発声理論×スケール練習で指導力を高める【VT-RV】ボイストレーナー養成講座プレクラス第3回レポート
こんにちは!VTボイストレーナーの三浦優子です。3週連続で行われたボイストレーナー育成・養成講座「VT-RV」第3期のプレクラス。最終回となる今回は、発声をコントロールするための“仕組み”と“設計”について学びました。
感覚ではなく、理論から組み立てる指導とはどのようなものか。VT代表・桜田ヒロキインストラクターの講義とレッスン見学の様子をレポートします。
【発声理論の基礎】声帯の仕組みとTA・CT筋の働き
今回は、「子音」と「音階(スケール)」がテーマです。本題に入る前に、桜田インストラクターから声帯の仕組みについての解説がありました。
声帯には、縮める働きをする甲状披裂筋(TA)と、引き伸ばす働きをする輪状甲状筋(CT)という筋肉があります。
例えば、CTにより声帯を引き伸ばそうとした時に、TAがうまく緩まないと、裏声へスムーズにシフトできず、叫び声のような発声になってしまいます。
そして、どちらの筋肉が優勢になりやすいかはボイスタイプによって異なります。
そこで役立つのが音階(スケール)です。
同じスケールのエクササイズでも、性別や声種によって適切なスタートピッチや到達音域は変わります。また、スタートピッチやテンポによって声が重くなったり、狙い通り軽く上がったりと、結果は大きく左右されます。
まずはこの仕組みを理解し、後半のレッスン見学で、実際にどのようにレッスンへ取り入れているのかを学んでいきます。

【音階トレーニング】音域の狭いスケールと広いスケールの違い
声帯の仕組みを踏まえた上で、次に学んだのがスケール(音階)の特性です。ボイスタイプ別に、音階を上昇させるほうが適しているのか、下降させるほうがよいのかについても解説がありました。
まず、音域の狭いスケールの代表例が「ドレミファソファミレド」という5toneスケールです。

移動する音の幅が小さいため、TAまたはCTのどちらか一方の筋活動が優位な状態を保ちやすい傾向があります。そのため、地声の安定や裏声の感覚を整えるなど、特定の筋活動を安定させたいときには有効です。
一方で、音域の広いスケールには、「ドミソド」のように3度や4度で跳躍するものや、1オクターブ、あるいは1.5オクターブにわたるものがあります。

こうしたスケールでは、TAとCT双方の働きを調和させる傾向があります。バランスよく筋活動を使う必要があるため、切り替えのトレーニングにもつながります。
このようにスケールごとにも特性があり、どのボイスタイプやコンセプトにどのスケールが有効なのかを解説していただきました。さらに、ボイスタイプ別に、筋活動のバランスを整えやすいおすすめの練習曲も教えていただきました。
同じ「音階練習」でも、目的によって選ぶべきスケールは変わります。設計の意図があるかどうかで、トレーニングの質は大きく変わるのだと感じました。
【子音トレーニング】息の流れと発声バランスを整える役割
次は子音についてです。トレーニングにおける子音の役割は以下の通りです。
①息の流れのコントロール
②母音の発音癖の矯正(声色の濁りなどの改善)
③鼻声子音などを使った母音部の過緊張発声の緩和
子音には、息の流れを増幅させたり、一時的に止めたりする特性があります。
例えば、B・D・Gのような子音は声門閉鎖を一時的に強めます。そのため、母音に息が混ざりやすい方の改善に有効です。
また、舌が奥まってしまう方は、Nのように舌が前に出る子音を使うことで調整することができます。
このように、ボイスタイプやその人の癖によって、発声を助ける子音は変わってきます。

ここで、桜田インストラクターから鼻腔共鳴についてのお話もありました。母音発声時には、基本的に鼻腔共鳴は起こらないとされています。
一方で、ボイストレーナーの中には「眉間や鼻のあたりに響かせて」と指示する方もいます。
しかし、それはその部分に振動を感じているだけで、実際に鼻腔内で共鳴が起きているわけではありません。
この点についてはVT-RVの本クラスでさらに詳しく学ぶことができますが、今回はこの「振動」と鼻腔共鳴を混同しないよう、簡潔に解説していただきました。
ボイストレーナーには公的な資格基準がないため、指導のスタイルもさまざまです。誰でも名乗ることができるからこそ、どのような理論に基づいて指導しているのかが大切になります。ボイストレーナー養成講座【VT-RV】では、音声学や運動学習などを専門の先生から学ぶことができます。
特にボイストレーナーの方にとっては、理論に基づいた知識を身につけられる内容になっています。
【エクササイズ構成】レッスン見学から学ぶインストラクターの視点
これまで3回のプレクラスを通して、エクササイズの基本となる「母音」「子音」「音階」を段階的に学んできました。
第1回では、5tone AHを中心とした基礎と理論について、第2回では母音トレーニングについて詳しく扱っています。
そして今回は、それらをどのように組み立てるのかという「構成」の視点を学びました。最後は、エクササイズの構成案の例を見ながら、どの構成がどのボイスタイプに当てはまるのかを考えていきました。
ここで桜田インストラクターが、先輩インストラクターのレッスンを見学していたときの話をしてくれました。
当時は、先輩が生徒さんに行っているエクササイズをひたすら書き写していたそうです。
書き出していくうちに、「なぜこの順番なのか」「どんな意図で組み立てているのか」が少しずつ見えてきたといいます。そして、「次にどんなエクササイズが出てくるのか」も予想できるようになったそうです。

