新型コロナウィルス自粛からライブハウス営業再開に向けて考える
2020.05.25
こんにちは!VT Artist Developmentの桜田ヒロキです!
先日、東京都の小池都知事より「新型コロナウィルス感染症を乗り越えるためのロードマップ」の発表がありました。
これにより、飲食店などは徐々に営業再開の目処が立ってきました。
しかし、ロードマップのステップを観ると、ステップ3までライブハウスは営業自粛の対象となり、
完全自粛解除までライブハウスの営業は出来ないと言う相当厳しい状況になっています。
そこで今回は、
・一口にライブハウスと言っても似て非る業態の物があると言う事
・その業態から考えられる、自粛解除に向けての解決策
を考えてみました。
なぜここまでライブハウスへの自粛圧力が強いのか?
2020年2月15日と新型コロナウィルスの感染に日本が最も怯えていた頃、
大阪市都島区のライブハウスで2晩のイベントで感染者15名の感染者が出ると言う強烈な印象を与えてしまいました。
のちに「感染者クラスター」と言う言葉もでき、ライブハウスと言う物に社会(?)行政(?)からの視線が厳しくなってしまいました。
このライブハウスのHPを確認したところ、最大動員人数は書いていませんでした。
しかし設備を確認したところ、恐らく100名前後のライブハウスだと思われます。
100名前後のライブハウスで2晩で15名の感染者となると、危険な場所と言う印象を与えてしまうのは仕方ありません。
ライブハウスって一言に言うけど、どんな所?どんな危険があるの?
僕の周りのミュージシャン達が出演しているライブハウスは2パターンありますので、ご紹介します。
パターン1 ロック箱
いわゆるポップス、ロック、バンド系、ソロ、ユニット系、なんでもありのライブハウスです。
小型ライブハウスであれば、20〜30名くらいの箱から、
大型であればZepp系列や、O-WEST等500〜1000人規模のライブハウスもあります。
アーティストの人気があればある程、大きな箱になりますし、人口密度も高くなります。
ロック箱で考えられる感染リスクは何か?
■アーティスト/シンガーからの飛沫感染
ライブハウスの魅力は大好きなアーティストのパフォーマンスを近い距離で観られる事です。
歌唱時の飛沫は会話時よりも大量で、感染リスクを高める事になります。
またパフォーマンスの一部として口を付けたボトルを客席に投げる、
口に水を含んで噴霧する事もごく稀にあり(今、あんまりないかな?)
これも感染リスクはかなり高いと考えます。
■観客同士の距離、歓声による飛沫感染
先に述べたとおり、人気アーティストの公演になると観客も多くなり、寿司詰め状態になる事もあります。
さらに盛り上がれば観客の歓声も大きくなるので、飛沫感染による感染リスクは高まります。
■ドリンク、喫煙による接触感染
大きなライブハウスになると、喫煙は禁じられていますが、小さな箱では喫煙を認めている場所も少なくありません。
唾液の付いた吸い殻が放置される事になります。
そしてライブハウスではかならず「1ドリンク制」であり、観客は飲み終えたプラスチックコップを適当なテーブルに放置する事が多い訳です。
唾液のついたコップ、唾液のついた吸い殻が至るところにあるため、感染リスクで言うと非常に危険。。。と考えられます。
■ライブハウスの1ドリンク制って?
ライブハウスに行くと、公演チケットとは別にほぼ100%「ドリンクチケット500円になります!」と言われます。
この謎のドリンクチケットについて調べました。
「ライブハウスは飲食店経営のためドリンクを必ずお買い求めいただきます」と言うのが理由だそうですが、
この1ドリンク制について、弁護士さんに聞いてみました!
ヒロキ 「ライブハウス側に言わせると「飲食店として営業しているから」が理由だそうですが、
これはドリンク代を取らないとライブハウス側にとっての不利益は売り上げ以外に法的にまずい事になる、、、
等あるのでしょうか??」
弁護士さん「別段、法律でチャージ料をとることが義務付けられていることはありませんので、
チャージ料をとらなくても、法的に問題が生じることはありません。」
・・・だそうです。。。
パターン2 ジャズ箱
いわゆるジャズ、ブルース、ソウル系のアコースティック編成を中心とした音楽を提供する場所。
ハイレベルな食事、ワインやシャンパーニュ等、高級なお酒を取り扱う箱もあれば、
焼酎、ウィスキーをボトルキープ出来るお店もあります。(所謂スナックのようなお店もあります。はい。)
高級店で言えば、BLUE NOTE系列店、Billboard Live, COTTON CLUB等、
外国人ミュージシャンを中心としたラインナップで最高のプレイを聴きながら飲食を楽しむのがウリのお店です。
(デートには最高です、マジで。)
ジャズ箱で考えられる感染リスクは何か?
