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金子 恭平2025年5月11日 7:52 am

【共鳴ってなに?】

「共鳴」という言葉がボイトレ界隈ではよく飛び交いますが、声のメカニズムにおいて正確にはなにを指すのでしょうか。

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声帯で作られた原音は、喉や口を通って唇の外に放出されます。
その通り道(声道)の形状によって特定の周波数帯が強調され、音色と母音が決定されます。

この働きを共鳴と呼ぶのです。

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ボイストレーニングの現場では、「響きをおでこに集めて」「頭のてっぺんを鳴らして」といった指導が聞かれることがあります。
厳密には額や頭頂で音が響いているわけではなく、声の周波数に同調してそれらの骨が震えています。「共振」と呼ばれる現象です。
共鳴そのものは声道で起こります。

大音量で音楽を流すと、スピーカーのそばに置いたアコースティックギターのボディは震えます。これは共鳴ではなく共振です。

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ちなみにハリウッド式ボイストレーニングでは、特定の体感に導くような指導はあまり行いません。
骨の薄さや各部の敏感さには個人差があるため、誰もが同じ感覚を得られるとは限らないからです。

声を聴きながら、喉頭の高さや舌の位置、唇の開き方を調整することで、適切な共鳴を見つけていきます。これを母音の調整(Vowel Modification)と呼びます。
人間の声は必ず母音を含んでいますので、母音の調整=共鳴の調整と考えて差し支えないでしょう。

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しかし、感覚重視の指導法が間違いというわけでは決してありません。
そこでは「響き」や「共鳴」という言葉は、厳密な定義にとらわれず、発声イメージを喚起するためのスイッチとして使われています。

指導者と生徒の体質が似通っていて、かつ音のイメージをしっかり共有できていれば、最上の結果を得られる可能性も大いにあると思います。

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ボイストレーニングの指導法は多岐にわたり、科学的アプローチを重視するものから、伝統的な経験則や身体感覚を重視するものまで様々です。
何が絶対的に正しいということはなく、個々の学習者によって最適なアプローチが異なるのです。

どのメソッドで発声を学ぶにしても、最適な共鳴を見つけるのは歌手の使命といえるでしょう。

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