金子 恭平2026年1月12日 12:40 pm
【特に難しい「う」と「い」の発音】
声帯に負担をかけずにミックス発声を実現するには、歌のための母音、つまり「あいうえお」を身につけなくてはなりません。
これは音程によって変化する各倍音の周波数に対応するための『フォルマント調整』という技術なのですが、ややこしく考えなくて大丈夫です。上手に発声できることが知識より大切ですからね!
今日は初学者が特に難しいと感じる「う」と「い」の母音の作り方を学びましょう。
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▼「う」は“oo”のイメージで
まずは「お」と発音してみましょう。
そのまま顎を動かさずに、唇だけをすぼめます。これが歌うときの「う」です。
アメリカ英語の真似をして、“Cool”と発音してみましょう(Googleで発音が聴けます)。
日本語で喋るときの「う」と比べると、ずいぶんと下顎が落ちている感じがしませんか?
歌唱スタイルや求められる強さに応じて、ここからもう少し「あ」に寄せた“uh”という母音で歌うこともよくあります。
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▼「い」は“ee”のイメージで
今度は同じくアメリカ英語で“Creed”と発音してみましょう。
やはり、下顎の低さが感じられると思います。
間違っても、前歯を磨くときの「いー」にしないように気をつけてくださいね!
こちらも場合によって「え」に寄せることが多いです。
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▼目安は親指を歯にはさめるくらい
「う」と「い」のいずれの発音においても、歯と歯のあいだに親指をはさめるくらいが目安になります。
歌の最中に、これより顎が閉じている時間はほとんどありません。歯や唇が閉じるのは、特定の子音を作る瞬間や、ハミングのときだけです。
ぜひご自身が歌っているときの顔を動画で撮影して、顎が常にしっかりと落ちているかを確認してみてください!
小野貴之2026年1月6日 8:50 pm
耳を育てる重要な方法
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お正月に「芸能人格付けチェック!2026お正月スペシャル」を観ていたところ、オーケストラの聴き分け問題がありました。これが激ムズ。歌手の松崎しげるさんの名曲愛のメモリーを、松崎しげるさんの歌唱と共に演奏します。(少しの期間ならTverでアーカイブが観れます)
A:日本センチュリー交響楽団(プロ)
B:京都大学交響楽団(アマ)
どちらがプロかを見抜く問題ですが、僕は見事に外しました。
これは本当に難しい問題だと感じました。
その理由は、まず京都大交響楽団のレベルがかなり高く、アマチュアレベルと呼びづらいこと。つまり、技術に極端な差がありません。
もうひとつは、愛のメモリーの今回初めて聴くオーケストラアレンジに、歌唱も乗っていること、そして松崎さんの漂うような歌唱がさらに難しくさせていること。
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ですが、視点を変えれば、2つの交響楽団の素晴らしい演奏と松崎しげるさんのスペシャルな歌唱を楽しめたということです。なんとも贅沢な時間だったわけです。
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今回ブログを書いたのは、このように音だけを聴いて感じることの重要性です。
VTの先生たちは、音だけで声の傾向を見抜く「ブラインドリスニング」が研修で行われることがあります。これは、インストラクター養成講座VT-RVでも体験することができます。
ボーカルに特化した話では、口の開き方や、容姿、年齢などがわからない状態で音を聴く。そしてその音について考える。(ラジオで流れてくる知らない音楽が、すごくいいですよ♬)
また、今回のような「同じ楽曲の演奏の聴き比べ」も相当耳が育ちます。クラシックやミュージカル曲には「こう演奏(歌唱)しましょう」という格式がありますから聴き比べるにはよいですし、POPS, JAZZなどのジャンルでも楽器やボーカルをより細かく聴いてみると、1つの曲でも何通りも聴き方があると思います。
小野も今年は、クラシックのスコア鑑賞を何曲かしようと決意したところです。
みなさんも、2026年は耳を鍛える、耳を育てる年にしてみましょう♪
桜田ヒロキ2025年12月28日 6:56 pm
【なぜ発声障害は起こるのか?】
「声を使いすぎたから」「喉が弱いから」
発声障害の原因は、このように単純に語られることが多いですが、実際にはもっと複雑です。
特に歌手や声を職業とする人の発声障害は、ひとつの原因だけで起こることはほとんどありません。
【声の乱用・過負荷】
最もよく知られている原因が、長時間の発声や大音量での使用です。
ライブやリハーサルの連続、騒がしい環境での会話などは、声帯に大きな負担をかけます。
また、このような状況での発声は声門を強く閉じるために頸部の筋肉を過剰に動因させると考えられます。
