こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。今回、ボイストレーナー養成講座【VT-RV】では特別講義として、初登場のコンテンツ「ビブラートの科学」を2週にわたって学びました。今回は、その1週目をレポートします。

講師のジュリア・ニールセン先生は、カリフォルニア州サンフランシスコ在住のボイスティーチャーです。約25年のキャリアを持ち、これまでプロのオペラ歌手や声楽家を指導してこられました。今回の講義のトピックは、主に次の3つでした。
1. 健全なビブラートにはどのような特徴があるのか
2. どうやってビブラートを測っていくのか
3. ビブラートが生理学的にどのような現象なのか
まずは、ビブラートとはどういうものなのかを実践を通して学んでいきます。本編に入る前に、ジュリア先生から受講生へ、いくつかの問いかけがありました。
「ビブラートはコントロールできるものでしょうか?」
「ほとんどのシンガーがビブラートをコントロールできるでしょうか?」
「高齢のシンガーはビブラートの幅が大きくなる傾向があるでしょうか?」
こうした質問から講義が始まり、まずは受講生それぞれが今持っている「ビブラートに対する考え」を整理した上で、「ビブラートとは何なのか」を掘り下げていきます。
良いビブラートを分析するための4つのパラメーター
続いて、ジュリア先生から、アメリカの「ビブラートの父」と言われる音楽心理学者、カール・シーショア氏の言葉が紹介されました。
「良いビブラートとは、ピッチ(音高)の揺らぎであり、通常はそれに同期して音量や音色も揺らぐ。その揺らぎの幅と速さが、声(音)に心地よい柔軟性、優しさ、そして豊かさを与えるものである。」
この「心地よい柔軟性、優しさ、豊かさ」とは、どのような要素によって決まるのでしょうか。
今回の講義では、シーショア氏の言葉をさらに具体的に捉えるために、ビブラートを4つのパラメーターに分けて見ていきました。
今回取り上げられたのは、次の4つです。
・速度
・振れ幅
・規則性
・バランス
最適なビブラートの目安として、1秒間に5〜6回ほどの速度で揺れ、振れ幅は上下に半音程度との解説がありました。
ただ音程が揺れていればよいというわけではありません。どのくらいの速さで揺れるのか、どのくらいの幅があるのか、そして、その揺れがどのような規則性やバランスを持っているのか。4つの視点から、ビブラートをより具体的に捉えていきます。

ここからは、シングスコープというアプリを使って、実際に自分のビブラートの速度や振れ幅を確認していきました。シングスコープは、音程やビブラートの速度、振れ幅を可視化できるアプリです。自分がどのように声を出しているのかを、画面を見ながら確認することができます。
【シングスコープを使った4つの実践】
| 実践 | 内容 |
|---|---|
| 音程を変える | 同じ母音で「ソ・ファ・ミ・レ・ド」と音程を変える |
| 母音を変える | 同じ音程で「あ・い・う・え・お」と母音を変える |
| 子音をつける | 同じ音程で「な・に・ぬ・ね・の」と子音をつける |
| 無声子音をつける | 同じ音程で「さ・し・す・せ・そ」と無声子音をつける |
個人的に特に面白いと思ったのが、同じ音程でも母音を変えると、ビブラートの速さや振れ幅に変化があったことです。
その後、受講生同士で気づきをシェアする時間もありました。あるVT-RV生からは、このようなシェアがありました。
「頑張っても1秒間に4回しかビブラートができなかった。5、6回行おうとすると振れ幅に波ができてしまう」
それに対してジュリア先生は、「次回、振れ幅を調整するトレーニングを伝えますね」と答えてくれました。
今回の講義を通して、ビブラートは単に音程が揺れていればよいのではなく、速度や振れ幅、規則性、バランスといった複数の視点から捉えられることを学びました。

次に、ビブラートが生まれる生理学的な仕組みについて解説していただきました。その中でも印象的だったのが、筋肉の緊張と弛緩の関わりによって振戦が起こり、ビブラートが成り立つというお話です。
そのため、息を押したり引いたりしてビブラートを作ったり、音程を上げ下げしてビブラートを作ったりすることは非効率的だとの解説がありました。
私はもともとビブラートがとても苦手で、以前、まさに音程を上下させてビブラートを作るエクササイズを練習していたことがあります。ですが、何度練習しても、歌の中で自然にビブラートを出すことができませんでした。
今回の講義を受けて、音程を上下する動きはトリルであり、ビブラートとは違うものだったことが、なかなか習得できなかった原因のひとつだったのだとわかりました。このあたりは次回の講義でも扱われるトピックとのことで、とても楽しみです。
今回の講義では、シングスコープを使って、自分のビブラートがどのようなバランスなのかを実際に可視化することができました。自分の発声の癖もよくわかったので、これからの練習にも役立ちそうです。
ジュリア先生からは、「音程が少し低くなっていることに自覚がない生徒さんには、シングスコープを見せると一目でわかるので、指導にも活用するとよい」というアドバイスがありました。
次回は、ビブラートをどのように開発していくのか、さらに深く学んでいきます。ビブラートについて、これまでなかなか詳しく学ぶ機会がなかったので、次回の講義もとても楽しみです!
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