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もう1つのボヘミアン・ラプソディ。超人の歌声とは?

こんにちは!VT Artist Development桜田ヒロキです!

あなたは映画「ボヘミアン・ラプソディ」を観ましたか?
SNS上のミュージシャンを始め、大人気の作品になっていますね。

桜田も大好きなシンガーの1人ですので、改めてフレディ・マーキュリーの偉大さがピックアップされてすごくうれしいです!

世界に衝撃を与えた「もう一つの」フレディ・マーキュリーの声

さて、映画「ボヘミアン・ラプソディ」のフレディの歌唱シーンでボイス・サンプルの足りない部分に活躍されたシンガーがいたのはご存じですか?
(フレディ・マーキュリーは既に亡くなっていますからね・・・。)

それはカナダ人の天才シンガー Marc Martel氏。
最近では映画のタイトルソング「ボヘミアン・ラプソディ」をライブレコーディングで弾き歌いをして、超話題になりました。

こちらの動画です。

まさにフレディ・マーキュリーの声!

衝撃の動画がこれ

実は彼はそれ以前にもこんな動画を上げて、話題になっていました。
それは「大好きなフレディ・マーキュリーとオペラ歌手ルチアーノ・パヴァロッティの歌声を再現!」でした。

まずはこちらをご覧下さい。

※こちらの動画は本人により削除されてしまったようです。
残念!

すごいですよね!?
左側の顔を写している時はフレディ・マーキュリー(ロックモード)。
右側を写している時はルチアーノ・パヴァロッティ(オペラモード)。
ヘアスタイルやヒゲのはやし方を右左で変えているので、別人に見えますが、1人でやってますこれ。

「リアル・タイムで声がハモる部分以外は1テイクで収録した」との事でした(ご本人談)

それぞれのヴォーカル・モード(共鳴腔)の発声方法を分析しました

フェレディ・モード
1 喉頭を上げる
2 内・外喉頭筋をフル活用し、共鳴腔(Vocal Tract)を「短く細く」する
3 口を横に大きく拡げさらに共鳴腔を短くする

オペラ・モード
1 喉頭を下げる
2 共鳴腔は、太く豊かな音色をつくるために「長く広く」する
3 外喉頭(首の外側)は出来るだけリラックスさせ、共鳴腔内の共振(粘膜や筋肉など)を妨げない
4 口は縦に拡げ、共鳴腔を長くする

音響的に見ると

フレディ・モードは共鳴腔を出来るだけ短くして、倍音の2番を強調するようにします。
これはベルティング唱法で最も重要な事で、第1フォルマントで第2倍音(F1 / H2)をブーストすると言う技術です。

これはLet it goで世界的に一躍有名になったイディーナ・メンゼルのベルティング時の音響特性とその時の口の開け方を分析したものです。
第1倍音(545Hz)の次の第2倍音(1090Hz)が最も高いエネルギーを持っているのがわかります。

オペラ・モードでは太く豊かな音色を求められるため、口の開け方はこのようになります。


※注 女性のオペラ・モードなので男性と全く同じとは言えませんが。
参考までに。

Mark氏の声は才能が有する部分を多く含む

Mark氏の声は技術的な要因に合わせて器質的な要素も高い可能性があると桜田は観ています。

首が短い事、太いこと

首の短い事により、共鳴腔は短くなり、第2倍音を高音域に渡り、ブーストし続ける事が出来ます。
(「高音域のベルティングに向かない器質」とは長い共鳴腔を指すと言えると思います。)

これは第2倍音を持ち上げるベルティング発声では強力な強みになります。
Mark氏の場合、
共鳴腔が器質的に短い(Vocal tract / Tubeが短い)」
喉頭を上げて共鳴腔を短くする)」と言う2つの強みを持つ事が出来ます。

首が太いことにより、共鳴腔は横に広い可能性が高く、豊かな音色を作る事が出来ます。(オペラ・モード時に有効)
(エスティル・ヴォイス・トレーニングで言う、仮声帯のRetraction(拡張)も有効と思われます。)
ちなみに映像中のフレディ・モードの時は首の太さが邪魔になるので、首の筋肉もフル動員して、共鳴腔を狭くしています

顎、鼻の形

これはあまり科学的な根拠はありませんが、Marc Martel氏の顔の下半分はフレディ・マーキュリーに非常に相違します。
特に顎の形は共鳴に大きな影響を与えますので、これが相違している事はフレディの声を真似る際にとても役に経つ可能性があります。

声帯は薄く短い

彼の話し声の高さから聞くと恐らく声帯は短い事が予想出来ます。
「厚さは薄いのかな?」と思いましたが、独特の声の分厚さを感じられ、ひょっとしたら厚さは標準の成人男性程度あるのではないかと思います。

人によって、
声帯が分厚い・長い
声帯が分厚い・短い
声帯が薄い・長い
声帯が薄い・短い
と言う器質があり、下に行けば行くほど高音発声に向いていると考えられます。

この組み合わせで高音を出しやすい出しにくいが分かれていますので、Marc Martel氏のこの組み合わせもとても興味深いですね!

フォルマントとベルティング発声の関係性

共鳴空間の共振周波数を第2倍音(F1 / H2)が越えてしまうと人間の声はひっくり返り、ファルセットになってしまいます。
第1フォルマントがどの周波数まで上げられるか? = ベルティング出来る周波数と言えます。

440Hz(A4)をベルティングする場合、
第2倍音が880Hz。
この場合、第1フォルマントは880Hzまで持ち上げる必要があります。

第1フォルマントを持ち上げる方法は・・・
・喉頭を持ち上げる
・口を開ける
・舌を前に出す
・顎を前に突き出す

これらが、その方法と言えます。
まぁ。。。一般的にボイストレーナーが「やっちゃダメ!」と言う事をやれば大体、第1フォルマントを持ち上げる事が出来ます。(笑)

でもイディーナ・メンゼルの写真を見るとこれらをフル活用してベルティングしているのは分かりますよね!

これであなたの発声のコントロール等お役に立てば幸いです!

解説しているインストラクター

桜田ヒロキ
桜田ヒロキ
セス・リッグス Speech Level Singing公認インストラクター(2008年1月〜2013年12月)
VocalizeU認定インストラクター

アメリカ、韓国など国内外を問わず活躍中のボイストレーナー。
アーティスト、俳優、プロアマ問わず年間2000レッスン以上を行うボイストレーナー。

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