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解剖学、音声学などから考える「歌声」の評価方法とは?

こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です!
前回は、VT初のボイストレーナー育成&認定講座【VT-RV】は桜田インストラクターによる「歌声における発声の評価法」の前半内容をレポートしました!
今回は後編です!

4 Voice Types(問題のある声)とは?

前編では声種、うたごえの評価方法についてでした。
ここからは4ボイスタイプについて学びました。

・PULL CHEST(=過緊張)
・LIGHT CHEST(≒低緊張)
・FLIP(複合的な問題)
・BALANCED(良い)

と分けていきます。
SLSではBALANCEDではなくMIXといいますが、ここ数年「MIX」というのは色々な意味を持ち出してしまっているので、このように定義しています。
ミックスボイスという意味を、頭声的な出し方と胸声的な出し方の中間の出し方を指している先生や、チェストボイスとヘッドボイスを行ったり来たりできる行為そのものを指してる先生もいらっしゃいます。
SLSでは後者の動作そのものをMIXと指しているようです。
ですので、講義の外でもミックスと言う言葉を聞いた時に、その人がどちらの意味のミックスを指しているのかを理解する必要があります。

解剖学的に声を理解

このボイスタイプの問題を理解するために喉頭の筋肉、声帯の仕組みについて学びました。
まずは舌骨がどこにあるのか自分の喉を触って確認しました。
人によっては甲状軟骨と舌骨が密接している場合があるそうですが、私は以前、桜田インストラクターのボーカルマッサージを受けた時に「結構近い」と言われました。

舌骨常勤群の図

余談にはなりますが、桜田インストラクターのボーカルマッサージを受けている時に、喉頭のサイズ感と声道の長さの話になり、そこから予想できることを教えていただきました。
元々ハイラリである私は、どうして過緊張になりやすいのかをその時に紐解いていただき、気をつける視点を変えたところ一気に発声しやすくなりました!
紐解いていただいたことを基に、生徒さんへのアプローチも変えたところ発声しやすくなった方もいるので、特にVT-RVの方はボーカルマッサージ受けるのオススメです!
もちろんVT-RVを受けられていない方も「声」に興味がある方はぜひ一度受けてみてくださいね!

話が脱線してしまいましたが、舌骨上筋群・舌骨下筋群・内喉頭筋群を確認した後、声帯についても解説していただきました。
声帯は5層構造になっています。


【粘膜層】
・上皮
・浅層
【靭帯層】
・中間層
・深層
【筋肉層】
・筋肉層

ファルセットでは主に粘膜層・靱帯層が使われ、地声では筋肉層、靭帯層、粘膜層の三層全てが使われます。
地声よりファルセットの方が声帯の振動数が多いのは声帯の合わさり方が違うからです。
ここでも音響学の時に学んだことが繋がりました。音響学を先に学んでおく必要性にだんだんと気付かされた受講生もいらっしゃるのではないでしょうか!

ストロボビデオやエレクトロ・グロトグラフィからも発声を解説

声帯がどんな動きをしているのかストロボのモデルをみながら確認し、その後ハイスピードカメラで撮られている声帯のモデルもみました。
ストロボでも声帯の動きを確認することができましたが、ハイスピードカメラの方が立体的な動きがよくわかりました。
低音から高音に変わっていく時に、声帯が下から合わさっているのがだんだんと上っ面だけが合わさっていく変化もみることができました。
これは受講生の方も「すごい!」「このURLほしい!」など反応がたくさんありました!

次にEGG(エレクトロ・グロトグラフィ)というものでどれくらい声帯が合わさっているのかというのを実験しているモデルをみながら解説していただきました。
EGGは喉頭の左右両方に電極パッドを装着し、5mVという微弱電流を片方からもう一方に電気を流します。例えば右から左に電気を流した時、声帯が合わさっていない場合は電気は流れません。声門が閉じた際に電気が流れます。
声帯の振動1サイクルの中で何パーセント程度、声帯が合わさっているのかを計測する機材になります。
桜田先生が事前に録音およびEEGで測定したデータをみながら、どれくらい声帯が閉鎖しているのかを確認しました。

話し声の声門の閉鎖率→44%
メゾフォルテ(中くらいの声)ぐらいの歌声→50%
フォルテ(大きめの声)ぐらいの歌声→56%
プルチェスト→65〜75%
ライトチェスト→35%


プルチェストのEGGの図。
右下のEGGのグラフの変化を観て考察しました。

これを基に喉頭原音の出力についてもモデルをみながら確認しました。
声門の閉鎖が強すぎると高周波までパワーが出ているが過緊張であることが予測できました。
逆に声門の閉鎖が弱すぎると急速にパワーが落ちてしまい高周波までパワーを持たせることができないことがわかりました。
昨今「声門閉鎖」というワードが流行っていたりしますが、これをみると声門閉鎖をすることが必ずしも良いことではないということが読み取れました。
このデータをみている時に受講生から「EGGの観察会をやりたい!」などという声も上がりました。いろんな声を試してみると面白そうですね!

「叫び声」を客観的に考察する方法

最後にPULL CHEST(Hyper Tension)で起きていることについて学びました。
分析の方法としては、まず大枠から考えていきます。
PULL CHESTの場合だと、例えば「叫んでいる」という情報から細分化していくことが重要です。

細分化していく時のポイントは、緊張状態、喉頭の位置、声量、母音などがどのようになっているかというところをチェックすることです。
「叫んでいる」ということは緊張状態は強い傾向にあり、それにより喉頭の位置が高くなっているなどと、このようにどんどんと分析していきます。
PULL CHESTで起きそうなことを解説いていただいた後、モデルを聴いて実際に起こっていることを確認しました。

問題点がわかったところでどのように解決していけば良いのか?

基本的には逆説的に考えていきます。
例えば、
声量が大きい→声量を抑制させる
緊張状態が強い→緊張を弛緩させる

そこで声量を抑制させるエクササイズは何か、緊張状態を弛緩させるエクササイズは何かというように選んでいきます。
まずはざっくりと声を聴いてからアセスメントツールを考えていく方法を学びました。
他のボイスタイプについてや具体的なアセスメントツールは次回以降の講義へと続いていきます。

いかがでしたか?

予定ではもう少し内容が残っていたようですが、合間、合間に雑学を入れていただいたので時間がきてしまいました。
ですが、桜田インストラクターの「雑学」というのが実はものすごく学びの多い情報なのです!!
なので充実した時間だったのではないでしょうか!
そしてこの日の講義終了後、アンケートを取りました。

「音響学・音声学で学んだことが実践へと繋がっているような感じがしました!」
「今回の講義で学んだことを踏まえてもう一度音声学の講義を見返すとより理解が深まりそうです!」などお声をいただきました。

VT-RVの0期からの受講生は「着実に理解が深まっている」と多数の方がおっしゃっていました!
理解が深まってきた方は、ぜひ過去のブログもチェックしてみてください!
マニアックな内容がたくさんあるのでより面白いと思います!!

解説しているインストラクター

三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

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