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こんにちは。VTボイストレーナーの三浦優子です。3月からスタートしたボイストレーナー養成講座【VT-RV】第3期。今回は、VT代表・桜田ヒロキインストラクターによる「歌声の評価法①」についてレポートします。
今回の講義は、第3期に先立って行われたプレクラスの内容を、さらに深く掘り下げたものです。プレクラスを受講された方にとっては復習として理解を深める機会に、また本クラスから参加された方にとっては、ボイストレーナーがどのように生徒さんの声を聴き、エクササイズへとつなげていくのかを学ぶ第一歩となる内容でした。

まずは、VT代表・桜田ヒロキインストラクターによる「歌声の評価法」を進めるうえでの前提条件について解説がありました。この評価法は、すべてのケースに当てはまるものではなく、主に下記の条件のもとで成り立つものです。
■歌声評価の前提条件■・健康的な話し声であること(音声障害ではない)
・インストラクターとクライアントが1対1であること
・歌うことに対して協力的であること
音声障害がある場合、本来は医療機関で扱う領域となります。ボイストレーナーは、医師からトレーニングの許可が出ている方に対して、復帰支援として関わる立場です。そのため、どこまでが自分の役割なのかを理解しておくことが重要になります。
また、この評価法はグループレッスンでは成立しないという点を理解しておく必要があります。 声を聴き、状態を見極め、エクササイズを処方し、再度聴いて調整していく。この一連の流れは、1対1だからこそ成り立つものです。
そしてボイストレーナーの役割は、シンプルに言えば「声を聴くこと」。 何が起きているのかを聴き取り、それに対してどのようなエクササイズを選び、どう伝えるか。この判断が、指導の質を大きく左右します。

まず講義では、さまざまな歌手の歌声を聴き比べながら、声種の違いや個体差について確認しました。ここで重要になるのが、ボイストレーナーが声種を正しく理解しているかどうかです。
なぜなら、声種を見誤ると、その人に合わない音域や発声を求めてしまい、結果として過度な緊張や非効率な発声につながる可能性があるからです。
一方で、声種を適切に捉えることができれば、その人にとって無理のない音域や、最も魅力的に響く“おいしい音域”を引き出すことができます。講義中には、その具体例として、低音声種の受講生に対するアドバイスがありました。
その方は普段、ソプラノの楽曲を求められることが多く、高音域もコントロールして歌われているとのことでした。ところが、桜田インストラクターは、あえてアルトの楽曲に取り組むことを提案し、「闘う戦場が広がると思うよ」と伝えていました。
この言葉が示しているのは、「出せる音域」だけでなく、「活かせる音域」を見極める視点の重要性です。その人にとって最も魅力的な声を引き出し、適切な方向へ導くこと。
それこそが、ボイストレーナーに求められる重要な役割であると感じました。

続いて、声種の見分け方についての解説がありました。プロの歌手の歌声であれば、音色や使われている音域から、ある程度声種を判断することができます。 しかし、生徒さんの場合は、本来出せる音域を十分に発揮できていないケースが多くあります。
そのためボイストレーナーは、「出せない」という状態に対して、それが技術的に出せないのか、それとも器質的に出ないのかを見極める必要があります。この判断を誤ると、本来は出せるはずの音域にアプローチできなかったり、逆に無理な発声を促してしまう可能性があります。
だからこそ指導では、音域を広げるトレーニングと、その人にとって適切な音域を見極めること、この両方の視点を持つことが重要になります。
講義では、ハイラリンクス(喉頭が上がった状態)についての話題も取り上げられました。ハリウッド式ボイストレーニングの元となっているSLS(Speech Level Singing)では、喉頭を上げないことが推奨されてきましたが、実際には、マイケル・ジャクソンをはじめとした多くのアーティストがハイラリンクスで歌っています。日本のアーティストでも、桜井和寿さん(Mr.Children)や稲葉浩志さん(B’z)のように魅力的なサウンドを生み出している例があります。
このことからも分かるように、発声の良し悪しは一概に決められるものではなく、その人にとってどのようなサウンドが魅力的かによって判断は変わります。
ただし、非常に操作がしづらかったり、あまりにも非効率な発声であれば調整が必要になりますし、音楽ジャンルによってはハイラリンクスが適さない場合もあります。
つまり、「正しい発声」を一つに決めずに、その人にとって自然で魅力的な声を見極めていくことが重要だということです。

講義の終盤では、声の評価を行う際に使用するアセスメントツールについての解説がありました。アセスメントツールとは、声の状態や課題を客観的に把握するための評価方法のことです。
■主なアセスメントツール■・5Tone AH
・oo / wee(ファルセットからチェストへの移行)
・楽曲歌唱
それぞれのツールごとに、どのようなエラーが起こりやすいのか、またどこに注目して聴くべきなのかを、デモを交えながら丁寧に説明してくださいました。
大切なのは、「どこに注目して聴くか」という視点を持つことです。同じ歌声であっても、聴くポイントが変わることで、見えてくる課題やアプローチは大きく変わります。
今回の講義では、各ツールの詳細に入る前段階として、「どのように聴くのか」「どのようにエラーを捉えるのか」といった全体像を理解するところまでが扱われました。
ボイストレーニングの中ではまだ序盤の内容ではありますが、この土台があることで、その後のトレーニングの精度や再現性は大きく変わっていくと感じました。
次回は、今回学んだ内容をもとに、さらに細かい評価のポイントへと進んでいきます。講義の続きである「歌声の評価法②」では、より具体的なエラーの見極めやアプローチに踏み込んでいくとのこと。ここからどのように理解が深まっていくのか、今からとても楽しみです。
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