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発声が変わる“身体の使い方”とは?ボイストレーニングに効くフィジカルアプローチ講座レポート

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。 2024年4月に開講した【VT-RV】第1期は、9月末に無事修了を迎えました。現在は第2期生が日々実技に取り組んでいます。
今回は1期・2期合同で開催された【追加講義】の様子をレポートします。 テーマは「発声に特化した身体の使い方」。ボイストレーナーとしてだけでなく、フィジカルトレーナーとしても活動している私が、これまでの経験をもとに講義を担当しました。

「なんとなく声が出にくい」を身体から整える方法とは?

講義の冒頭では、「発声と相性の良い身体の使い方」についてお話ししました。たとえば、身体がだるく感じるときと、軽くストレッチをした後とでは、 声の立ち上がりがまったく違うと感じた経験はありませんか?
これは単なる気分の問題ではなく、身体(フィジカル)の状態が声そのものに影響しているという状態です。発声に関わる筋肉や骨格は、身体全体と連動しており、姿勢や重心、筋肉の緊張具合によって 「声の出やすさ」や「通りやすさ」が変わってきます。
そこで意識すべきなのが、身体の“エネルギーの方向性です。どの方向に意識を向けて身体を使っているかという感覚で、以下の3つを意識することがポイントになります。
 
■意識すべき身体のエネルギーの方向性■恥骨から頭頂部へ:身体の中心軸を立て、重力に対して伸び上がる意識

恥骨から手先・足先へ:四肢へエネルギーを届ける感覚で、動作が広がる

骨盤は前回転、肋骨は後ろ回転:より多くの筋肉が連動し、エネルギーが全身に広がる感覚
 
このような方向性を意識して身体を使うことで、同じ動作でも筋肉の連動が変わり、声の響き方にも明確な違いが生まれます

“エネルギーの方向性”が発声を変える3つのポイント

講義では、椅子に座ったままできる背骨の運動を行いました。 骨盤と肋骨を「歯車のように回転させる」動きで、背骨をゆっくり反らせたり丸めたりします。
ポイントは、ただ動かすのではなく、「骨盤は前に回っているか?」「肋骨は後ろに引かれているか?」「背骨のラインはどう感じるか?」といった意識を持ちながら行うこと。
身体の内側の動きや方向性を意識するだけで、同じ動作でも筋肉の使われ方が変わり、結果として声の響き方にも変化が生まれます。
 

発声を支えるカギは「舌骨」 全身とつながる声の土台

次にお伝えしたのは、「なぜ身体が発声に影響するのか?」というテーマです。フィジカルの視点で発声を考えた時に重要視しているのが、「舌骨(ぜっこつ)」という小さな骨の存在です。

喉頭の上にある舌骨は、他の骨と直接つながっていない状態でありながら、発声・呼吸・姿勢の安定に深く関わる重要な部位です。この舌骨を支えているのは、胸骨・肩甲骨・後頭部・顎といった部位から伸びる複数の筋肉。

中でも「胸骨舌骨筋(きょうこつぜっこつきん)」は、胸と喉をつなぐ役割を担っており、その周囲の筋肉とも連動して動いています。つまり、姿勢や身体の使い方次第で舌骨の位置や安定性が変わり、声の出方にも影響が出るということです。
講義では、こうした身体のつながりを図解を見ながら解説しました。 受講者の方からは「全身がつながっているのは知っていたけれど、具体的に見ることで腑に落ちた」という声もありました。
「発声に関わるのは喉だけではなく、全身の筋肉の連動で成り立っている」という視点を持ってもらえたことが、何よりの成果でした。

声が出やすくなる身体の使い方|現場で活きるフィジカルアプローチ

ここからは、声を出しやすくするためのシンプルな身体アプローチをご紹介しました。 実はこのパートこそ、私が本当に伝えたかったことでもあります。というのも、身体についての知識や感覚は、一度の講義ですべてを伝えきれるものではありません。

それでも、「現場で活かせる」「その場で効果を感じられる」アプローチを持っているだけで、トレーニングの質が大きく変わります。
講義では、一人ひとりに声を出してもらいながら身体を動かし、声の響きや出やすさの変化を体感していただきました。今回お伝えしたのは、私自身も普段の指導で使っているアプローチで、ボイストレーナーをしている生徒さんからも「効果があった」という声をいただいています。
発声のテクニックと並行して、身体の使い方にもアプローチすることが、声のポテンシャルを引き出すきっかけにもなるので、 フィジカルの視点を、ぜひレッスンに取り入れていただけたら嬉しいです。

【声の変化を体感】30分のフィジカルトレーニングで実感する効果

講義の終盤では、全員で約30分間のフィジカルトレーニングを行いました。 運動習慣のある方もそうでない方も、それぞれのペースでしっかり身体を動かしていただきました。
途中、「動きながら声を出してみましょう」と声がけをし、身体を動かすことで声の出方にどんな変化があるかを感じてもらいました。トレーニング後、「声が出やすくなった方?」と聞いてみると、半数以上の方が手を挙げてくださいました。
一方で、「あまり変化を感じなかった」という方もいらっしゃいました。 それは、まだ身体の使い方が習慣になっておらず、脳から筋肉への指令がうまく伝わっていない可能性があります。
ですが、大切なのは“まず動いてみること”。 私はいつも「まずは3週間続けてみてください」とお伝えしています。身体は、続けることで必ず変わります。 そしてその変化は、声の出やすさや呼吸のしやすさにもつながっていくのです。

声と身体のつながりに気づいた受講者たちの声

講義後には、たくさんの嬉しい感想をいただきました。
「さっそく生徒に試したら、声の詰まりが取れました」
「これまで学んできた身体の知識が、腑に落ちました」
といった声に加え、
ピラティスを発声に活かせそう」 「ヨガとボイトレを結びつけてみたい
など、日々のストレッチ法と発声をつなげるヒントを得られたという気づきが多く聞かれました。
思うように声がでない生徒さんの指導の際には、発声のアプローチに加え、「フィジカルアプローチ」というもうひとつの選択肢が増えれば、それが生徒さんの可能性をひらくきっかけになることもあります。
そして何より、身体を動かすこと自体が、健康や美容にもつながる良い習慣です。 今回の講義が、「フィジカルアプローチに興味を持つ」きっかけになっていたら、こんなに嬉しいことはありません。
 

次回はいよいよ特別ワークショップ!グレッグ・エンリケ氏が登場

先日、グレッグ・エンリケ氏による特別ワークショップが開催されました!世界的に活躍する指導者が、実際にどのように発声を見て、どうアプローチしていくのか? 「生で見られる貴重な体験」をしてきました。
このワークショップの様子を次回はレポートします。どうぞお楽しみに~!
 
VT−RVについての詳細はこちら

投稿者プロフィール

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

>>詳しいプロフィールはこちら

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