加藤真太郎2026年3月27日 9:59 pm
【適当なボリューム感の見つけ方】
レッスンをしていると、生徒さんによっては声のボリュームが大きくなりすぎてしまったり、逆に小さくなりすぎてしまったりと、大小どちらかに偏ってしまうことがあります。
ボリュームが偏ることでどんなことが起きてくるでしょうか?
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【ボリュームが大きすぎる場合】
人間はボリュームを上げようとすると、多くの場合で息の量を増やそうとします。
本来適切な息の量であれば、声帯が持つ閉鎖筋群だけで受け止められるのですが、この場合他の不要な筋肉まで巻き込んでその息の量を何とか受け止めようとします。
これが喉に余計な緊張を生み、
・歌っていると苦しい
・音程が当たらない
・地声→裏声への急激な変化(フリップ)
などのエラーが起きてきます。
またリスナー側にも、自然な音楽的な歌声ではなく叫び声に近いものとして認識されてしまいます。
【ボリュームが小さすぎる場合】
小さすぎると感じられる場合、
・息を吐きすぎてしまっている
・声帯の息を受け止める力が弱い
・そもそも吐く息の量が少ない
このどれかが起きていると考えられます。
いずれにせよ、分厚い声帯振動をもたらす地声の活躍が弱くなることが予測できるので、そうすると本来声が持っている"強さ"や"豊かさ"が失われてしまいます。
リスナー側からすると、例え音程が合っていたとしてもこれらを失った歌声はあまり良い歌声とはいえません。
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自分の出している音量がどれくらいなのか、実は意外と自分では気づきにくいものです。
一生懸命歌うことに集中するあまり、客観的に自分の声を聴く余裕が無くなってしまうんですね。
レッスンの中で先生にフィードバックをもらいながら、
・自分のボリュームの傾向
・どのくらいの力感だと適当なボリュームになるのか
これらを把握し、何回も練習することで頭と身体で覚えていきましょう!
加藤真太郎2026年3月23日 12:55 pm
【適切なビブラートって?】
カラオケに行くことが趣味で、特に採点系のコンテンツが好きな方であれば、
"ビブラート=加点技術"
という認識があると思います。
なのでビブラートに対してそこまで深く考えず、使っている方がほとんどだと思います。
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Beforeのテイクを聴いてみると、フレーズ終わりのビブラートで明らかに違和感を感じると思います。かけている速さが遅すぎるんですね。
"音楽的に自然に聴こえる"ビブラートの振幅数は、1秒間に6回前後と言われています。
あまりにも波が大きいビブラートは不自然に聴こえてしまいますし、テンポの高速化が進む現代のJ-popでは、ある程度の速さを持ったビブラートの方が好まれるといえます。
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また、闇雲にビブラートを使いまくるというのもあまり音楽的とはいえません。
人によってはくどく感じられますし、ビブラートをかけない歌い方や、音の始めは真っ直ぐ伸ばして途中から揺らす、ディレイドビブラートの方が好きという方もいます。
しっかり揺らす音、サラッと揺らす音、真っ直ぐ歌う音など、計算してビブラートを使った方が聞き手に対して思いやりがありますし、それは音楽的だといえるでしょう。
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聴き手に心地良く聴いてもらうというのが音楽にとっては非常に大事です。
そこを考えられるかというところが、カラオケが上手な人と本質的に歌が上手いと言われる人の差なのかもしれません。
またビブラートは発声バランスが重要だと言われています。
上手くビブラートがかけられないという方は、ボイトレが役に立ってくれるかもしれません。
桜田ヒロキ2026年3月22日 12:18 am
ボイストレーナーさん。
生徒の声が緊張で硬いとき、どうしていますか?
