桜田ヒロキ2025年8月24日 6:34 pm
【変声期の子役を支えるために知っておきたいこと】
ミュージカルの舞台に立つ子役にとって、変声期はとても大きな壁です。舞台の中心を担いながらも、「この高い声を失ってしまうのではないか」という不安を強く感じる時期。
親御さんも、子どもが積み上げてきた経験や夢が壊れてしまうのではと心配されるかもしれません。
しかし、変声期は声のトラブルではなく、誰にでも訪れる自然な成長の過程です。声帯や喉の構造が大人へと変化していく中で、以前と同じ発声を無理に続けると、かえって不安定さや声の疲れ、さらには発声障害につながってしまうことがあります。
実際に、変声期前にソプラノで歌っていた少年が、裏声ばかりを使い続けた結果、声の立ち上がりが不安定になり、舞台後半には声が疲れきってしまうケースも見られます。これは「高音を維持したい」という気持ちと、身体の自然な変化との間で生じるギャップが原因です。
大切なのは、「声を失う」のではなく「新しい声へ移行していく」という視点に立つことです。そのためにできるサポートはいくつもあります。
・息と声帯のタイミングを整えて声を安定させる練習
・喉の緊張をほぐす手技療法
・地声を安全に再導入するトレーニング
・声帯への負担を減らす共鳴のトレーニング
これらを組み合わせることで、変声期を安心して乗り越え、新しい声を自分のものにしていけます。
変声期は決してキャリアの終わりではありません。
むしろ、大人としての声を手に入れる大切な第一歩です。
正しい知識とサポートがあれば、その後の舞台人生において、より豊かで表現力のある歌声を育てていくことができます。
不安に感じるのは自然なことです。
でも、その不安を一人で抱える必要はありません。声の専門家と一緒に向き合うことで、変声期をチャンスに変えていけるのです。