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グレッグ・エンリケ氏来日!世界的トップシンガーが信頼する発声メソッドで“声が変わる”瞬間を体感

VTインストラクターの三浦優子です。10月末、東京で開催された、世界的ボイストレーナー、グレッグ・エンリケ氏の来日ワークショップに参加しました。セリーヌ・ディオンをはじめ、シルク・ドゥ・ソレイユやブロードウェイで活躍するシンガーも指導した「SLSメソッド」の第一人者によるライブレッスン形式。今回は、即日完売したシンガー向けのワークショップで、受講者の声が変わる瞬間とその理論を体感した濃密な時間をレポートします。

その場で“声”が変わる!世界的トレーナー直伝の4つの発声エクササイズ

ワークショップ1日目は、シンガー向けの公開ライブレッスン形式。事前に募った生徒役の方が実際に歌い、グレッグ先生がその場で発声の課題を見極め、エクササイズを通じて“声の変化”を引き出していきます。
最初の生徒役は、「声門閉鎖が強くなりすぎてしまう」と悩む男性。まずは「5-tone Ah」で声の状態をチェックすると、ご本人が気にしていた症状は見られず、スムーズに歌えていました。

ここからがグレッグ先生の真骨頂。より軽やかに音を出すことを次の課題にして、声の状態に応じて、3つのエクササイズを選び、「このエクササイズはこういう効果がある」と専門的に解説しながら、的確な指導を展開していきます。
印象的だったのは、グレッグ先生の「こうして欲しい」というデモンストレーションがとてもわかりやすく、明確だったこと。生徒役の方も真似をすることで、すぐに良い声に変化していました。
再び「5-tone Ah」を歌うと、たった3つのエクササイズで声の出方が明らかに変わっており、会場からも驚きの声が上がりました。
このタイミングでグレッグ先生が語ったのが、「発声エクササイズには4つのカテゴリーがある」という考え方です。
【発声エクササイズの4つのカテゴリー】1⃣SOVT(ストロー発声やリップトリルなど)
2⃣喉頭が少し上がった状態で行うエクササイズ
3⃣喉頭が少し下がった状態で行うエクササイズ
4⃣普段の話し声をベースにしたアプローチ

目的に応じてこの4つのエクササイズを組み合わせていくと、声のバランスを作ることができるとのことでした。例えば「喉頭が高めだからといって、無理に下げるエクササイズが正解とは限らない」という深い視点に、多くの参加者がうなずいていました。
その後の歌唱指導では、日本語の楽曲を使ったレッスンだったのですが、驚いたのは、英語圏出身のグレッグ先生が、生徒役の日本語の発音を正確に聞き取り、「ここの母音がこうなっている」と的確に指摘し、すぐさま模倣されたこと。
その上で「こうしてほしい」と理想の母音をデモすると、生徒役の方がそれを真似するだけで、声の響きが大きく変化しました。
生徒役の方は「これまで叫ぶように歌っていたので、自分が思っている以上に、もっとコンパクトに歌えるんだと感じました」と語ってくださいました。
 

ベンディングで高音がラクに出る!?世界的トレーナーの実践メソッド

続いて登場したのは、ワークショップ前日にグレッグ先生のプライベートレッスンを受けていた女性。喉頭を下げることに苦戦していたそうですが、この日はその動きが自然にできていて、先生からも「よくなっている」と称賛されていました。
このレッスンでは、“Bending(ベンディング)”という、お辞儀をしながら歌うアプローチが使われました。

高音部で深くお辞儀をすることで、

✅心理的には「低い方へ行く」という錯覚を脳に与え
✅身体的には自然と“呼吸を支える姿勢”になる

という2つの変化が起こります。これにより、高音の響きが一段ときれいに、そして楽に出るようになっていたのが印象的でした。
この手法は、次の3人目の生徒役にも使われました。 3人目の方は、首が前に出た姿勢になっており、グレッグ先生は後頭部に手を添えて、後ろに軽く押し返すように指示。

このシンプルな操作だけで、直後に行ったリップロールの響きや息の流れが変わり、会場内からもどよめきが起きました。
このとき受講者から出た質問が印象的でした。
「これは“押し返す力”が大事なのか?それとも“ポジション(肩と耳の位置)”が大事なのか?」
グレッグ先生はこう答えました。

「すべてがリラックスしていることが理想。ただし、首が前に出すぎている場合は、それを戻すために後ろ側の筋肉を活性化させる必要がある。」

グレッグ先生は、身体的な部分にもきちんと視点を向けていて、限られた時間の中でも、今その人に必要なアプローチを瞬時に見極めて提供していることに、経験の厚みと深い観察眼を感じました。
 

ブリッジングが整うと、声全体に効果あり。世界的ボイストレーナーの実力

4時間に及ぶワークショップの最後に登場した生徒役の方は、受講者の前に出てすぐに歌唱をスタート。 グレッグ先生は「ずっと座っていて、いきなり歌うのはとても難しい。でも、こういう状況はミュージカルのオーディションなどではよくあることなんだ」と話され、現実のシーンを想定した実践的な環境でレッスンが進んでいきました。

歌唱のあと先生は、「どこを改善すればもっと良くなる?」と本人に問いかけました。
「低音が弱いので、もっと入るといいと思う」との答えに対し、グレッグ先生が注目していたのは、中音域から高音にかけての“ブリッジング(つなぎ)”部分。
ブリッジングを重点的にエクササイズを行なったところ、中高音の安定だけでなく、本人が気にしていた低音の響きまで改善されていきました。
「ブリッジングという一番難しいところができてくると、それ以外の箇所も自然と良くなることがあるんだ」
そう語るグレッグ先生の言葉からは、声全体の構造を見ながら計画的に整えていく視点が感じられ、世界的なボイストレーナーの実力に圧倒されました。
 

シンガーにとって大事なのは、“自分との対話”を手放さないこと

こうして、1日目のワークショップ1日目は、あっという間に終了しました。4時間を通して感じたのは、グレッグ先生のレッスンには、シンガーへの深いリスペクトが根付いているということです。

ひとつひとつの言葉が丁寧で、会場全体を包み込むような温かさがあり、その空気感があの学ぶ意欲に満ちた雰囲気を生んでいたのだと思います。
最後に、とても印象的だったグレッグ先生の言葉をご紹介します。
「シンガーは、うまくいく時も、そうでない時も、自分自身と対話しなければならない。たとえ周りにうまく説明できなくても、自分が納得することが大切なんだ。」
その言葉に、会場の多くの受講者が静かに、深く頷いていました。

 

2日目は「ボイストレーナー」へ向けたワークショップ

2日目は、ボイストレーナー養成講座【VT-RV】受講生限定のクローズドワークショップ。
この日はライブレッスンに加え、ボイストレーナーとして、クライアントにどうアプローチし、どのようにレッスンを組み立てていくかといった「教育学的視点」についても、惜しみなくシェアしてくださいました。
“教える”立場にある人にとっては、まさに現場で使えるヒントが詰まった濃密な時間でした。 2日目のレポートも、お楽しみに~!

投稿者プロフィール

三浦優子
三浦優子
大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。

>>詳しいプロフィールはこちら

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