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こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。3月から始まったボイストレーナー養成講座【VT-RV】は、いよいよ最後のトピックになりました!
最後のテーマは、これまでの講義の中でも難しい「音響・音声学」。リチャード・リズモア先生から、2週にわたって学びます。今回は、1週目の講義をレポートします。
まずは、「音」を可視化する波形について説明がありました。音は、空気中を伝わる圧力の変化として捉えることができます。空気の粒子が互いに近づいて密になり、圧力が高くなる「圧縮」と、粒子同士が離れて疎になり、圧力が低くなる「希薄」が時間的に繰り返されることで、音が伝わっていきます。
このような時間に伴う圧力の変化を可視化したものが「波形」です。音響・音声学では、波形を観察することで、声の周期性や音の特徴を確認していきます。

人の声帯の振動によって生じる音は、単一の周波数だけではなく、複数の周波数成分を含む「複雑な音」として捉えることができます。また、声帯が周期的に振動することで、声には音の高さが生じます。
安定した高さで発声しているとき、声帯の振動はおおよそ周期的に繰り返されます。そのため、音圧の変化を表した波形にも、同じようなパターンが現れます。
つまり、波形の1周期は、声帯の1回の振動周期におおよそ対応していると考えることができます。
ここで、声帯が開閉するときに生じる空気圧の変化についても説明がありました。
目で直接確認することが難しい声帯の振動によって生じる音圧の変化を、波形として可視化して捉えられるという点が、とても興味深く感じました。
次に、波形の1周期の時間と、声帯の開閉の関係についても解説していただきました。「あ〜」と声を出している波形は同じようなパターンを繰り返していますが、この1周期にかかる時間は、音の高さによって異なります。
例えば、C6(中央のドより2オクターブ高いド) では、声帯は約1ミリ秒ごとに振動の1周期を繰り返しています。つまり、1秒間に約1,000回の振動が繰り返されていることになります。

波形から1周期にかかる時間を確認することで、声帯振動の頻度や、それに対応する音の高さを捉えられるということです。
私たちが普段なんとなく出している声にも、声帯の振動によって生じる音の高さがあります。その音の高さと声帯の振動が連動しているというのは、とても興味深いと感じました。

次に、喉頭原音について学びました。喉頭原音とは、声帯の振動によって生じる、声のもととなる音のことです。続いて、声帯が開閉するときの形状や、そのときの空気圧のかかり方についても解説していただきました。
これまでの【VT-RV】の講義では、声帯の動きを喉頭ストロボスコピーやハイスピードカメラで撮影された声帯振動の映像を観察したり、SPL(音圧レベル)について学んだりしてきました。今回の説明を聞きながら、音声学とこれまでの講義がつながったと感じました。
ここで、リチャード先生から、ボイストレーナーが、音声学を学ぶ理由について、お話がありました。歌の指導者が目指すのは、生徒さんの声帯がちょうどよい加減で閉鎖できるように導くこと。強すぎても弱すぎてもいけないので、そのバランスを見極めるために、「声」のメカニズムを知っておく必要がある、ということでした。

次に、音を可視化するもう一つの方法として、スペクトログラムについて説明していただきました。スペクトログラムは、音に含まれるさまざまな周波数成分を、時間の変化とともに可視化したものです。横軸は時間、縦軸は周波数を表し、色の濃淡などによって、それぞれの周波数成分の強さを確認できます。倍音の強い部分なども、視覚的に捉えられます。
そして、3つ目の方法として、パワースペクトルについても解説していただきました。
パワースペクトルは、ある区間の音に含まれる各周波数成分の強さをグラフで表すものです。どの周波数成分が、どのくらい強く含まれているかを確認できます。

講義の終盤は、譜面と照らし合わせながら、音の高さと周波数の関係を学びました。例えば、C4は約262Hz、C5は約523Hzです(A4=440Hzの平均律の場合)。
リチャード先生からは、まず無理なく覚えられるよう、C4は約250Hz、C5は約500Hzという大まかな目安で覚えるとよいと解説がありました。また、ボイストレーナーが特に覚えておきたい周波数も、わかりやすく教えていただきました。私の場合、音声学は苦手分野なのですが、このように覚えやすく教えていただけると、苦手意識が少しやわらぎます。
最後に、倍音について解説していただき、今回の講義は終了しました。倍音とは、基本となる周波数(基本周波数)の整数倍に当たる周波数成分のことです。最初に学んだ、声には複数の周波数成分が含まれるという話にもつながっています。
今回は、音響・音声学の基礎をわかりやすく解説していただきました。次回はさらに内容が深まっていくので、その前に基礎を整理できてよかったです。
次回の講義では、今回学んだ周波数や倍音が、なぜ指導者にとって大切なのかについても学びます。音声学は難しいですが、理解できるとボイストレーナーとしてとても役立つ分野です。時間をかけて理解を深めていきたいと思います。