桜田ヒロキ2025年1月13日 11:13 pm
【FRUITS ZIPPER「わたしの一番かわいいところ」】
歌にグルーヴを持たせる方法
陽香先生がスタッフに歌唱指導をしている中で、「かわいい」というフレーズを「かわっいい」と歌うようアドバイスしている場面があります。この「小さな『っ』を入れる」という技術には、実は明確なロジックが隠されています。
まず、「かわっいい」の「っ」は音を一瞬止めることで、16分休符が入ったような効果を生み出します。この音の位置は8分音符の表拍に当たるため、ここで一瞬の「タメ」を作ることで、まるでギタリストが空ピッキング(弦をパーカッションのようにリズムを刻む技術)を行う際のようなニュアンスを生み出せるのです。空ピッキングはギターのフレーズにグルーヴを与える重要な技術ですが、これを歌に応用していると言えます。
さらに、「っ」を入れることで、「(かわ)いい」というフレーズがより伸びやかに聴こえる効果も得られます。楽曲全体がフレーズの伸縮を通じてグルーヴを生み出すよう設計されているため、このように意識的にリズムを作ることは、「楽曲の求める表現を再現できている」つまり、「楽曲を理解して歌っている」と評価できます。
特に、歌は楽器の学習プロセスと異なり、ノリが弱くなりやすいという課題があります。そのため、ロジックに基づいたリズムの指導は、シンガーにとって非常に有効です。こうしたパターンを繰り返し練習することで、最終的には身体が自然に反応できるようになるでしょう。