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音階を有効なツールにするボイストレーニング方法とは?

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です!
前回は、VT初のボイストレーナー育成&認定講座【VT-RV】桜田インストラクターによる講義「ボイストレーニング法〜子音・音階編〜」の子音についてレポートしました。
今回は音階についてです!

ボイストレーニングにおける音階の意味とは?

筋活動のバランスを調整するには、ピッチの高さや上昇・下降どのようなスケールが適切なのかが重要になります。
基本ルールは、、、
・選択するピッチについては、甲状披裂筋の活動が強すぎる場合は高いピッチ。
・甲状披裂筋の活動が弱すぎる場合は低いピッチを選択します。

甲状披裂筋の活動は声帯そのものが縮もうとする力が働きます。
低音では声帯内の縮もうとする力が働きやすく、裏声では声帯はストレッチポジションにいるため縮もうとする力はあまり働きません。
なので、例えば甲状披裂筋の活動が強すぎるPULL CHEST の方にピッチの低いところから発声させてしまうと、甲状披裂筋の活動を手助けしているようなことになり、改善しづらくなってします。

※甲状披裂筋の活動は声帯そのものが縮もうとする力

逆にLIGHT CHESTの方は甲状披裂筋の活動が弱くなる高いピッチからスタートさせてしまうと、活動が弱いままになるので地声は出しづらくなります。
なので、LIGHT CHESTの場合は甲状披裂筋が働きやすい低いピッチを選択する必要があります。

上昇系の音階と下降系の音階にもこのルールは適用できます

筋活動において上昇するスケール、下降スケールでも同じことで、甲状披裂筋の活動が強すぎる方(PULL CHEST)に上昇スケールを選択してしまうと、活動を手助けしているようなことになってしまい叫びやすくなるので、この場合は下降スケールを選択するのが良いです。
例えば、上昇スケールで「ド・ミ・ソ・ド」と発声した時と、下降スケールで「ド・ソ・ミ・ド」と発声した時とでは、「ソ」にあたる部分が同じ音だったとしても「発声の楽さ」が変わってきます。

※上昇系に下降おいての効果の違いの解説

また、音域の狭い音階、広い音階にも特徴があります。
音域が狭いというのは3度音階、2度音階と狭い範囲での移動のことです。
この場合は、「甲状被裂筋、もしくは輪状甲状筋のどちらか一方の筋活動が優勢な状態に固定される」傾向があります。

例えば、LIGHT CHESTの方に地声を開発する時、甲状披裂筋が優勢なところに居座って欲しいわけです。
なので音域の広いスケールをいきなり与えるのではなく、5tone(ドレミファソファミレド)などの音域の狭いスケールを使って地声で発声してもらうと対策ができます。

対して音域の広いスケールは「(うまくいけば)輪状甲状筋と甲状披裂筋の筋活動を調和させる」傾向があります。
広いスケールには1オクターブ、1オクターブ+5度、2オクターブなどがあります。
この時、音階の中を3度、4度幅で埋める必要があります。
1オクターブのジャンプ等の極端に音程の広い場合、音域の狭いスケールと同様に「一方の筋活動が優勢な状態に居座ろうとする傾向」が起こりやすくなるので難易度が上がります。
1オクターブジャンプ等は発声をより発展させるためのチャレンジにはとても良いのでシンガーのレベルに合わせて選択する必要があります。

音階を低い音域から高い音域へと上昇させていくか、高い音域から低い音域へ下降させるかでも効能が変わります。
音階を低い音域から高い音域へと上昇させることにより、甲状披裂筋の活動を活発なまま、音階を移動する傾向があるので、LIGHT CHESTやFLIP型の方には有効だと考えられます。
逆にPULL CHEST型の方には甲状披裂筋の活動が活発すぎるため、上昇型の音階移動は困難な場合があります。
音階を高い音域から低い音域へ下降する場合は、甲状披裂筋の活動が抑制された状態から歌唱を開始する傾向があるため、PULL CHEST型の方には有効だと考えられます。

これらの傾向を踏まえた上で、ここからスケールについて学びました。

それぞれの音階の期待出来る効能

5Tone Scale (ドレミファソファミレド)
初回のアセスメント(評価)で使用するスケールです。
Ah母音を低音から高音に向けてキーチェンジを上昇型で行うと非常に難しいエクササイズとして考えられます。
どの母音・子音を使用するか、スタートするキーはどこから始めるかなどの工夫により難しいエクササイズですが歌いやすさが変わってきます。

An Octave +5th Scale
2つ以上のブリッジ(Problematic Area)でボーカルバランスをクライアントが体験しやすいです。
レンジが広く、低音の歌い方と高音の歌い方を調和させるにはとても良いスケールです。
低い方は甲状披裂筋を優勢させるような出し方をする必要があり、高い方に向かって甲状披裂筋を緩めていくような出し方が必要です。
このスケールは音楽的に歌うのがとても難しい音階なので、8分の6拍子で捉えると歌いやすくなると思います。

※An Octave +5th Scaleの特徴

An Octave Repeat(ドミソ↑ドドドド↓ソミド)
4回の連続した音程が高音にあるため、ボーカルバランスを体感しやすいのと同時に高音域のスタミナを作るのに役立ちます。

An Octave Repeat&Sustain(ドミソ↑ドドドド〜↓ソミド)
3回連続した音と全く同じようにサスティーンの歌唱に入ります。
この時「自然なビブラートを止めないように」するのがポイントです。
音を伸ばしている時に母音を変えたり、大きくしたり、小さくしたりと調整しようとしないこともポイントです。
音を出したところから終わりまで同じイメージを持ち続け、途中で変えようとしないことです。

An Octave Down(ドソミド)
上昇のフレーズにより「声の重さ」を抱え上げやすい場合、下降フレーズで調和性を作りやすくなります。

An Octave Broken(ドソミドソミド)
音程(幅)の大きさが(3度〜6度)の中でボーカルバランスと調和性を作るのに役立ちます。
近年では、桜田インストラクターが個人的に最も使うスケールです。

このようなスケールの特徴を学びました。これらを応用すると、スケールは他にも考えられます。
また、同じ音階でも、テンポやカデンツの弾き方、声の動きや声色の指定によって成果は大きく変わります。

カデンツというのはスケールのキーをチェンジするときに弾くもの指しています。
このカデンツをためる様にゆっくり弾きすぎてしまうと、緊張を招き、PULLさせる可能性があるのでテンポよく弾くことが大切です。

スケールのテンポもゆっくり弾けば弾くほど力むリスクが高まります。
音を正確に捉えてもらうためにゆっくり弾くのはありですが、クライアント側が音を探すためだけにゆっくりになってしまう場合は、基本的にはインストラクターはクライアントに合わせずにテンポをリードする必要があります。

いかがでしたか?

ここで桜田インストラクターの講義は一旦終了。
母音・子音・音階の特性がわかったところで、ここからどのように組み立てていくのか。
これが次回のジョン・へニー氏の講義になります。

今回もとっても内容の濃い講義でした。
復習が必須だとは思いますが、理解が深まれば深まるほど、ボイストレーナーとしての成長が期待できそうです!!

解説しているインストラクター

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

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