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桜田ヒロキ2026年2月6日 11:39 am

【なぜ歌唱では母音が重要なの?】

歌唱において「母音が重要である」という点は、多くのボイストレーナーや歌手が感覚的には理解しています。

しかし、その理由を発声構造や歌唱特性の観点から具体的に理解は少し難しいかもしれません。

【会話と歌唱では、声の使われ方が違う】
日常会話では、意味の識別において子音が大きな役割を果たします。

一方、歌唱では事情が異なります。
フレーズの中で時間的に最も長く保持されるのは母音であり、実際に「歌声として鳴っている時間」の大半は母音です。

【発話と歌唱における母音の持続時間】
発話における母音の持続時間は、一般的におよそ 80〜150ミリ秒 程度とされています。

母音は子音と連続しながら短く処理され、言語の意味を伝える役割を担います。

一方、歌唱では母音の持続時間は大きく伸びます。
フレーズやテンポにもよりますが、500ミリ秒〜数秒以上 同じ母音を保持することも珍しくありません。
つまり歌唱では、発話時の 数倍から十数倍 の時間、同一母音を安定して維持する能力が求められます。
この持続時間の差こそが、「歌声の印象の多くが母音で決まる」最大の理由です。

【歌声の印象は母音で決まる】
聴き手が受け取っている音色、響き、声の明るさや重さといった要素は、長く鳴っている母音の質によってほぼ決定されます。
子音が正確でも、母音が不安定であれば、歌声は整って聴こえません。

【日本語歌唱と五母音の関係】
日本語は五母音「あ・い・う・え・お」を基本とする言語です。

日本語歌唱では、この五母音をさまざまな音域・音量・表現の中で、どれだけ均質な音色で安定させられるかが、歌唱の完成度を大きく左右します。言い方を変えると、「どの母音をどの高さで歌っても、その歌手のキャラクターから逸脱しないようにする必要がある」とも言えます。

【母音は発声の安定性にも影響する】
母音ごとに舌の位置、口腔の広がり、声道の形状は変化します。
これらの調整が不十分なまま音域が上がると、声が詰まる、押し出される、あるいは息が過剰に漏れるといった問題が起こりやすくなります。

【ボイストレーニングでの捉え方】
ボイストレーニングにおいて「良い声を出す」という表現は抽象的ですが、日本語の歌唱に限って言えば、「広い音域にわたって、五母音を長時間・安定した音色で維持できる状態」と言い換えることができます。これは一言で述べれば端的ですが、歌手はこれを習得するために何年もトレーニングを積むのです、、、!

【母音が整うと、歌は自然に変わる】
母音の質が整うと、ピッチの安定、響きのまとまり、フレーズの流れが自然に改善します。
良い声になった!歌が上達した!と感じる瞬間の多くは、母音の持続と安定性が変化した結果として現れると思います。

【まとめ:歌声の土台は母音にある】
もし歌唱中に、声が不安定に感じる、響きが浅い、音域によって歌いにくさが変わる場合、筋力や支えを強める前に、まず母音を「どれだけ安定して保てているか」を見直してみてください。

歌声の土台は、常に母音の中にあります。

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