それにより過緊張な状態が癖化する可能性があると考えられます。
【体調不良時の声の使用】
感冒や喉の炎症がある状態で声を使い続けることも、発声障害の引き金になります。
粘膜が腫れた状態では、普段と同じ発声でも声帯への衝撃が増えやすく、小さなダメージが積み重なってしまうことがあります。
【発声技術・使い方の問題】
実は、発声障害の多くは発声のクセや誤った使い方が背景にあります。
無理な声門閉鎖、過剰な押し出し、喉頭に頼りすぎた発声などは、
声帯に慢性的なストレスを与え、結果として機能性の発声障害を引き起こします。
【心理的・精神的要因】
緊張、不安、プレッシャーといった心理的要因も無視できません。
「本番前になると声が詰まる」「マイクの前に立つと声が出にくくなる」といったケースでは、身体的要因と心理的要因が複雑に絡み合っていることが多く見られます。
【環境要因と複合的な影響】
乾燥した空気、騒音、睡眠不足、ストレスなど、発声障害は日常環境の影響も強く受けます。
特に歌手の場合、これらが同時に重なることで発症リスクが一気に高まるのが特徴です。
【原因は「ひとつ」ではない】
発声障害は、声の乱用だけでなく、体調、発声技術、心理状態、環境要因が重なって起こります。
「なぜ起きたのか」を正しく理解することは、回復への第一歩です。
声に違和感を覚えたときは、我慢せず、早い段階で原因を整理し、適切な対応を考えることが大切です。
三浦優子2025年11月30日 6:43 pm
【声が出しやすくなる体操】
今回の動画でご紹介した体操は、わき腹(腹斜筋)・背中(広背筋)・肩甲骨まわりを中心にほぐして、発声に必要な“呼吸のしやすさ”と“喉の脱力”を引き出すことを目的に行いました。
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《わき腹が硬いと、呼吸が浅くなる理由》
わき腹には外腹斜筋・内腹斜筋が走っていて、この部分が硬くなると胸郭の横方向の広がりが制限されます。
すると、息を吸う時のスペースが確保しづらくなるため、浅い呼吸・息が入りにくい感覚につながり、結果的に声も伸びにくくなります。
この体操では、わき腹を大きく伸ばしたり、体側を動かすことで
→ 胸郭の可動域UP
→ 深い呼吸が入りやすい状態
を作る狙いがあります。
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《肩甲骨や背中を動かすと喉がラクになる》
腕の上げ下げに連動して、
肩甲骨(僧帽筋・前鋸筋・肩甲挙筋)や広背筋が動きます。
肩甲骨まわりが固まったままだと、無意識に首・喉の筋肉(胸鎖乳突筋、舌骨上筋群)に力が入りやすく、
・声が詰まる
・高音で力む
・喉が締まる
などが起こりやすい状態になります。
肩甲骨をしっかり動かしておくと、
→ 喉周辺の余計な力みを緩和
→ 発声に必要な最小限の筋活動だけが働く状態
を作ることができます。
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《ウォームアップ効果が高い》
今回の体操は“複数の部位が連動して動く”というのが大きなポイントです。
体側・背中・肩甲骨・肋骨まわりが同時に動くことで、
→ 血流が一気に上がる
→ 体温が上がり、筋肉が動きやすくなる
→ 発声に関わる呼吸筋群にスイッチが入る
といった効果が得られます。
身体全体が温まることで声も立ち上がりやすくなるため、効率的な身体のウォームアップにもなります。
発声前の準備運動にもオススメなのでぜひお試しください♪
金子 恭平2025年11月26日 10:48 am
【地声ミックスってなんのこと?】
ぼくはたびたび、ミックスボイスには「地声ミックス」と「裏声ミックス」が存在すると書いてきました。
その違いがわからない、あるいはまだ体感していないという方に向けて、きょうはデモンストレーション動画を共有します。
ちなみに投稿主はSpencer Welch先生。わがスクール主催の桜田ヒロキが、最初に師事したハリウッド式のボイスティーチャーです。
Spencer先生は同じ高さの音で
1.ファルセット
2.ヘッドボイス(裏声ミックス)
3.チェストミックス(地声ミックス)
4.チェストボイス
の順番で歌ってくれています。
裏声ミックスと地声ミックスの微妙な音質の違いが感じ取れるでしょうか?
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▼性差による一般的な傾向
これまでも何度かお話ししてきたように、男性の場合は曲の大半を地声ミックスで歌うケースが多いです。
女性の場合は、同じ曲でも声帯のタイプによって地声ミックスがメインの歌い手と裏声ミックスがメインの歌い手に分かれます。後者の歌い方を、「1stブリッジ付近からヘッドボイスを使い始める」と言い換えることもできます。
※裏声ミックスで歌っている歌手の方でも、訓練不足が原因で地声ミックスが使えていないだけの可能性もあります。
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▼ただの「地声」と「裏声」じゃないの?