■向かい合ったテーブルでの食事での飛沫感染
通常の飲食店でも考えられる事ですが、「対面した状態で会話をする。」
場合によってはミュージシャンに歓声を上げる事もあるので、
飛沫感染が起こりえます。
■食事やボトルのシェアによる接触感染
これも飲食店で考えられる事ですが、大皿の食事を取り分ける。
ワインボトル、ウィスキーボトルを2名以上が触る状態ですと接触感染のリスクが考えられます。
■出演者による接客による接触・飛沫感染
出演者がお客様のテーブルに出向いてお酒をいただく。お客様にお酒を注ぐ。と言った接客をする事もあります。
実際、お客様は出演者との会話を楽しみにしている事もありますので、
近距離で会話を行う事により飛沫感染、接触感染のリスクが考えられます。
それぞれの業態で考えられる自粛解除に向けての感染対策は?
こまで読んでみると、ライブハウスと一言で言っても大分、中身が違う事が分かったかと思います。
そうするとそれぞれ、考えられる感染対策は変わってきそうですよね。
考えてみようと思います!
ロック箱で考えられる感染対策は?
■アーティスト/シンガーからの飛沫感染
→ステージと客席とのソーシャルディスタンスにより解決
実際、「歌唱時の飛沫を観客が浴びない距離」が何メートル程度になるのかわかりませんが、
一定の距離をガイドラインで定める必要はありそうですね。
また、パフォーマンス中に観客との接触はNGとする必要はありそうです。
■観客同士の距離、歓声による飛沫感染
→動員の制限・観客同士が一定の距離を保てる工夫を
通常、最大動員100人と謳っているライブハウスに100人入れると寿司詰め状態になります。
対策として、椅子を入れると半分以下の動員となってしまいますが、揉みくちゃ状態は避けられます。
もしくは、動員が多くなる見込みのある公演の場合は、観客を整理券等で公演を観るエリアを分ける事なども考えられそうです。
観客にはマスクの着用や、手の消毒を義務づける事。検温を行う事でリスクを抑えられそうです。
■ドリンク、喫煙による接触感染
→飲食、喫煙の禁止
ドリンクの提供、コップやボトルの回収などお店側の責任で行えれば良いのですが、非常に難しいように感じます。
ライブハウス側には売り上げ面で痛手にはなりますが、ここは今の時点では我慢しなくてはいけないかもしれないですね。。
ジャズ箱で考えられる感染対策は?
■向かい合ったテーブルでの食事による飛沫感染
→向かい合ったテーブルの排除
動員は大幅に減ってしまいますが、1つの作戦として考える必要がありそうです。
■食事やボトルのシェアによる接触感染
→食事は取り分けた状態で提供を。
ボトル販売を避ける、もしくは提供はお店の責任下で行う。
通常の飲食店では取り分けた状態での食事の提供を積極敵に行っているので、参考になりそうです。
また、ワインやウィスキー等のボトル提供の場合は客席でお客さまが注ぐのではなく、お店のスタッフがグラスに注ぐ。
水割りなどを作る場合もお店側が対応する検討も必要です。
■出演者による接客による飛沫・接触感染
→お客さまとのソーシャルディスタンスを保つ事。
対面に座る事を避ける事。
お酒を注ぐ、お酒を頂く際には、お店のスタッフを介するようにする。
それぞれの業態で徹底的に感染対策を検討する事が大切
この様にロック箱の場合は、今まで充分とは言えなかった衛生面の改善を行う事。
ジャズ箱の場合は飲食店の対策に見習う事で公演を行う事は可能かもしれません。
実際に出来るかどうかは置いておいて、、、
考えられそうな事をブレイン・ストーミングの様に書いてみました。
僕はライブハウスを経営する身ではありませんが、一口にライブハウスと言っても業態の中身は異なる物が存在すること。
それを踏まえてそれぞれの対策を考え、行政やお客様から理解を頂ければ今後の公演も可能になってくるかもしません。
素晴らしい音楽文化が絶える事ないように、この対策が少しでもお役に立てばと願っています。。。
投稿者プロフィール
-
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
VocalizeU認定インストラクター
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中のボイストレーナー。
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。
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セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
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アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。
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