選ぶと差がつきます。
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■ 盛り上がり部分がまだ不安…という方は?
無理にクライマックスを使うのは避けましょう。
苦手なパートで勝負するのは、やはりリスクが大きいです。
その場合は、冒頭のストーリーテリングや表情で魅せられるパートを選ぶのも良い選択です。
ただし注意したいのは、芝居に寄せすぎて歌唱として成立していないケースが時々見られる点。
表現力を出しつつも、あくまで“歌唱審査”であることを忘れずに、バランスを大切にしましょう。
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まとめ
•クライマックス=正解、ではない
•自分の武器が最も活かせるパートを選ぼう
•ストーリーテリングで見せるなら、歌としての完成度も忘れずに!
動画審査は、1分で印象を決める「短距離走」のようなもの。
その1分間で、審査員の心を離さないようにするにはどうすればいいか?という視点で選曲・構成を考えてみてください。
“見せたい部分”よりも、“伝わる部分”。
審査員が「もっと聴いてみたい」と思えるような、説得力のあるパフォーマンスを意識しましょう。
小野貴之2025年6月25日 9:45 pm
よい音とはなんですか?
皆さんはこの質問にどのように答えますか。
チャットGPTに聞いてみるのも、思わぬヒントをもらえるかもしれません。
ここでは、僕の大切にしている好きな言葉を紹介します。
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「明るく静かに澄んで懐かしい文体、少しは甘えているようでありながら、きびしく深いものを湛えている文体、夢のように美しいが現実のようにたしかな文体」
この言葉は、原民喜の「沙漠の花」という随筆の中の文章で、『羊と鋼の森』というピアノの調律師の物語の中で著者・宮下奈都によって引用されています。この本(または映画)がとても素晴らしいのですが。
ベテランの調律師の板取が、どんな音が理想なのかと主人公に聞かれた際、これが理想の音だと述べるのです。
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ボイストレーニングを経験している人であれば、自分にとって苦手な音域を綺麗に歌うために、がむしゃらに気力体力の続く限り練習をするよりも、好きな歌手の歌声やインストラクターのデモで「よい声のイメージを掴んで」から練習する方がうまくいくと感じるのではないでしょうか。
ボイストレーニングにおいて、思い描く声のイメージというものがとても大切になることは言うまでもありません。(自分の"もっといい声"を想像できる人は上手になります)
好きな歌手の歌声も、インストラクターのデモも真似するのが難しい...と感じる場合、本や景色の中にも、ヒントはあるかもしれませんね。
田栗ななえ2025年6月25日 3:23 pm
【声の換声点(ブリッジ)をどう歌っていくか】
地声と裏声の間の声域をどうコントロールするかは、多くの方が日々取り組んでいる課題ではないでしょうか。この地声と裏声の境目部分を「声の換声点」または「ブリッジ(橋)」と呼びます。
今回の課題曲は、まさに女性の第1ブリッジのど真ん中にサビフレーズがある曲です☺︎
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課題曲:『たばこ』/コレサワ
目的:サビで切なさを表現する
Beforeのサビの特徴
• 上昇するメロディで少し音量が上がり、元気な印象
• 音程がややフラット気味(♭)になる
→このブリッジ部分の調整が、発声と声のニュアンスの両方で今回のキーポイント◎
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加藤先生のアドバイス:
① 喉を少し上げてニュアンスをつくる
→「Nay(ネイ)」を使って、薄っぺらい声にしてく
★効果★
• 薄くすることで、声帯がうまくストレッチされてブリッジング(行き来)がスムーズに
• ブリッジがなめらかになると、音程の精度がアップ
• 音程が安定すると、声量も一定になりやすい
• 音量がそろうことで、より切なさを感じさせるニュアンスが出てくる
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発声練習のポイント:「声の一貫性」を育てる
「声の一貫性」とは、どの音を出しても「地声に寄りすぎず、裏声に偏りすぎない」筋肉バランスを保つこと。
◇以下のような変化があれば、一貫性が保てていないサインです:
• 音量が途中で急に変わる
• 「ネイ」が「ナイ」に聞こえてしまう など母音が変わる
今回のように歌のフレーズに発声練習のエクササイズを応用しながら、自分のバランスを確認してみてください☺︎
金子 恭平2025年6月24日 2:20 pm
【ストレスによる喉の違和感】
「なにかが喉に詰まっている感じがする」
「つねに喉が締まっている感覚がある」
こうした症状で悩んでいませんか?