ミックス発声時は声帯同士が平行に合わさっているという特徴が観測されるものの、その振動パターンはやはり地声モードか裏声モードのいずれかに分類されます。
ミックスボイスという呼称を避け、あくまで「地声」や「裏声」と呼んでも差し支えありません。
後天的に中高音発声を身につけたぼく個人としては、ミックス発声時には独特の体感を覚えるので、「ミックス」という呼び方を続けています。
金子 恭平2025年11月17日 11:58 am
【喉と舌を分離しよう!】
中高音発声、特に地声ミックスでの発声には力みが生じがちです。
そしてその多くが、舌の不自由さに起因しています。
典型的なのは以下のような流れです。
「喉頭(喉仏)の極端な上昇は叫び声を招くと知って、喉を下げて歌う」
↓
「舌を押し下げる動きと喉頭を下げる動きを混同してしまい、かえって強い力みが生じる」
↓
「アウトプットされた声は、喉に何かが詰まったような音色」
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▼あくび声のGeeを使おう
ふかーいあくびをするような調子で、Gee(ギ―)と発音してみましょう。
『くまのプーさん』に登場するイーヨーのような声です。
唇を突き出すようにすると、適切な母音を作りやすくなりますよ。
舌の先が、下の歯の裏あたりに軽く触れるようにしてください。
喉仏を触って確認できる方は、手で触れてみてください。
普段の位置よりも下に落ちているはずです。
その声で1.5オクターブスケールなどを使って練習します。
高い音に向かいつつも、喉頭がつられて上がらないようにしましょう。
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▼なぜGeeなのか
実はあくび声での練習は、Goo(グー)などのu母音のほうが簡単です。
しかしi母音でおこなうことに意味があります。
u母音はBack Vowelといって、舌が口内の後方に位置する母音です。
喉頭を下げる動きとはもともと相性がいいのです。
一方でi母音はFront Vowelといって、舌が前方に位置します。
Geeという発音を保ったまま深い声を出すには、舌と喉頭の分離を求められます。
この練習で出す声をそのまま歌唱で使うわけではありませんが、舌が独立して働く状態を体験することが大切です。
ある条件で体験できたことは、次第にほかの条件でも再現できるようになるからです。
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▼舌はなるべく前に置きたい
歌唱の際に、舌が後方に引っ込みすぎると声がこもります。
声道内で反射するエネルギーが減るので中高音を扱うのは簡単なのですが、行きすぎると好ましくない音色になってしまいます。
歌うときは、声の深さを保ちつつなるべく舌を前に置いておくのが理想とされています。
効率よく美しい発声の獲得には、歌のための「あいうえお」を習得する必要があります。
下顎は喋るときと比べて落ちていて、舌先は常に下の歯の裏側に触れている状態です。
スピーキングの母音とはかけ離れているので、はじめは違和感を覚える方も多いです。
あくび声のGeeを使って、まずはその一端を体験してみましょう!
三浦優子2025年11月16日 11:12 am
【声に影響する坐骨神経痛】
坐骨神経痛の多くは、お尻やもも裏の筋肉の硬さ、骨盤の後傾(骨盤が後ろに倒れた姿勢)、長時間のデスクワークなどで起こりやすくなります。
特に座り時間が長い30〜50代の女性にとても多い症状です。
この状態が続くと 呼吸の通り道が狭くなり、息が浅くなりやすい という問題が起きます。
また、本来は下半身で床を押したエネルギーが体幹を通って上半身へと伝わることで軸が“安定”しますが、坐骨神経痛では骨盤後傾や筋肉の硬さによって軸が“不安定”になりやすくなります。
その結果…
・息が入りにくい
・声が細くなる
・支えが弱くなる
・高音が安定しない
といった、声のトラブル が起きやすくなるのです。
一方で、もも裏(ハムストリングス)と腸腰筋の柔軟性や伸縮性が高まると、骨盤まわりの動きがスムーズになり、坐骨神経への負担が減りやすくなる ため、症状の緩和にもつながります。
坐骨神経痛を抱えている方は、発声練習に加えて「体のストレッチやエクササイズ」を取り入れることで、声の出やすさも効率よく改善できるので、ぜひ習慣にしてみてください。
山下奈央子2025年11月8日 4:04 pm
【実録!リズム感アップのための攻略法】
皆さんは歌を練習する時、リズムについてどれくらい意識していますか?
メロディは完璧でも、「なんかノリが出ない」「歌が単調になる」と感じる方は、リズムの取り方に原因があるかもしれません。
♪ 伴奏に乗る
このショート動画では伴奏が刻む「ちゃんちゃんちゃん」というリズムを感じて、それに正確に「乗る」ことを求めています。
これは、ただ歌詞と音程を追うのではなく、伴奏との一体感を持って歌うことが、歌にグルーヴを生み出す鍵だからです。
自分のタイミングで歌うのではなく、伴奏を常に意識し、正確に捉えることが大切です。
♪ インプットの重要性
この動画では、歌のテクニックというより「歌う時の意識と集中力」を問うています。
プロの歌を聞く時、ただ「良い歌だな」で終わらせず、「伴奏に対して歌詞をどのようにはめているのだろう?」と細かく分析するインプットが、あなたの表現力を格段に引き上げるポイントかもしれません。
「リズムが苦手」と感じる方は、まずは歌と伴奏に耳を傾けて、出来るだけ正確に耳コピするところから始めてみてくださいね!