私も、桜田インストラクターや先輩インストラクターのレッスンを何度も見学しました。見学を重ねる中で、トレーニングの意図が理解できるようになり、レッスンで実際に試してみると、声がスムーズに良くなっていくという経験もしました。
「こうやって進めていけばいいんだ」
その感覚をつかめたことが、自信につながっていったのだと思います。
【VT-RV】の本クラスでは、RV生同士でレッスン見学をすることができます。ぜひ見学を通して、桜田インストラクターをはじめとするVTインストラクターのエクササイズ構成やコンセプトを学び、ご自身の指導に活かしていただけたらと思います。
【レッスン見学】震える声へのアプローチ

最後はレッスン見学です。今回の生徒さんは18歳の女性。声に震えがあるというお悩みをお持ちでした。
音声外来で声帯を診てもらったところ、発声障害ではないとの診断。発声のコントロールを身につけていく必要があると言われたそうです。5tone AHを確認すると、低音では息漏れが見られました。
そこで桜田インストラクターが尋ねます。
「低音は、今どれくらいの強さで出していますか?」
「50%くらいです。」
声が震えてしまう方は、震えないように声門閉鎖を弱くしすぎたり、逆に強くしすぎたりする傾向があります。ここは、桜田インストラクターの経験の積み重ねがあってこそ、瞬時に見抜けているのだと感じました。
まずはストローを使ったエクササイズや、「Gug」という言葉を使ったトレーニングを取り入れ、適度な声門閉鎖と息のバランスを整えていきました。
次第に震えは落ち着いてきました。しかし今度は、声がやや重くなってきます。そこで、次は声の軽さを引き出すエクササイズへと切り替えていきました。
レッスンは常に、「今、声がどうなっているのか」を確認しながら組み立てられていきます。レッスン見学では途中で止めて、「今はこういう狙いがある」「この反応が出たから次はこうする」と丁寧に解説が入るため、意図がとても分かりやすくなります。
理論がそのまま実践に反映されている。それを目の前で見ることができた時間でした。
【VT-RV第3期】プレクラス終了。本クラスは3月スタート!

こうして、3週連続で行われたVT-RV第3期のプレクラスは終了しました。【VT-RV】の本クラスでは、さらに発声について深く掘り下げ、歌唱指導への応用まで学んでいきます。早速、「本クラスを楽しみにしています!」という声も多くいただき、即決でお申し込みされた方もいらっしゃいました。
【VT-RV】第3期の本クラスは3月からスタートします。こちらの様子も、引き続きレポートしていきますので、お楽しみに!
投稿者プロフィール

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大阪音楽大学短期大学部ミュージカルコース卒業
宝塚音楽学校附属宝塚コドモアテネ卒業
幼少の頃からクラシックバレエを習い、毎年行われる発表会やその他数々の公演、業界最大手の舞浜大手テーマパークのショーやパレードに出演。
ダンスパフォーマンスにおいては特に活躍を遂げ、忙しい日々を送ると同時にボイストレーニングを続けるが、自分の悩みを解決できる先生となかなか出会えず「これで上達できるのか?」と不安を感じ、次第に歌を諦めてしまう。
そんな中、発声を科学的に捉え、的確なトレーニングを行えるVTチームの存在を友人から聞き、VTチームのレッスンを受講。
ハリウッド式ボイストレーニングに感銘を受ける。
現在は自身の「踊りながら歌う難しさ」を克服した経験を活かし
「ダンサーとしてミュージカルの舞台に立ちたい」
「ミュージカルに出演しているが、シンガーの枠に入りたい」
という方々を中心としたサポートに向け、勢力的にトレーニングを行っている。
全米ヨガアライアンスRYT200を取得し、ヨガインストラクターとしても活躍中。
クライアント一人ひとりに合った姿勢矯正を行うことにより、発声の改善、呼吸の改善、ダンスの改善を行い、クライアント様から高い評価を得ている。
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