【ミュージカル】プロが歌う前にする準備と時間、練習回数は?
「ミュージカルのステージに立つプロは、歌う準備にどれくらい時間をかけるの?」
こんな疑問を持ったことはありませんか?
プロだから準備なんてしない?ちょっとの練習で歌えるのがプロ?
いいえ、プロだからこそ、おそるべき量の練習をしています!
今回は、劇団四季「マンマ・ミーア!」初演メンバーであり、ボイストレーナーとしても活躍する平岡由香がプロの裏側をご紹介。
・ミュージカルのプロが歌の準備にかける時間
・歌う準備をするために必要なこと
・プロの練習時間はどれくらいなのか
についてお話しします。
ミュージカルオーディションの日は3〜5時間前から声の準備を
ミュージカルのオーディションなど自分にとっての「本番」がある日には、声を出す3〜5時間前には起きて声の調子を整えるようにしましょう。
起きてからすぐは体がなかなか起きて来ないので、ウォーミングアップをしてもベストな状態の声が出ません。
私の場合、ミュージカルなら大体サウンドチェックの1時間前に現場に入り、待ち時間に声の準備をします。
寝起きに声が出にくいのは、生活の中でみなさんなんとなく実感しているのではないでしょうか。
声帯は筋肉を含む組織ですので、起きてすぐ激しく動かすことはできませんし、無理に動かそうとすれば傷めてしまう原因になり
ます。
また声帯のコントロールという意味では神経の伝達を繊細に行う必要があるので、ある程度ウォームアップが必要になります。
寝起きにいきなり激しい筋トレをするのが危険なのと一緒ですね。
本番・歌う時間に合わせて、ゆっくり体を目覚めさせていく必要があるのです。
身支度をして駅まで歩く、人と会話をするなど体を動かし、徐々に体を「歌うモード」にしていきます。そしてウォーミングアップ(発声練習)をして、ミュージカルやオーディションで歌う時間に合わせて「いざ本番!」モードを作っていきましょう。
そうした時間を考えると、起床から最低でも3時間、人によっては5時間程度をとって歌うようにしたいですね。
前日に遅くなってしまって睡眠時間を確保したいこともあるかもしれませんが、本番に合わせて声の調子を整えるのもプロにとっては仕事のうちです。
歌う経験を通して声の調子を把握できるように
歌うための準備にどれくらいの時間がかかるのか。
それを把握するために大切なのは、経験を通して自分の声・体を知ることです。
喉の使い方や歌い方のタイプによってもベストな状態が整うまでの時間も違うため、「自分を知っておく」に勝る対策はありません。
オーディションや歌う機会をたくさん経験して、声の調子や体の状態を把握できるようになりましょう。
大切な機会にうまく準備できなかったせいで「全然調子が出なかった」「いつもの感じで歌えなかった」と後悔するのは避けたいですよね。
ミュージカルのオーディションでは、緊張や普段と知らない環境など、さまざまな影響を受けます。
人によっては、周囲の声出し・練習が耳に入ってしまって自分の声出しに集中できない方もいるでしょう。そうした場合には「会場入りする前にカラオケを1時間予約しておき声出しする」といった対策をとっておくのもいいですね。
自分を把握し、できる準備はしっかりして、オーディションにポジティブな気持ちで挑めるようにしましょう。
ミュージカルの舞台に立つプロの練習量は「想像を遥かに超えている」
歌うための準備と同様に「ミュージカルのプロは1曲をどれくらい歌い込んでいるの?」という質問を多く受けます。
一言で答えれば、プロは数え切れないほど歌い込んでいます。
ミュージカルの舞台で歌うプロを見れば、数時間の練習でできるワザではないのがわかりますよね。
また、稽古では同じシーンを何十回もやりますし、その稽古に出る際には完璧に歌える状態を作っていかなければなりません。
1曲、1フレーズを何百回も歌い込むのは自然なことです。
劇団四季の稽古でもみなさんちょっと隙間時間があればそこらじゅうで歌っています。
プロの練習量は、一般的に見れば尋常ではないかもしれません(笑)
とはいえ、やみくもに練習しているわけではありません!
「このフレーズのこの音を、もっとこう出すには?」と発声や音程に注目して練習するのはもちろん「芝居をつけて動きながら歌ったときに完璧な状態を作るためにどうしたらよいのか」など、必要なことに有効な練習を考えながら行っています。
ただ、喉を傷めたりポリープができてしまったりすると、練習を控えて本番に向けて温存するしかなくなってしまいます。それをできるだけ避けるために、正しい発声を身につけることが大切になってくるんですね。
練習に時間を費やしても壊れない喉と、本番でも同じクオリティを出せる技術を習得しましょう。
今回のポイント
・本番の日は3〜5時間前には起きて、声の調子を整えよう
・経験をたくさん積んで、声の調子を把握できるようになろう
・プロの練習量は尋常じゃない!本気を超えた先がプロの領域
です。
ミュージカルで活躍するプロも、裏側ではすごい量の練習をしています。
プロとして活躍するために多くの練習が必要なのは間違いありません。
しかし自分なりの練習や努力が間違っていれば、喉を傷めたり必要なことに対して有効でないこともあります。
自分だけで頑張りすぎず、知識と経験を持ったトレーナーを頼って経験を積んでいきましょう。
解説しているインストラクター
このインストラクターの動画
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