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桜田ヒロキ2026年2月13日 9:36 pm

【なぜアーティストの声はあんなに良く聴こえるのか】

「アーティストの声って、なぜあんなに気持ちよく響くんだろう」。
この疑問の答えは、声帯の強さや声量だけでは説明できません。
鍵になるのは、意外にも「母音」にありそうです。

【「あ」は一つではない】
クリス・ハートさんは「『あ』の発声には200種類(のバリエーション)がある」と言っていた事があったそうですが、これは研究の考え方とも一致しそうです。
私たちは「あ」を一つの音として扱いがちですが、実際には同じ「あ」でも、口の開き方、舌の位置、喉頭の高さ、声道の形が少し変わるだけで、音色は大きく変化します。
つまり母音は、固定された一点ではなく、連続的に変化する“音色”でもあります。
(声を科学的に解析する時、時間変化による情報量の多さがそれを難しくする原因でもあります。が、同時に人間の耳や脳はそれを芸術的に知覚するのに優れている事にも気づきいつも感動させられます!)

【フォルマントが音色を決める】
この音色の違いを生み出している中心が、フォルマント(声道の共鳴周波数)です。
声道の形が変わると、F1やF2といったフォルマントの配置が変わり、同じ母音カテゴリに聞こえていても、響きの印象は別物になります。
歌が上手く聴こえる人ほど、この「母音の中の微細な音色差」を、音域やフレーズに合わせて自然に選び分けています。

【歌唱では母音を“保持”する】
ここで重要なのは、「正しい母音は一つ」という発想を手放すことです。
歌唱では母音は一瞬で終わりません。
発話では短時間で処理される母音も、歌では数百ミリ秒から数秒間、同じ母音を保持します。
その間、母音の形(声道の形)が少しでも崩れれば、音色は揺らぎ、響きが浅くなったり、息っぽくなったり、ピッチすら不安定になったりします。

【アーティストの声が安定する理由】
だからこそ、アーティストの声が「良く聴こえる」最大の理由は、母音の再現性にあります。
偶然一度だけ良い音が出るのではなく、狙った母音の響きを、必要な場面で何度でも再現できる。
この再現性が高いほど、歌声は安定して聴こえ、音色が洗練されていきます。

【まとめ:歌声の差は母音にある】
もし「音程は合っているのに声が決まらない」「同じフレーズなのに日によって響きが違う」と感じるなら、
支えやパワーを足す前に、母音の音色がどの位置にあるかを見直してみてください。
同じ「あ」でも、あなたの中にいくつの「あ」がありますか。

歌声の差は、母音の中にあります。

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