金子 恭平2025年6月12日 10:38 am
【高音発声時の力みの種類と、その対処法】
ボイストレーニングを始めた際に、「力みが強いね」と指摘されることはよくあります。
過緊張発声とひと口で言っても、じつは二種類あることはご存じでしたか?
それぞれの症状に、真逆の対処法が必要になることも多いです。
ご自身の傾向と対策をしっかり把握しておくと、より建設的な自主練習ができるでしょう。
―――
<過緊張発声タイプ1>
声門閉鎖が強すぎて、地声を張り上げてしまうパターン。
対策:
やわらかいヘッドボイスからの下降スケールなどを使って、全体的にテンションを取り除いていきます。
筋肉の稼働バランスとしては、輪状甲状披裂筋が、甲状披裂筋と外側輪状披裂筋を上回る状態を一時的につくってあげます。
―――
<過緊張発声タイプ2>
声門閉鎖が足りないのを、声道を過度に狭くすることで補おうとするパターン。
対策:
短い三音階や五音階を歌うなどして、しっかりした地声発声を獲得します。
甲状披裂筋の活性化が狙いです。外側輪状披裂筋だけに頼った声門閉鎖にならないよう注意します。
入れるべき場所に力を入れることで、余分なテンションは抜けていきます。
―――
注釈:
輪状甲状披裂筋=CT(声帯を薄く引き伸ばし、靭帯の硬さをつくる筋肉)
甲状披裂筋=TA(声帯そのものに含まれる筋肉。収縮し厚みをつくる)
外側輪状披裂筋=LCA(声帯をうしろ側から閉じ合わせる筋肉)