金子 恭平2025年10月21日 12:30 pm
【試行回数を増やそう】
ミックスボイスと呼ばれる声は、ほとんどの人は先天的には持っていません。
甲状披裂筋、輪状甲状筋、外側輪状披裂筋という繊細な筋肉の協調運動に加えて、共鳴(母音調整)の工夫も必要な特殊技術です。
習得には膨大な練習量が必要で、ちょっとしたコツでできるようになるものではありません。
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▼どのくらい練習が必要?
ほかのバランス運動で考えてみましょう。
「半年以内に絶対に倒立(逆立ち)を習得しなければならない」という特殊な状況が発生したとします。
あなたはどうしますか?
月に2回の練習でなんとかしようとするでしょうか?
おそらくそうではないでしょう。
体質により個人差はあるでしょうが、ミックス発声の習得も同じようなものだと考えてほしいのです。
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▼声帯の脆さには要注意
声帯はとてつもない回数の衝突と摩擦で声を作り出します。
仮によい発声で歌えたとしても、あまりに長時間の使用には耐えられません。
また発声のクオリティには、「体の疲労度合い」「声帯の筋肉層が有する水分量」「声帯粘膜の粘性」「声の出し方のイメージ」など、時間によって変化する要素が強く影響します。
一度に長時間の練習をせずに、小さな時間を見つけて試行回数を増やすのが得策です。
1セッションにつき15~30分程度の練習時間がボイトレでは基本とされていますが、個人的には1~5分程度の練習を何度も繰り返すのもお勧めです。
こうした方法は脳科学的にも効果が実証されています。
上手に分散学習をしましょう!