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金子 恭平2025年4月20日 9:00 pm

【ミックスボイスは二種類ある?】

地声と裏声の中間の声を「ミックスボイス」と呼ぶのは、多くの方がご存じかと思います。
 
ミックス発声の開発が進めば、地声でも裏声でもない体感が実際に生まれてきます。
高音ロングトーンの最中に、地声から裏声に継ぎ目なく移動するような芸当もできるようになります。
 
しかし、声帯の振動パターンには「地声モード」と「裏声モード」しかありません。
訓練を積んだ歌手の体験と、厳密な化学は一致しないことも多いのです。
 
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結局のところ、ミックスボイスも地声か裏声のどちらかに分類されます。
――地声ミックス(Chest Dominant Mix)
――裏声ミックス(Head Dominant Mix)
このように呼び分ける先生も多いです。賛否はありますが、僕もそのひとりです。
 
おもに2ndブリッジ(二度目の声の切りかわりが起きる音域)において、シンガーは地声ミックスで歌うか裏声ミックスで歌うかを選択することになります。
※女性の場合は、1stブリッジを裏声ミックスで通過することも多いです。

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スタッフ先輩と僕が、Adoさんの『唱』を練習している動画をご参照ください。
 
フレーズ中の最高音がD#5です。
僕は男性なので、この音は裏声ミックスで出しています。高い周波数を母音の工夫でかせいで、地声風に聞かせている状態です。

一方で、スタッフ先輩は女性のなかでも声が高めのシンガーです。この音を地声で歌えてしまいます。
ときどき声が引っかかっているのがおわかりになるでしょうか。
力強い発声を目指すなかで、舌の力みも起こっていますね。
 
僕がこの音域を歌うよりも、彼女が歌うほうが難しいのです。

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ここで目指せる方向性はふたつあります。
1.地声の正門閉鎖をややゆるめて、地声ミックスと呼べる状態にする。
2.裏声モードの範囲内で声門閉鎖を強めつつ、高周波をかせぎ、裏声ミックスで歌う。

動画ではカットされていますが、スタッフ先輩は最高音をもともと軽い地声ミックスで歌えていました。
「せっかくだからパワーをつけてみたいね」と応用練習に入ったところからが、ショート動画の内容です。

熟練したシンガーでも、強く、かつ効率のいい発声バランスを見つけるのは簡単ではありません。 

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