「声の緊張が強い」
「コントロールが難しい」
「歌うと苦しそうになる」
こういうケース、現場でよくあります。
そんなときに、僕がよく使う“ほぼ確実に効く魔法の言葉”があります。
それが
「20%だけボリュームを下げてみて」です。
実際に20%でなくても大丈夫です。
ほんの少し、少しだけ下げる。
これだけで多くの場合、声の緊張が一気に抜けて、音色が改善します。
多くの生徒は音量を出すために「呼気を出しすぎている」からです。
無意識に必要以上のボリュームを出していて、その結果、声帯や周辺の緊張が高まりコントロールが難しくなっています。
少しだけボリュームを下げることで過剰な力みが取れて、声が整理されます。
面白いのはここで、実際には音量はあまり下がらず“緊張だけが下がる”ケースが多いことです。
つまり労力だけが20〜30%下がり、声はむしろ効率的になります。
結果として音色・コントロール・歌いやすさが一気に改善します。
そしてリスナーは、この「無理している声」を意外と敏感に感じ取ります。
苦しそうな声は、それだけで音色の評価を下げてしまいます。
だからこそ僕たちが思っている以上に「声の緊張を取ること」は重要です。
まずは一度「20%下げてみてください」
この一言、かなり使えます。
小野貴之2026年3月21日 8:07 pm
- なぜメトロノーム(クリック)を使うのか──「リズムをかっこよく」だけではないもう一つの理由
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レッスンで楽曲を扱うとき、メトロノームだけを鳴らしてそれに合わせて歌ってもらうことがあります。リズムトレーニングの方法は先生によってさまざまですが、僕はメトロノームのみで歌わせることをよく行います。
四分音符だけで鳴らすことはあまりなく、曲によって八分音符や十六分音符で鳴らすことが多いです。
リズムを正確に歌うには技術が必要です。例えるなら、二本の線が一本に重なるところ、つまりメトロノームの音と声が重なるところがオンタイムで、そこを狙います。
もちろんこれはリズムトレーニングですが、その結果として「発声の安定」も得られます。
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「声の立ち上がり=オンセット」には、①声門を先に閉じるGlottal Attack、②息が先に漏れるAspirate Onset、③声門の動きと息の流れが同時に起こるBalanced Onset、の三種類があります。
レッスンでは基本的に③を理想としていますが、そのためには声を発するタイミングをしっかり狙えていることも重要です。野球のスイングでバットがボールを適切なタイミングで捉えるのと同じです。
曲をオンタイムで歌えないと、オンセットのタイミングがランダムになり得ます。
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僕が20代のころに習っていた先生はリズムに厳しく、シンガーのクオリティに直結することを学びました。リフの決まり具合や、あえてタメを作る技術も、正確なリズム感があってこそ成り立ちます。
今ではその重要性が発声の観点からもよく理解できます。
実際にこれは、かなり効果を発揮します。
加藤真太郎2026年3月19日 11:42 am
【たくさん練習しても上手くならない!?】
前にレッスンに来られた生徒さんと話していたときに、
「カラオケに行ってたくさん歌っていれば勝手に上手くなると思っていたけど、全然そんなことないですね」と言われたことがあります。
僕自身も過去に同様なことを考えていたのですごく共感できたのですが、ではどうしてたくさん練習しても、歌は上達していかないのでしょうか?
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【歌唱は筋トレではなく、運動学習】
歌唱における上達は、運動学習というプロセスで進んでいくと言われています。
運動学習とは簡単に言うと、繰り返し練習をしていく中で出来なかった動きが出来るようになったり、正しい動きを覚えていく、というものです。
この運動学習では、そのプロセスを3段階のステージに分けることが知られています。
1.認知段階
この段階ではまず、正しい動きを「頭で理解すること」が求められます。
ボイトレで考えるのであれば、自分のボイスタイプやどこでエラーが起きているかを知り、正しい声の出し方や練習のやり方を覚えていく段階です。
つまり"カラオケで闇雲に歌う"という行為は、この認知段階をそもそもすっ飛ばしているということになります。
何よりまず頭で理解することが求められるのに何も考えずに歌っていては、それは練習というより、"ただの趣味の時間"ということになってしまいます。
2.連合段階
この段階に来ると、頭で正しい動きがある程度理解できているので、その正確性や安定性を高める時期といえます。
もしかするとこの段階では、練習量も大事になってくるかもしれません。
大袈裟な失敗から小さな失敗へと失敗の質が変化していき、それと成功を繰り返すこと、つまりトライ&エラーを繰り返すことで、発声の安定性が高まっていくと言えます。同時に声の発達も進んでいくでしょう。
3.自動化段階
この段階に来れば、ほとんど何も考えなくても自然に歌えるようになります。
他のことにも意識が向けられるようになるので、この段階に来て初めて自分の行いたい表現が出来るようになるといえるかもしれません。
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この自動化段階に到達するまでに、数年の持続が必要と考えられています。
こうやって考えると、歌の上達は人によっては物凄く難しく感じてしまうかもしれません。
しかしだからこそ歌は一生楽しめる趣味になり得るといえますし、試行錯誤しながら上達したという経験が、人生の自信にも繋がってくれると思います!
金子 恭平2026年3月17日 7:13 am
【変声期中はなぜ裏声が出ない?】
男子の声が大きく変わっている真っ最中、あるいは直後は、とにかく歌いづらいものです。
とりわけファルセットは全く出ないという子が多いですが、これは単に技術不足の問題でしょうか?
もちろんそんなことはありません。
理由をひとつひとつ見ていきましょう。
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▼声帯サイズの急激な変化
変声期に声帯は小児時の1.6倍もの長さになり、それに伴って厚みも増します。
声帯自体の約80%は「甲状披裂筋」という筋肉ですが、これは地声を作るためのもの。
声帯を外側から傾け、引き伸ばして薄くしなければ裏声は出せません。
しかし、その働きをする「輪状甲状筋」がアンバランスに未発達なため、充分な伸展が得られないのです。
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▼脳が失う「運動地図」
脳は、喉頭の各筋肉へ送るべき電気信号の強さとタイミングを「モーター・マップ(運動地図)」として保持しています。
しかし先述した声帯サイズの激変により、脳からの命令がほとんど通用しなくなってしまうのです。
運動地図を気長に再構築しなければなりません。
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▼硬さの足りない声帯靭帯
成人の声帯の粘膜層は、三層構造になっているといわれています。
変声期前後はこの細胞の密度が低く、あらゆる高音発声に必要な張力に耐えられません。
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▼では一体いつから裏声が出るようになるの?
