子音をボイストレーニングツールとして考察する
こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です!
VT初のボイストレーナー育成&認定講座【VT-RV】は桜田インストラクターによる講義も今回で一旦終了です!
そんな今回は「ボイストレーニング法〜子音・音階編〜」です!
さっそく子音の役割から学びました!
子音は息の流れをコントロールする助けになる
子音の役割の1つ目は息の流れのコントロールをサポートすることです。
息の流れを一時的に止め、制限をするHard Consonant(B・Gなど)と、息の流れを一時的に増幅するAspirate Consonant(F・Hなど)の2つに分けられます。
声門閉鎖が強くキツい声色になりがちな場合はAspirate Consonantを使い、声門閉鎖が弱い場合にはHard Consonantを使いアプローチしていきます。
2つ目は母音の発音癖を矯正します。
舌の奥が上方に巻き上がったり、咽頭方向に巻いたり、音色の濁りなどを子音によって改善させることができます。
3つ目は鼻声子音などを使って母音部の緊張発声の緩和します。
舌顎を上げたり、唇を一時的に閉じたり、軟口蓋を下げる等をして音の出力を抑制することができます。
呼吸のプロセス〜コントロール方法
子音を詳しく解説していただく前に、発声時の筋運動について確認しました。
呼吸は、息を吐く時、息を吸う時とで、それぞれ働く筋肉があります。
吸い終わってから呼吸が始まる(声を出す)瞬間から考えていくと
Phase1:肺の周辺の弾性と横隔膜の弛緩
→受動的動力
(外肋間筋による「Checking Action)
Phase 2:肺の周辺の弾性と横隔膜の弛緩
内肋間筋が活動を開始
→能動的動力
Phase3:内肋間筋の活動、腹筋の活動
→能動的動力
Phase4:(息を吸い始める)吸息筋のリリース
横隔膜の収縮外肋間筋等の活動により吸う
このようになります。
横隔膜は力が入った時に下がり、横隔膜が緩むと下がったものが戻ってきます。
なので歌い始める瞬間(Phase1)に腹筋に力を入れる必要はありません。
Phase3が大きく進むと力んだ音が聞こえてきてしまうと予想されます。
腹筋はガチガチに固める必要はなく、最後の押し出しの助けとして使いたいので、基本的にはPhase1からPhase2のところで処理をして、Phase3はサポートとして使うイメージがよさそうです。
また肺の容量についても解説していただきました。
肺の容量は男性は6.5リットル程度、女性は5.5リットル程度になるので平均で6リットルと考えてみます。
人間はリラックスしている時や寝ている時は一回の換気量が500ml程と言われています。
この時の呼吸から、限界まで思いっきり息を吸い込んだ時の換気量は最大で3100mlぐらいです。
そこから次に思いっきり息を吐いた時の換気量は最大でだいたい1200mlぐらいになります。
これらを合わせた4800mlが一般的に肺活量と言われる値です。
肺の容量6000mlから肺活量4800mlを引くと1200mlにまだ残っていますが、これは肺がぐちゃっと潰れてしまうのを防ぐために残されている容量のため呼吸で使うことはできません。
そして年齢と共に柔軟性が失われていくので、この残容量は上がっていき、肺活量は下がってしまいます。
肺活量を若い状態に保つためにはフィットネスなどの運動が大切になります。
呼吸プロセスの解説
子音を使った声門閉鎖のコントロール
続いては子音を使った声門閉鎖のコントロール技術について表を見ながら確認しました。
SLS内の定義では
Hard Consonant:息の流れを止める子音(よく使われる子音P・B・K・G等)
Aspirate Consonant:息を増加させてくれる摩擦子音(よく使われる子音F・S・SH等)
Soft Consonant:柔らかい子音(よく使われる子音M・N・W等)
このように分けられています。
それぞれの子音がどのような働きをしているのか特徴を学びました。
Hard Consonant(破裂音)
Hard Consonantの無声子音であるP・T・Kは子音の瞬間は声帯は振動していません。
声帯は半開きの状態で息を流しています。
破裂音+母音となるので、破裂した後、母音が始まった時に声帯の振動が始まります。
声帯の振動を伴わないため、歌のフレーズは途切れ途切れになりやすいです。
なのでこれらの子音を立てて歌うと、声帯の動きを止めているところから一気に声帯を振動させなければならないので、高音域では子音を発音しすぎないというのもポイントになります。
Hard Consonantの有声子音であるB・D・G・ʒは、声帯は「母音→子音→母音」と継続的に振動し続けます。
声帯の下や上の気圧の変化が激しいためピッチの乱れが生じやすくなります。
技術習得がまだ未熟な方はこのピッチの乱れが大きいかもしれません。逆にピッチの乱れをコンパクトに収められている方は技術の習得ができていると考えてもいいかもしれません。
これらの子音は声門閉鎖が弱すぎるクライアントに対して有効な場合が多いです。
またB・D・Gは空気力学の働きにより喉頭が下がるので、喉頭を下げたい時にも有効です。
Soft Consonant(鼻声子音など)
Soft Consonantは全て有声子音で、M・V・L・Z・N・R・Wです。
子音を発音している時も声帯は振動し続けています。Hard Consonantほど調音による気流の乱れは大きくなく、コントロールは比較的簡単だと思われます。
声のコントロールが上手くなり始めるとこれらの子音を使ったり、または子音を使わない(母音のみ)トレーニングが多くなります。
Aspirate Consonant(帯気音)
Aspirate Consonantは全て無声子音でF・S・SH・Hです。
声帯の振動は停止してから声門から息が流れます。
声帯の振動を伴わないため、歌のフレーズでこの子音を強く発音すると途切れ途切れになりやすくなります。
これらの子音は声門の閉鎖が強すぎるクライアントに対して有効な場合が多いです。
このように子音にはそれぞれ特徴があり、子音の特性に頼った発声をしたいのであればレガートのような歌い方ではなく、母音を短くする必要があります。
ですが、最終的にはレガートで歌えるようにしないといけないので、徐々に母音を短くすることをやめたり、子音の種類を変えるなど段階をつけていく必要があります。
また、同じ子音でもその後に来る母音によって調音点が変わるものがあります。
例えば「Kでは、あ母音よりも、い母音の方が舌が前に来るので、舌が奥まる方には同じ子音でも、い母音を使った方が対策ができる」と言ったように臨機応変にボイストレーニングツールを構成出来るような知識も学びました。
いかがでしたか?
いよいよここからスケールの話になります。
どのボイスタイプにはどんなスケールがいいのかなどを学びましたが、詳しくは後編でお届けします!
これまでに学んだ母音の特性、子音の特性を活かし、どんなスケールを使うのか。
今すぐ活用できる実践で役立つ内容が盛りだくさんなので次回もお楽しみに〜!
解説しているインストラクター
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大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。
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