桜田ヒロキ2025年8月14日 10:36 am
声の疲労、その正体は筋肉疲労だけじゃない!
多くの歌手やボイストレーナーが「声の疲労は筋肉によるもの」と考えがちです。
でも、「筋トレのように声を痛めつけて鍛える」理論は、声帯には当てはまりません。
【声帯にかかる最大の負担は摩擦】
声帯は性能や音域により毎秒100~1000回以上振動。
声帯粘膜がこすれ合う摩擦によって、熱・微細な損傷・組織内水分の移動・浮腫(むくみ)が発生。
この現象、筋疲労よりも大きな負担になります。
高音・大声で歌うと摩擦熱が急増します。
1オクターブ高く歌うだけで、摩擦によるエネルギー損失は4倍。
2オクターブ上げると、16倍になります。
話し声よりも圧倒的に負荷が大きいのは数字からもわかりますよね。
この負荷が声質低下や音域の制限を引き起こします。
【声帯は“壊して強くなる”対象ではない】
筋肉とは異なり、声帯粘膜は修復によって「強く」なることは難しく、摩擦による損傷が硬化・線維化につながるリスクがあります。
声帯結節や出血などが起こった場合、完全回復が困難になることも。
摩擦を抑える“潤滑戦略”を日常に。
適切な潤滑は摩擦のバリアとして不可欠です。
【実践しやすい方法】
こまめな水分補給(常温・1日1.5~2L目安)
ネブライザー吸入(生理食塩水)で声帯の表面水分を補う
室内湿度 40~60% の環境維持(冬やエアコン時は常に注意)
【まとめ】
声の疲労は筋肉だけでなく、摩擦と組織の浮腫が大きな要因。
「声帯を壊して鍛える」は逆効果。
むしろ、摩擦を減らし、潤いを保つ声のケアこそが、安定したパフォーマンス維持には不可欠です。