力強い声を出すための3要素って!?
2016.08.03
こんにちは!VT Artist Developmentの桜田ヒロキです!
今日はよくいただく声のパワーってどうやれば作れるの?と言うご質問にただただ理屈だけで答えてみようと思います!(笑)
(やり方はエクササイズ動画とかを見てね。)
声のパワーにはこの3つが不可欠です
声門閉鎖
呼吸
倍音とフォルマントの配列の適正化
NCVS(The National Center for Voice and Speech)、そしてVocalizeUのエグゼクティブ・ディレクター Ingo R Titze氏は
ボイスティーチャーはこのうちの1つに特化しがちだけど、この3つの連係が最重要と提言しています。
声門閉鎖
この場合の声門閉鎖は「ただただ声帯をがんばって閉じましょう」と言う事ではありません。
きちんとLaryngeal Coordination (声帯のコントロールバランス)がしっかり整った状態での声門閉鎖を指します。
つまり声帯をひっぱる筋肉(CT)声帯を縮める筋肉(TA)のバランスがよく常に声帯に適度な張りがある事。
張りのない声帯から出る音はファルセット状態になり、過度にTAが働いている状態だと苦し〜い発声になってしまいます。
そして声門を閉じる筋肉(LCA)も適度に働く必要があります。
最近の研究では(LCA)と(TA)は強い力で連続して働くのは苦手な事がわかっており、特にTA(声帯を縮める筋肉)は強烈に負荷を掛けると20秒ほどで疲労困憊になってしまうそうです。
ちなみにこのベストなバランスを作る方法は僕の知る限りセス・リッグス氏のSpeech Level Singingが最も得意な分野です。
【ミックスボイスって何?1】筋肉の役割を理解しよう
【ミックスボイスって何?その2】筋肉のパワーバランスを見てみよう!
呼吸
よく「呼吸で支える」と言う言葉も使われるくらいで呼吸のコントロールは実に奥深く難しいものです。
ポイントは「バランスよく声門閉鎖をしていられる範囲内でギリギリまで多く呼気を使う」のが重要で、それ以上の息を声帯にぶつけると声帯は離れてしまいファルセット状態になります。
それを大きく下回る声帯は振動する事が難しく、それを補填するために極度の声門閉鎖を行ってしまいます。
※声帯の故障の原因になりやすいです。
ちなみにこの声帯が振動するのに適正な圧力をPTP(Phonation Threshold Pressure)と呼び、「発音が開始出来る声門下圧量」と呼ばれています。
倍音とフォルマントの配列(共鳴の有効活用)
声帯で作られた倍音は共鳴腔で増幅されます。
共鳴腔は舌を境に喉側(F1)、口側(F2)で作られ、それにより音が加工されて音が何十倍にも増幅されます。
共鳴腔は空間ですので、顎の開き方、唇の開き方、舌の位置、喉の位置などでチューニングを行う事が出来ます。
作られた倍音の周波数と共鳴腔の空間を「音程」や「母音」毎に合わせる技術が歌手は問われます。
倍音は高くなればなるほど共鳴空間をそこに合わせるのが難しくなります。
これが「高音域が難しい!」と言われる一つの原因でしょうか。
倍音とフォルマントの配列についてはこの動画で解説しています。
しかも共鳴空間を倍音に合わせる事が上手に出来ない場合、音響エネルギー(Innertive Reactance)が十分に声帯に戻らなくなるため、ひっくり返りやすくなります。
倍音の基礎知識の記事は下記にあります。
共鳴腔の役割 フォルマント編
高音の間違った出し方!叫び上げを科学で考察
余談ですが、人間の体は150Hzから200Hzが最もよく共振するそうです。(音程で言うとD3からA3の間くらいです)
共振によって作られる音響エネルギーがこの帯域を超えると得られなくなるため、より「声門閉鎖・呼吸・共鳴の有効活用」が重要になります。
「高音域が難しい」理由って本当にたくさんあるんですねぇ〜。
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解説しているインストラクター
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セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
VocalizeU認定インストラクター
アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中のボイストレーナー。
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。
このインストラクターの動画
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