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こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。3月から始まったボイストレーナー養成講座【VT-RV】も、いよいよ第19回を迎えました。今回は、リチャード・リズモア先生による特別講義「音響・音声学」の後編です。
声の共鳴は、声道の形状や大きさによって変化します。今回の講義では、共鳴が起こる仕組みから、母音によって声の響きが変わる理由まで、実験や画像を交えながら学びました。

まずは前回の復習を行い、今回のテーマである「共鳴」について学びました。リチャード先生は、共鳴の仕組みを説明する前に、「ボイストレーナーに共鳴とは何かを尋ねると、トンチンカンな回答が返ってくることがある」と話してくださいました。
例えば、「この声、とても共鳴しているね」「こっちの声の方が共鳴している」といった表現です。
しかし、私たちが声を出すときには、基本的に声道で共鳴が起こっています。つまり、特定の声だけが共鳴しているわけではないのです。
普段私たちが使っている「共鳴している」という言葉は、何を意味しているのでしょうか。
リチャード先生によると、実際には「より力強い声」「パワフルな声」「豊かな声」といった、声の特徴を表現している場合があるそうです。
例えば、声の力強さには、声帯の下にかかる圧力である「声門下圧」などが関係しています。一方、声の豊かさには、倍音の成分やバランスなどが関係しています。
このように、声の力強さや豊かさを、単純に「共鳴している」という言葉だけで説明することはできません。
では、音声学における「共鳴」とは、どのような現象なのでしょうか。
声帯が振動すると、空気に圧力の変化が生まれ、それが音波として伝わります。その音波が声道を通る際、空間の形状や大きさによって、特定の周波数成分が強められます。これが、声の共鳴の基本的な仕組みです。
そして、この共鳴において重要になるのが「声道」です。
声道とは、声帯で生まれた音が口や鼻へと伝わる通り道のことで、主に咽頭腔、口腔、鼻腔などが関係しています。
ここでリチャード先生は、「この中で、鼻腔がとても重要だと思っている人はいますか?」と受講生に質問しました。しかし、手を挙げる人はいませんでした。
鼻腔の働きについては、以前ケリー・オバート先生の講義でも学んでいたため、皆さんすでに理解されていたのだと思います。
ボイストレーナーとして声を指導する際には、感覚的な表現だけに頼らず、こうした共鳴の仕組みを正しく理解しておくことが大切だと学びました。

続いて、共鳴体の大きさと周波数の関係について学びました。リチャード先生が例に挙げたのは、バイオリン、チェロ、コントラバスです。これらの弦楽器は、大きさによって音域や響き方が異なります。講義では、こうした楽器を例に、共鳴体の大きさや形状が周波数にどのように関係するのかを解説していただきました。
さらに、この仕組みを身近なもので体験するため、3本のペットボトルを使った実験も行いました。それぞれのペットボトルに異なる量の水を入れ、飲み口に息を吹きかけて音を出します。すると、水の量によって異なる高さの音が生まれました。
水の量が変わると、ボトル内部の空気の容積が変化し、共鳴する周波数も変わります。音が変化する様子を実際に確かめることで、共鳴体の大きさと周波数の関係を、より具体的に理解できました。
次に学んだのは、口腔・咽頭腔と舌の関係です。「i」「a」「u」を発音しているときの横顔のMRI画像を見ながら、母音によって舌の位置や声道の形がどのように変化するのかを解説していただきました。
私たちは母音を発音するとき、舌の位置や口の開き方を変えています。それに伴い、口腔や咽頭腔の空間の大きさ、形状も変化します。例えば、「i」を発音するときは舌が前方に位置するため、口腔の前方の空間が狭くなり、舌の後方にある咽頭側の空間が広くなります。
リチャード先生は、この状態を先ほどの楽器に例えて、「前方にバイオリン、後方にチェロがあるようなイメージ」と説明してくださいました。このように考えると、母音による声道の形の違いがイメージしやすくなりました。
声道の形が変われば、共鳴する周波数も変化します。ボイストレーニングで母音を選択するときにも、口や喉の中でどのような変化が起こっているのかをイメージできると、発声を考える上で大きな手助けになると感じました。

講義の終盤では、母音と共鳴点の関係について学びました。共鳴点とは、声道の共鳴によって、特定の周波数の音が強められるところを指します。 ただし、口や喉の中の特定の場所ではなく、音の周波数に関するものです。
共鳴点は周波数の低い方から順に、第一共鳴点、第二共鳴点、第三共鳴点……と呼ばれます。講義では第五共鳴点まで取り上げましたが、母音の違いを考える上で特に重要なのが、第一共鳴点と第二共鳴点です。
第一共鳴点は主に口の開き方や舌の高さ、第二共鳴点は主に舌の前後の位置と関係しています。講義では、第一共鳴点は250Hz〜900Hz、第二共鳴点は750Hz〜2500Hzという周波数の範囲が紹介されました。母音によって声道の形が変わるため、共鳴点の周波数も異なります。
母音にはさまざまな種類がありますが、リチャード先生は、今回の講義では「i」「a」「u」の3つに絞って考えれば大丈夫だと話してくださいました。
また、共鳴点との関係から、「なぜ『i』の母音は鳴りが良いのか」「なぜ『u』の母音は強度が低いのか」についても解説していただきました。母音によって共鳴周波数が異なるということは、同じ声の高さでも、どの母音を使うかによって音の響き方が変わるということです。
共鳴周波数の数値と実際に使う母音を照らし合わせることで、ボイストレーニングにおいて、なぜボイスタイプに応じた母音の選択が有効なのか、より深く理解することができました。
これまで音声学は難しいと感じていましたが、リチャード先生は大切なポイントを絞りながら説明してくださいます。一度にすべてを理解するのは難しくても、一つひとつの仕組みがつながっていくことで、音声学に対するハードルが少し下がったように感じました。
そして、講義の最後には、リチャード先生からうれしい提案がありました!なんと、音声学の講義をもう1回追加してくださるというのです。今回までの2回の講義では、音声学の序章ともいえる部分を学んできました。そこで、第3回は実践編として、歌っているときの母音や喉頭原音をどのように変化させ、実際の歌唱に当てはめていくのかを学ぶことになりました。
音声学は難しく、一度講義を受けただけでは理解しきれないこともたくさんあります。だからこそ、今回学んだ知識を実際の歌唱と結びつけられる実践編が、とても楽しみです!こちらの講義についてもレポートしますので、どうぞお楽しみに〜!
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