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金子 恭平2025年5月28日 5:43 pm

【歌の支えとは?】

歌にたずさわるなかで、多くの人が一度は「支え」という言葉を聞いたことがあると思います。
その意味を正確に理解しているでしょうか?

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「支え」という用語は、イタリアンオペラにおける「アッポッジョ(もたれかかり)」に由来します。

おそらく歴史上もっとも高名なテノール歌手であるルチアーノ・パバロッティが、支えの方法ついてシンプルな教えを残しています。

1.「まず深く息を吸い込み、横隔膜を下降させる」
2.「歌っているあいだ、可能なかぎりこの吸気時のポジションを保つ」

息を吸って横隔膜が下がると、胴体は樽のようにふくらみます。
そのふくらむ力(腹圧)を維持しながら歌うのが、支えということになります。
腹式呼吸や横隔膜呼吸と聞くと、お腹をへこませながら声を出すイメージを持たれる方もいるかもしれませんが、まったく逆の動きになります。

歌うとき、とくに高音発声時は、声帯の上側と下側の圧力が拮抗していなければなりません。
このとき必要な声帯下圧を維持するために、横隔膜の急な上昇を防ぐ必要があるのです。

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この呼吸と支えにおいて、体のどこを意識するのがよいでしょう?
教え方はさまざまあるようですが、一流の声楽家たちはしばしば「背中」や「腰」を強調します。

とてつもない声を出す日本人オペラ歌手のレッスンを受けていた時期がありますが、その先生の歌唱時の腰(腰方形筋のあたり)を触らせてもらうと、信じられないくらいに大きくふくらんでいるものでした。

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歌以外の分野でも、腹圧を維持した呼吸が推奨されることは多いようです。

ぼくが知っているものだけでも――

◆スタンフォード大学スポーツ医局の山田知生さんが提唱する『IAP呼吸法』
◆尺八奏者の中村明一さんが提唱する『密息』

といったメソッドがあります。

お二方とも本を出版されています。興味深い内容でしたので、歌手のみなさんも読んでみるとよいかもしれません。

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