桜田ヒロキ2025年5月9日 5:43 pm
【音痴の生徒さん、どうやって教えたらいい?】
ボイストレーナーの皆さん、ピアノで音を出しても、生徒さんが全く違う音を歌ってしまう…。そんな場面、経験ありませんか?
実は「音痴」と言われる現象には、主に2つの原因があります。それぞれに合ったアプローチをすれば、改善は十分可能です!
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① 音感が“ゆるい”タイプ
ここで言う「音感がない」は、「音が高い・低いの違いが全く分からない」という意味ではありません。
多くの生徒さんは音楽が好きで、メロディも理解しているんです。ただ、ピッチ(音高)を正確に聞き分ける力が少し弱い=“ゆるい”状態なんですね。
解決法:ソルフェージュやピッチトレーニング
簡単なメロディから始めて、音の動きに耳を集中させる練習が有効です。徐々に難易度を上げていきながら、音の高低や流れを“正確に聞いて”“正確に再現する”力を育てていきます。
※ちなみに、ソルフェージュを教えるのもトレーナー側に一定のスキルが必要です。単に練習曲を並べるだけでは効果が出にくいこともあるので、生徒の反応をよく観察しましょう。
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② 発声の技術が足りないタイプ
実は、ピッチがズレる理由の多くは“発声の物理的な問題”にもあります。
声の高さは、声帯の長さ・張り具合・息の圧力などで調整されます。
この操作が苦手な場合、「正しい音は聞こえてるのに出せない」状態になりやすいんです。
たとえば…
•地声を強く押し出すタイプは、狙った音よりピッチが下がる
•裏声で低い音まで出そうとすると、逆にピッチが高くズレる
こんな風に、音感があっても声で表現できないことはよくあるんです。
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多くの場合、この2つが“同時に起きている”
音感と発声、どちらかだけの問題ではなく、多くの生徒さんはこの両方に課題を抱えています。
だからこそ、音感トレーニングと発声トレーニングは分けて考えるのがポイント。
「聴き取れてないのか」「発声がズレてるのか」を明確にするだけで、ぐっと改善が早まります。
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よくある質問:「ピアノの音に合わせられない生徒さん、どうするの?」
これ、すごくよく聞かれます。
一番手っ取り早くて効果的なのが、**“生徒さんが出している音にピアノを合わせてあげる”**という方法です。
そのうえで、少しずつ正しい音に誘導していくと、「あ、自分の声、全然違うところにあったんだ!」と気づきを与えられます。
特に、トレーナーと生徒の性別が違う場合(声域が離れている時)にはこの方法がとても有効。
耳と体の両方に働きかけられるので、ぜひ試してみてください!
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音痴は「才能のなさ」じゃなく、「スキル不足」なだけ。
正しい手順で取り組めば、ちゃんと伸びます!