歌声フォルマントと別のボリュームの出し方!?”フォルマント同調”
2017.07.25
みなさんこんにちは、VT Artist Developmentボイストレーナー小久保よしあきです!
引き続き歌声&科学のご紹介です。
今回は歌声フォルマントとは別の、ボリュームを出す方法をご紹介したいと思います。
ソプラノ歌手が主に使う手法です。
まずは僕のデモをお聴きください(ソプラノではないですが笑)
どうでしょうか、クラシックな音で
むっちゃボリューム出てるの分かりますでしょうか?
一体何が起きているの?
周波数的にやっていることを説明すると、基音の周波数(実際に聴こえる音程)と、
フォルマントの1番目の周波数を、揃えるように発声しています。
基音とF1のピークが合致することで、
声帯振動周期と共鳴腔の持つ共振周波数が揃い、凄いボリュームになります。
この現象を
フォルマント同調
といいます。クラシックのソプラノ歌手が当たり前のようにやっている手法です。
この手法は、基音とF1のピークの合致がどう頑張っても難しい音程だと、
使うことができません。従って、そのような音程でフォルマント同調を起こそうとしても、
同調せず音が貧弱になってしまいます。
動画ではフォルマント同調に頼って発声しようと頑張っているんですが、
音程が下降するにつれ音が小さくなるのがわかると思います。
なぜ、ソプラノ歌手なのか?
クラシックの歌唱をする場合、
ソプラノはフォルマント同調に頼ることがほとんどです。
一方アルト、男性歌手の場合は、歌声フォルマントに頼るようです。
一体なぜか?
それは、オーケストラの周波数特性と、
ソプラノ歌手の音域に理由があるようです。
フォルマント同調を使った歌唱は500Hzより上であるケースが多いのですが、
面白いことに、オーケストラのもつ
周波数特性が弱くなっていく帯域なんだそうです。
つまり、オーケストラにとって弱い周波数帯域をフォルマント同調で歌えば、
生声でもオーケストラに掻き消されず発声ができるわけです。
声帯や声道のサイズが小さいソプラノ歌手にとっては
基本周波数が500Hz以上でもお手のものですので、
フォルマント同調に注力して楽に歌い上げます。
一方アルトや男性歌手は音域が低いため、
フォルマント同調よりも
歌声フォルマントの方が効率的且つソプラノと差別化が図れるのです。
ちなみに男性はフォルマント同調を
全くメインで使わないかというとそんなことはありません。
男性でソプラノのような高さを歌うカウンターテナーは、フォルマント同調です。
次回はフォルマント同調についてより詳しく説明してみようと思います。
お楽しみに^_^
参照: Johan Sundberg(原著), 榊原 健一(監訳), 歌声の科学
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