まずは耳鼻咽喉科で診察を受けることをお勧めしますが、外的な異常が見られないケースも存在します。
その場合は『咽喉頭異常感症(Globus Pharyngeus)』の可能性があります。
ストレスやトラウマ、心的困難により、喉から胸にかけての異物感や圧迫感を覚える症状です。
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そもそも発声への不安が、こうした感覚を作り出しているケースは多いようです。
その場合は技術が向上するにつれ、違和感が解消することに期待できるでしょう。
しかし症状の程度によっては練習効率を大きく下げてしまい、上達どころではなくなってしまう可能性もあります。
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<咽喉頭異常感症が疑われる場合の対策>
リラクゼーション:
心と体の緊張を解きほぐしましょう。
深呼吸や瞑想、首や肩周りのストレッチを日常的に取り入れることが効果的といわれています。
喉から意識をそらす:
喉の違和感に集中するほど、症状は強くなりがちです。
発声時の意識の焦点を、横隔膜の動きなどに置いてみるのもいいでしょう。
専門家への相談:
症状が続く場合は、まず耳鼻咽喉科を受診し、器質的な問題の有無を確認しましょう。逆流性食道炎や悪性腫瘍などの可能性もあるのです。
『咽喉頭異常感症』と診断された場合、言語聴覚士による音声治療に取り組むこともあるでしょう。
ボイストレーニングを続ける許可が出た場合は、内・外喉頭筋の過緊張を引き起こさないトレーニング法をトレーナーとともに模索していきます。
三浦優子2025年6月20日 7:07 pm
【声が出やすくなる筋トレのコツ】
普段から筋トレやストレッチをしている方で、
「もっと効率よく声を出したい」
「より楽に良い声で歌えるようになりたい」
と思っている方は、体の使い方にちょっとした工夫を取り入れてみてください!
ポイントは、筋肉の“伸縮性”を大切にすることです。
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◆ たとえば「アームカール」の場合
力こぶ(上腕二頭筋)を鍛えるアームカールでは、
「力こぶにグッと力を入れて、拳を体に引き寄せる」のが一般的なやり方ですよね。
でも、声が出やすい体をつくりたい場合は、
「力を入れて引き寄せる」のではなく、
“肘を伸ばす”という意識に変えてみるのがおすすめです。
※最初は負荷を軽めにしてチャレンジしてみてくださいね!
これは意識の違いではありますが、
このちょっとした変化が、
・「力みやすい筋肉」になるか
・「伸び縮みできる筋肉」になるか
の分かれ道になります。
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◆ 動画では「ランジ」を行っています
動画内では「ランジ(足を前後に開いて腰を落とす動き)」をしていますが、
ただゆっくり腰を落とすのではなく、“弾むような動き”を加えています。
これも筋肉の伸縮性を高めるためのポイントです。
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◆ 伸縮性のある筋肉が声にも影響!
筋肉の伸縮性が高くなることで、日常で使える筋肉になります。
血液は筋肉の伸び縮みによってポンプのように循環しているため、血流が良くなり全身の筋肉が活性化されやすくなります。
それによって、胸郭の動きもスムーズになり、呼吸もしやすくなります。
呼吸がしやすくなることで、声を出すための土台が整い、声も出しやすくなるというわけです。
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普段の筋トレに、ちょっとした意識の変化を取り入れて、
「声が出やすい体づくり」をしてみてください!
