【動画解説】高音を出しやすくする母音の調整・改善レッスン
2020.11.03
こんにちは!金子恭平です。
今回は、レッスンを行う前からすでに上手な生徒さんのボイストレーニングです。
ミックスボイスにも自然に入れていて、発声上の致命的な欠点はないように見えますね。
みなさんはここから、どう修正すべきかわかるでしょうか?
僕が少し調整したいと思ったのは、母音によってパワーに差がある点でした。
「あ」や「え」などの口を広く開いた母音はとても強く、逆に「い」や「う」などの狭い母音は弱く聴こえてきます。
両者を歩み寄らせ、バランスよく楽に歌うということを目標としました。
「楽に歌うとは?」母音を修正して力みをとるボイトレ(0:40~)
同じ日本語を話していても、僕たちはひとりひとり発声にクセ・傾向があります。
とくに歌になると、それが顕著に出てくるんですね。
口の開き方
母音「あ」や「え」の母音は口を横に開きすぎず狭める方向で調整し、「い」の母音は顎を落として広くする方向で調整しています。
ここでは全てをという母音に近付けるイメージでレッスンを進めています。
ハリウッド式のレッスンでは「マンマンマン」という発音をよく使いますが、そのときの母音が「Uh」です。
日本語の「あ」と「お」を混ぜたような発音ですね。
舌の位置、母音の開き具合の両面でバランスが良く、ミックス発声に留まりやすくなります。
子音は主に「G」を使い、声帯同士が合わさる強さと面積を確保しています。
声帯の接合面が大きくなる事は声が地声系に近づく事を意味します。
動画では伝わりづらいですが、この生徒さんの声はかなり軽く美しい声でした。
母音を狭めることばかりに気を取られると、音色が裏声に寄りすぎてしまうので注意が必要です。
声質に合わせた意識の持ち方
また、(1:58)でも述べているように、意識を地声側に保っておくことも声が軽めの人には大切なポイントになります。
声帯は地声を出すときは強く厚く合わさり、裏声を出すときは弱く薄く合わさります。
そして、声帯の合わさり方と、母音(声の通り道の形)は相互に影響し合います。
母音を狭めると声帯の合わさり方は緩やかになり、触れ合う面積は小さくなります。
もしこれにより音色が裏声的になりすぎる場合は、声帯に加える力を増やしてあげる必要があります。
つまり、地声の意識で歌うということです。
母音の形と声帯の合わさり方のそれぞれを調整し、最も適切な音色でバランスが取れるところを探しましょう。
人によっては「広い母音」+「地声の意識」で上手くいくこともあれば、「狭い母音」+「裏声の意識」で丁度よくなる可能性もあるわけです。
(3:11)の歌唱では母音間のパワー差が少なくなり、統一感のある音色で歌えていますね。上手!
語尾の母音までしっかりキープ
母音の出し方を調整したら、フレーズ最後の語尾の終わりまでしっかりと歌いきりましょう。
発声に無理がある、歌いにくい状態ではとくに高音域で語尾を伸ばしきることが難しくなるので、先ほどの調整がしっかり効いているかがここでわかります。
どう変化しているかは動画の(2:40)を見てみてくださいね。
ビブラートの練習(3:55)できない人もすぐできるコツ
動画の(3:55)ではビブラートの練習を挟んでいます。
練習のときは声を出しながら音をおおげさに上下させて、波打つような感覚を身体に覚えさせることがポイントです。
声を波立たせることに慣れてきたらだんだんと波の幅を狭め、速くしていきましょう。
ビブラートの際は僅かにピッチが上下するため、声帯がやや厚い状態とやや薄い状態を行ったり来たりすることになり、結果声が安定しやすくなります。
余談ですが、昔バイクの免許を取ったときの試験のひとつに一本橋というセクションがありました。
長さ15m、幅30cmの細い鉄板の上を7秒以上かけて低速で渡るというものです。
この一本橋のコツが、ハンドルを左右に揺らし続けることなんです!
動いているものが結果真ん中で安定するという点で、ビブラートと似ていませんか(^^)
また、ビブラートのひとつひとつの波の起点が作られる際には、甲状披裂筋(TA)という声帯を太らせ地声を作るための筋肉の働きが確認されているそうです。
ビブラートの波を意識的に大きくゆっくりにすることで、声を重く地声的に保つ練習の補助にするという使い方もできそうですね。
今回のポイント
ボイトレ前から上手な生徒さんでしたが、(6:02)の歌唱では、Beforeと比べかなりトーンの質が安定していますね!
ボイストレーニングのレッスンはパーソナルな課題点に的を絞ったアプローチを行うため、すべての人に合っているとは限りません。
しかし今回のポイントである
・口を縦に開けて力まず歌う
・母音の発音が横に広がらないように意識する
・語尾を最後まで歌う
・ビブラートを安定させる
といった点は「高音で力が入りやすい」という男性に多い悩みの解消につながります。
カラオケや自宅ボイトレでも、動画を参考に取り入れてみてください。
ボイストレーニングのレッスン後は教わったばかりの状態となるので、すぐには実行しきれない部分もありますが、そこは反復練習でものにしていけます!
というわけで、今回は発声メインのレッスンでした。
次回は歌唱における表現方法についてお話しします!
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解説しているインストラクター
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小学生の頃より地元、仙台のダンススクールに通い、ライブやコンテスト等に参加。当時、日本最大のダンスコンテスト「DANCE DELIGHT」では、東北大会で数十組の参加チームの中を勝ち抜き優勝。
2000年、第13回「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」にて、史上最年少で審査員特別賞を受賞(当時13歳)。
ダンスヴォーカルユニットFLAMEのメンバーとして2001年にライジングプロダクションからデビュー。メインボーカルとして活動。
FLAMEから離れた後、様々な経験を経て、現在ではギターとピアノの弾き語りを中心に全国で活動中。他アーティストへの楽曲提供や振り付け等も行っている。
2018年、自身のデビュー経験や、ボイストレーニングの経験を提供すべくVTチームに合流。
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