一般的には、喉頭の成長が落ち着く15~18歳のあいだにファルセット発声が可能になるといわれています。
ミックスボイスにはさらに繊細な筋出力バランスと周波数コントロールが求められますが、これには声帯軟骨の骨化(硬化)がある程度済んでいる必要があります。
この時期は、おおむね18~23歳程度になるようです。
変声期中や直後はフラストレーションが溜まるものですが、思うように歌えないのは当然なのです。
この時期は無理のないボイストレーニングで、各筋肉の操作と協調を身につけていきましょう!
桜田ヒロキ2026年3月16日 5:48 pm
【ボイストレーニングで「体のパーツ」を意識しすぎていませんか?】
ボイストレーニングの現場では、
「軟口蓋を上げて」「舌が奥に入りすぎている」「顎に力が入りすぎている」
あるいは「喉が高すぎる」「喉が低すぎる」といった、発声に関わる各部位のコントロールについて説明する場面が多くあります。
確かに、これらの知識は発声を理解する上では重要です。
しかし近年、桜田の考え方では、こうした「部位ごとのコントロール」を意識するアプローチは、特に難易度の高い楽曲や、ギリギリの音域で歌うような場面では、あまり役に立たないと考えています。
その理由はシンプルです。
歌っている最中に、注意を向けるべきリソースが多すぎるからです。
音程、リズム、歌詞、表現、呼吸、フレーズの流れなど、歌唱には同時に処理しなければならない要素がたくさんあります。
その状態で「舌の位置」「軟口蓋」「喉頭の高さ」などを細かくコントロールしようとすると、かえって歌が崩れてしまうことも少なくありません。
【外側から発声をコントロールする】
そのため桜田のトレーニングでは、体の内部を直接操作するよりも、外側の要素から発声をコントロールする方法を重視しています。
具体的には
・母音の発音の仕方
・子音との組み合わせ
・歌手それぞれの歌い方の癖
・スケールや音階の設定
・歌うピッチのコントロール
といった「外側の条件」を調整することで、結果として発声が整うようにトレーニングを設計します。
【歌手が集中すべきこと】
このアプローチの目的はシンプルです。
歌手が歌うときに集中するポイントを、できるだけ少なくすることです。
桜田のトレーニングでは、最終的に歌手が意識するべきことは
「正しいピッチで、良い声で歌う」
この一点に集約されるようにツールを組み合わせていきます。
【運動学習でも同じことが言われている】
この考え方は、運動学習の研究とも一致しています。
運動学習の分野では、言語化しにくい身体技術を身につける記憶を「手続き的記憶」と呼びます。
そしてこの手続き的記憶を習得する際には、体の内部の動きに意識を向けるよりも、体の外側に意識を向けた方がパフォーマンスが向上することが知られています。
歌の場合で言えば、体のパーツを細かく操作しようとするよりも、
「自分の声そのもの」に集中する方が、結果として発声は整いやすいということです。
【まとめ】
ボイストレーニングでは、体の細かな部位をコントロールする説明が多くなりがちです。
しかし実際の歌唱では、注意を向ける対象をできるだけシンプルにすることが重要です。
正しいピッチで、良い声で歌う。
その一点に集中できる環境を作ることこそが、効果的なトレーニングにつながります。
山下奈央子2026年3月7日 2:06 pm
【実録!リフ(フェイク)攻略のための意識改革】
皆さんは歌に細かい装飾(リフやフェイク)を入れる時、何に一番集中していますか?
「音程を外さないように…」と一生懸命になるあまり、気づかないうちに一番大切なものを置き去りにしているかもしれません・・・
♪ リズムとテクニックの両立
この動画では、かっこいいリフを入れる際、ついつい「音の動き」にばかり意識が向いて、リズムが「もったり」と遅れてしまっています。
私が「リフを考えてリズムを完全に放棄したよね」と伝えている通り、テンポ感を失うとせっかくの歌が台無しになってしまいます。
大切なのは、難しいフレーズほど伴奏のリズムにしっかり乗るという意識を両立させることです。
♪ インプットとアウトプットの精度
動画の中で、生徒さんがアドバイスを受けてすぐに「あ、できてる!」と変化する場面があります。
これは、ただ闇雲に歌うのではなく、「どこが遅れているのか」「伴奏に対してどう音をはめるべきか」という課題を正しくインプットし、その場で修正する集中力の結果です。
「なんとなく歌う」のではなく、一音一音のニュアンスやタイミングを細かく分析して再現する力が、表現力を引き上げる鍵となります。
「歌にキレが出ない」と悩んでいる方は、まずは自分が歌う時に「リズムを置き去りにしていないか」を振り返ってみてください◎
難しいフレーズこそ、伴奏をよく聴いて正確に捉える練習から始めてみましょう!