桜田ヒロキ2025年6月20日 10:13 am
【ボイストレーナー向け】お手本(モデル)はどこまで有効?〜初心者と上級者での違い〜
ボイストレーニングで「お手本(モデル)」を見せるのは定番の指導法。
でもその効果は、生徒のレベルによって変わってくることを知ってますか?
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1. 初心者には「熟練者モデル」が効果的
初心者にとっては、優れた歌声=理想のイメージ。
プロの歌声を聞かせることで、「こうなりたい!」という明確な目標が生まれ、学習意欲も高まります。
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2. 初心者には「学習者モデル」も有効
初心者が、同じく初心者がどのように注意され、どのように改善していくかを見ること自体が学びになります。
たとえば、「この歌い方はNG → こうやって修正する」…その一連の流れを観察するだけでも、学習のヒントが詰まっているのです。
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3. 上級者には「エラー比較型モデリング」が有効
上級者になると、すでに正しい基本は身についています。そこからさらに上を目指すには、「間違い」と「正解」の微細な違いを聞き分け、修正する力がカギ。
僕はよく、A/Bデモ(NG例とOK例を続けて聞かせる)を使います。
「君は今こう歌ってるよ(NG)。こうするともっと良くなるよ(OK)」といった形で、違いを“耳で体感”してもらうのです。
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4. 上級者には「自己モデリング」も効果的
上級者には、自分の歌を録音し、それを一緒に聞きながらディレクションすることも効果的です。
楽譜や歌詞を見ながら、「このフレーズのここを変えてみよう」とポイントを絞ってアプローチすると、理解も深まりやすくなります。
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上級者に“熟練者モデル”が効かない理由?
上級者になるとモデリングは効果的でない事があるそうです。
理由のひとつは、モデルが高度すぎて比較や理解が難しいこと。
情報が多すぎたり、自動化された動作に上級者にとっても意味がつかみにくいのです。
Wulf & Shea(2002)は、「モデルを見るだけでは不十分。意図や注意の方向を示すことが必要」としています。
実際、僕のクライアントには僕よりも優れた歌手も多くいます。
だからこそ、僕は細部を言語化したり、イメージで伝えることにも力を入れています。単にお手本を見せるだけでなく、「どこに、どう注意を向けるか」を一緒に探るのです。
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最後に
「うまく教えられたかどうかは、
あなた(教師)がやったことではなく、
生徒が“できるようになったか”でしかわからない。」
この言葉を胸に、今日もレッスンに臨みます。
ボイストレーナーには、ひとつの方法論にとらわれない“引き出しの多さ”が求められますね。
金子 恭平2025年6月17日 4:26 pm
【ボイトレ時の体勢】
ボイストレーニングはどんな体勢で行うべきでしょうか?
身体的に問題がなければ、基本的には立った状態が望ましいでしょう。
立位では横隔膜が下がるので、以下のようなメリットが得られます。
■呼吸が深くなる。
■声帯の上下の圧力の均衡が保ちやすくなる。
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ピアノ弾き語りでライブをする人などは、最終的には座った状態でも歌える必要があります。
しかし発声バランスを見つける段階では、立った状態で練習するほうが練習効率はよいでしょう。
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とはいえ、すべての人が立ってボイストレーニングを受けるべきとも言えません。
ぼくもそうなのですが、とくに緊張が起こりやすい場面(初回レッスンなど)では、ふわふわと浮ついた状態になりがちです。
そういうときは知らず肩に力が入り、横隔膜やのど仏がつり上がってしまいます。当然、発声にも力みが生じます。
足裏の感覚などもおぼろで、まさに「地に足が着いていない」状態です。
Hyper Arousal State(過覚醒状態)などと呼びます。
こうした傾向が強い方は、椅子に座ってレッスンしたほうが、落ち着いて技術習得に取り組める可能性があります。
また、レッスンの最中に気分の浮き沈みなどを経験することもあるので、ご自身の状態に合わせて立ったり座ったりするのもよいでしょう。
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心身ともに、快適にボイストレーニングを行えるのがいちばんです。
トレーナーと相談しながら、ご自身に合った体勢を見つけてください!