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金子 恭平2025年7月21日 10:35 am

【プロでも多い“隠れプルチェスト”】

地声のトーンのまま高音域まで歌えていても、かならずしもミックスボイスが完璧とはいえません。
実は、プロ歌手の方でも、プルチェスト(張り上げ発声)を経由してミックス発声に到達しているパターンが多いのです。

「経由して」とはどういうことでしょうか?

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▼声の切り替わりポイント

通常の歌唱音域において、ブリッジ(換声点)と呼ばれる声の切り替わりエリアはふたつあります。
テノールの男性歌手の場合、1stブリッジはD4~G4あたり、2ndブリッジはG#4~B4あたりです。
声帯の振動パターンが本格的に地声振動から裏声振動に変わるのは、基本的には2ndブリッジ以降です。
※女性の場合は、1stブリッジから裏声にチェンジしていく歌唱も多く聞かれます。

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▼隠れプルチェストとは

一聴するとミックスボイスが使えている歌い手でも、1stブリッジ付近で音量が上がったり、母音が広がったりしがちです。プルチェストの典型的な症状です。
声帯や声道への負担が大きい発声で、たいていの場合は本人も苦しさを感じています。
この方たちの声は、2ndブリッジに突入するとようやくバランスのとれた――つまり声門閉鎖の加減が適切な――ミックスボイスに聞こえはじめます。

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▼対策例

チェストボイス(地声)からヘッドボイス(芯のある頭声)まで、声は段階的に軽くしながら使っていきます。
ちなみに1stブリッジにおける「軽くする」は、音量を落とすことでも、細くすることでも、裏声にすることでもありません。
※練習段階で助けになるなら、あえて小さな声や細い声、場合によっては裏声を出すことは多々あります。

ブリッジングを軽くするための典型的なエクササイズとしては、GeeやGooという発音を使った1オクターブ下降などが挙げられます。
実際には生徒さんの声は千差万別なので、子音、母音、音階を適宜調合して、適切なバランスのミックス発声を体感してもらいます。

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▼まとめ

「隠れプルチェスト」は、ある音域でミックスボイスが実現しているという点で、完成間近の発声といえます。
そこまでたどり着いた方なら、1stブリッジもきっと健康的に乗り越えられるようになるはず。

いっしょにがんばってまいりましょう!

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